大判例

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京都地方裁判所 昭和41年(ワ)12号 判決

原告

田中政一

被告

藤安武雄

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は、「被告は、原告に対し、金一五〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和四一年一月二三日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決と仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

「一、原告は、昭和四〇年四月一二日、被告と、金一五〇、〇〇〇円を、弁済期日同年七月一三日の約定の下に、貸付ける契約を締結し、翌日、右契約にもとづいて、利息を天引した金一三八、二六〇円を、被告の指示した訴外株式会社藤安商会に送金した。

二、よつて、原告は、被告に対し、右貸金一五〇、〇〇〇円およびこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和四一年一月二三日から支払済まで年五分の割合による損害金の支払を求める。

三、被告主張の二の事実を否認する。」と述べた。

被告は、主文同旨の判決を求め、答弁として

「一、原告主張の一の事実は認める。

二、被告は、訴外株式会社藤安商会のためにするを示し、右会社より与えられた代理権の範囲内において、原告主張の消費貸借契約を締結した。」

と述べた。

証拠≪省略≫

理由

原告主張の一の事実は被告の認めるところである。

甲が、乙と締結した一定の契約にもとづいて、乙に対し、その履行を請求する訴訟において、乙が、甲主張の内容の契約を総結したこと(A事実)は認めるが、本人丙のためにすることを示し(B事実)、本人丙より与えられた代理権の範囲内において(C事実)、右契約を締結したと陳述した場合、B事実の挙証責任を、乙が負担するとする説(抗弁説)とB事実不存在の挙証責任を甲が負担するとする説(否認説)とが考えられる。

意思表示をした者に法律効果が帰属するのが、法律上の原則であるから、設例の場合、A事実を権利根拠事実、B事実を権利障害事実と解する抗弁説が正当である。

甲が、本人丙に対し、契約履行を請求する訴訟において、甲がB事実について挙証責任を負担していることは疑問のないところであるから、否認説によると、B事実の存否不明の場合(民法第一〇〇条但書の事実の主張立証がないものと仮定する)、丙に対する訴訟において(A事実およびC事実が確定しているにもかかわらず)敗訴する甲が、A事実の確定しているにもかかわらず、乙に対する訴訟においても敗訴することになる。このことは否認説の結論の妥当でないことを示している。

成立に争ない甲第一、二号証、被告本人の供述によれば、被告主張の二の抗弁事実を認める。

原告本人の供述中右認定に反する部分は採用しがたい。

よつて、原告の本訴請求を失当として棄却し、民事訴訟法第八九条を適用し主文のとおり判決する。(小西勝)

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