大判例

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函館地方裁判所 昭和34年(む)36号 判決

被告人 渡辺ナツ

決  定

(被告人氏名略)

右の者に対する売春防止法違反被告事件につき、弁護人橋本清次郎から、上訴権回復の請求があつたので、当裁判所は左の通り決定する。

主文

本件上訴権回復の請求はこれを却下する。

理由

本件請求の要旨は、

渡辺ナツに対する売春防止法違反被告事件につき、昭和三十四年二月五日函館地方裁判所が言渡した有罪の判決につき、弁護人橋本清次郎は不服なるを以て、控訴期間の同月十九日、右弁護人の氏名を以て控訴申立書を作成し、同日函館弁護士会事務局佐藤事務員に同裁判所へ提出方依頼し、其儘帰宅したる処、翌二十日に至り右控訴申立書は尚弁護士会事務局に保管しあり、未だ同裁判所に提出し居らざるを発見したので、急ぎ右申立書を提出したが、右の如く期間の徒過は前述の如く弁護人の責に帰すべからざる事由あるものであるから、上訴権の回復を求める。というのである。

しかし、函館弁護士会事務局佐藤事務員は、弁護人橋本清次郎の補助機関、又はその代人と認められ、右佐藤事務員が、昭和三十四年二月十九日右弁護人から函館地方裁判所に右弁護人名義の控訴申立書の提出方を依頼されたがこれを提出せず、右申立書を同弁護士会に保管し控訴期間を徒過したと言うことになり、これは、右弁護人自身の過失か、又はその代人の過失によるものであることは明らかであつて、いづれにしても、到底刑事訴訟法第三百六十二条にいわゆる、自己又は代人の責に帰することができない事由に該当するものとは認めることができない。

そうすれば、本件において昭和三十四年二月十九日までに控訴申立書を提出することができなかつたのは、刑事訴訟法第三百六十二条にいわゆる自己又は代人の責に帰すべき事由によるものと認めざるを得ない。

よつて、本件上訴権回復請求を理由ないものと認め主文のとおり決定する。

(裁判官 永淵芳夫)

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