大判例

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佐世保簡易裁判所 昭和44年(ろ)37号 判決

主文

被告人を罰金一万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は昭和四一年一一月ごろから昭和四四年四月二八日ごろまでの間、長崎県佐世保市白岳町七七四の八番地所在の化製場以外の施設である鶏羽加工工場において遠心分離機、火力乾燥機、圧力煮釜などを用い、鶏羽を加熱圧縮するなどして、家畜の飼料を製造したものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為はへい獣処理場等に関する法律第八条、第二条第二項に違反し同法第一一条第一号罰金等臨時措置法第二条に該当するところ所定刑中罰金刑を選択しその定められた罰金額の範囲内で被告人を罰金一万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法第一八条によつて金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文によつて全部被告人の負担とする。

なお弁護人および被告人はへい獣処理場等に関する法律第八条には鳥類の肉、皮、骨、臓器等を原料とする云々とあつて鳥類の羽はこれに含まれていないから被告人の所為は罪とならない旨弁解するのでこの点について考えてみると鳥類の肉、皮骨、臓器等を原料として飼料を製造する場合は同法第八条、その準用する同法第二条第二項、第三条によつて県知事の許可を受けた化製場以外の施設では行うことができないことになつている。その目的とするところは、鳥類の肉、皮、骨、臓器等を原料として飼料を製造するときは悪臭、悪汁を放ち或は蠅や蛆の発生を見、またはその虞があること等が予測され、そのため附近住民の健康福祉に繋がる環境衛生上の公害を発生する虞があるので、その予防・調整・取締をすることであつて、同法第八条はその見地より原料となる鳥類の体の部位を例示的に掲げ、その例示外にも鳥類の体を組成するもので、同様の公害発生の虞があるものはこれを例示に加える趣旨で「等」という文言を用いて表現したものと解される。

ところで前示各証拠を綜合すれば、被告人の原料とする鶏羽は前記例示に類するものでこれを原料とする被告人の飼料製造の過程においては、アルデヒド類とアミン類を主要成分とする強度の不快感を伴う多量の悪臭を放ち気象条件の如何によつては相当広範囲に影響を及ぼすことが認められ、一方その臭気の主要成分であるアルデヒドの一部は刺激性の有害ガスと考えられて居り、その臭気の不快感は人にいやな感じ、食事がまずい、頭痛、頭重、来客がいやがる、気分がいらいらする、はき気がする等の障害を与える虞があり、また時としては悪汁を流出し蠅のたかることもあつて、これらは前記法条の例示する鳥類の肉、皮、骨、臓器を原料とする場合とさほど異らない程度に類似することが認定される。

そうすると被告人の飼料製造の原料とする鶏羽はまさに同法第八条にいう「等」の文言に包含されるものと解せざるを得ない。従つて被告人の鶏羽を原料とする飼料の製造は県知事の許可を受けた化製場で行うことを要し、それ以外の施設で行うことは同法条違反となるというべきであるから弁護人並に被告人の弁解は採用できない。

よつて主文のように判決する。

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