大判例

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名古屋地方裁判所 平成9年(わ)113号 判決

本籍

名古屋市熱田区三本松町二一番

住居

同所同番 神宮東パークハイツ一四棟七〇四号

会社役員

清田和義

昭和三三年七月二四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する(公判出席検察官新河隆志。弁護人城正憲、同浅賀哲)。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができない時は、金三万二〇〇〇円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から五年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市熱田区三本松町二一番神宮東パークハイツ一四棟七〇四号に居住し、ラーメンチェーン店「藤一番」の経営を目的とする株式会社エクサの代表取締役をする傍ら、ファッションヘルス「レディース・ビラ」などの風俗関連営業等を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、他人名義で店舗を経営するなどの方法により所得を秘匿した上、平成四年分の実際総所得金額が一億六七五四万六七二九円であったのに、平成五年三月一五日、名古屋市熱田区花表町七番一七号所在の所轄熱田税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が七三〇万九二二五円で、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると三七五万二〇三四円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により同年分の正規の所得税額七四五三万七三〇〇円と右申告税額との差額七八二八万九三〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

括弧内の記号番号は、検察官請求証拠の記号番号(番号は記録上算用数字)である。検察官に対する供述調書は「検察官調書」、大蔵事務官に対する供述調書である質問てん末書は「大蔵事務官調書」と記載する。

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官調書三通(乙八ないし一〇)及び大蔵事務官調書六通(乙一ないし六)

一  飛鳥井章一の検察官調書(甲四四)及び大蔵事務官調書四通(甲四〇ないし四三)

一  田中武成の検察官調書(甲四七)及び大蔵事務官調書二通(甲四五、四六)

一  稲垣早苗(甲四八)、山田浩二(甲四九)及び大喜多洋幸(甲五〇)の各大蔵事務官調書

一  大蔵事務官作成の

1  脱税額計算書(甲二)

2  証明書(甲三)

3  査察官調書一四通(甲四ないし一七)

4  写真撮影報告書(甲二三)

(法令の適用)

一  罰条 所得税法二三八条

二  刑種の選択 懲役刑と罰金刑とを併科

三  労役場留置 平成七年法律第九一号による改正前の刑法一八条

四  懲役刑の執行猶予 右改正前の刑法二五条一項

(量刑の理由)

被告人は、飲食店の経営を目的とする株式会社を経営する傍ら、風俗関連の店舗を経営していたが、風俗関連の店舗の営業者名義を従業員若しくは共同経営者にして各店舗の売り上げの大部分を秘匿して、七八二八万円余りの多額の所得税をほ脱したもので、ほ脱率も高率であり、その刑事責任は重い。また、被告人は、いずれも執行猶予の付いた懲役前科が二犯が(ママ)あり、過去の行状も芳しいものではない。

他方、被告人は、自己の行為を素直に反省しており、起訴に係る本税、延滞税及び重加算税の全額を納付するとともに、他の未納の税金も完納している。そして、税理士の指導を受けて従来の経理管理体制を改善し、再犯の防止策を講じている。また、本件が発覚して報道されたことから、被告人の経営する会社の融資が停止されたり、風俗店を閉鎖するなど、相当の社会的制裁も受けるに至っている。

以上の事情及び記録にあらわれたそのほかの諸事情を総合考慮して、主文の刑を量定した上、懲役刑については特に刑の執行を猶予することとした。

(裁判官 三宅俊一郎)

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