大判例

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仙台家庭裁判所 昭和32年(家)613号 審判

宮城県○○児童相談所長

申立人 大川忠夫(仮名)

事件本人 大岩和男(仮名)

大岩春子(仮名)

右親権者 大岩定雄(仮名)

大岩あさ子(仮名)

主文

申立人が事件本人等に対し児童福祉法第二十七等第一項第三号の措置をとることを承認する。

理由

申立人は主文同旨の審判を求め、その申立の実情として、事件本人等は大岩定雄、同あさ子の長男と長女で、共に父定雄と同居していた者であるところ、申立人は昭和三十二年四月○○○日仙台市福祉事務所より通告を受け、実情を調査した結果によると、事件本人春子の方は右手と胸に火ばしの火傷があり、又、事件本人両名共栄養失調状態のため歩行困難であることが認められたので、同日以来仙台市立病院に入院せしめて現在加療中である。又、事件本人等の妹秋子(昭和二十八年七月○○日生)は昭和三十二年四月○○日午後一時三十分死亡したが、医師の通告により取調べたところ死体解剖結果により、栄養失調と脳出血と診断された。以上の事情で、保護者である親権者父定雄は事件本人等に対し著しくその監護を怠り、児童福祉法第二十八条所定の事由が認められ、事件本人等に対し同法第二十七条第一項第三号の措置をとることが必要であると認められるのに拘らず、右親権者はこれに同意せず親権を強く主張し事件本人等の児童福祉施設収容を拒否しているので、右措置をとることの承認を求めるため本申立に及んだ次第である旨述べた。

当裁判所は、家庭裁判所調査官小針通に事件本人等の監護の現況等について調査せしめるとともに事件本人等を現に監護する○○市立病院婦長の陳述を聴かしめ、審判期日において親権者父定雄、同母あさ子の陳述をきき、且つ右親権者等と、事件本人等の福祉措置を担当中の宮城県○○児童相談所員東山景一を審問した。

よつて按ずるに、右調査及審問の結果と記録中の大岩定雄の戸籍騰本及○○市立病院小児科医師斎藤明の事件本人等に対する診断書の記載を綜合すれば、申立人が申立の実情として述べるところは、これを認むるに足り、事件本人等に対し児童福祉法による福祉措置をとることは事件本人等の福祉のため必要であると認められ、且つ親権者母あさ子は本件申立の趣旨に賛意を表し、親権者父定雄も事件本人等に対し児童福祉法の措置をとることに対し、従来までは行掛り上拒否的態度を示していたものの、現在では事件本人等の福祉のため右措置に対し敢て反対する意向を有していないことが認められる。

以上の事情に照らし、本件申立はこれを認容することを相当と認め主文のとおり審判する。

(家事審判官 市村光一)

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