大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

京都地方裁判所 昭和35年(ワ)674号 判決

事実

原告主張の事実。

「昭和三五年三月六日被告西井は、被告会社に対し、金額三〇〇、〇〇〇円、満期同年五月二〇日、支払地振出地とも京都府船井郡園部町、支払場所株式会社京都銀行園部支店なる約束手形一通を振出し、被告会社は、拒絶証書作成義務免除のうえ、これを第一梱包工業株式会社に裏書譲渡し、第一梱包は、昭和三五年三月原告に白地式で裏書譲渡し、原告は、同年四月五日株式会社三菱銀行西院支店に取立委任裏書をなし、同行をして満期たる五月二〇日に支払場所で呈示して支払を求めさせたが拒絶された。よつて原告は、振出人たる被告西井に対しては手形金の最終的な支払義務者として、裏書人たる被告会社に対しては手形の償還義務者として、合同して手形金額三〇〇、〇〇〇円及びこれに対する満期の翌日である昭和三五年五月二一日から支払の済むまで手形法所定年六分の割合による利息の支払をなすべきことを求める。」

被告等の抗弁。

「昭和三四年一一月被告西井と第一梱包(代表取締役田中彰)は、融通手形(約束手形)を被告会社を介して交換する、相手方振出にかかる融通手形は、被融通者において自己の資金で決済したうえ、手形を融通者に返還する旨の契約を締結し、被告西井は、原告主張にかかる右件手形要件中、満期を昭和三五年二月二〇日、振出日を白地とし、その余は原告主張のとおりとする約束手形一通を振出し、これと交換に、第一梱包を振出人とする、金額三〇〇、〇〇〇円、満期昭和三五年二月二〇日、支払地振出地とも京都市、支払場所西陣信用金庫鳥丸支店なる約束手形一通の振出を受けた。被告西井は、第一梱包から融通を受けた手形については、約旨のとおり、これにより金融を得た後自らの資金で決済し、手形梱包に返還した。

その際第一梱包は、被告西井振出の約束手形の返還につき暫時の猶予を求めながら、これを果さず、かえつてその満期である昭和三五年二月二〇日を同年五月二〇日と変造し(2を5と改ざん)、振出日欄に同年三月六日と補充したうえ、同年三月原告に対し、これを、いわゆる期限後裏書の方法で譲渡したのであり、もとより正当の満期には、呈示がなされていないのである。よつて本訴請求には応じ難い。」

理由

振出日と満期の点はさておきその余の手形要件は原告主張のとおりである約束手形一通を被告西井が振出したこと及びその余の請求原因事実は当事者間に争いがなく、(証拠)を綜合すると、右手形の振出日及び満期の点及び右手形振出の経緯及びその後の経過については、被告主張のとおりであることを肯認するに十分である。

してみると被告等は、いずれも手形文言の変造の場合の変造前の署名者であるから、原文言に従つて責任を負うべきところ、原文言及び適式に補充せられた文言によれば、本件手形は、振出日を昭和三五年三月六日とし満期を同年二月二〇日とするものとなる。

そうして、このような振出日よりも前の日を満期とする約束手形は無効であるから、被告等は振出人としても、償還義務者として責を負うべきいわれはない。

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com