大判例

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名古屋地方裁判所 昭和37年(ワ)1982号 判決

原告 田山地正彦

外二名

右原告三名訴訟代理人弁護士 野島達雄

被告 上田正位

外三名

右被告四名訴訟代理人弁護士 大池竜夫

右訴訟復代理人弁護士 湯木邦男

被告 山田正喜

被告 山田豊子

主文

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

≪省略≫

理由

成立に争のない甲第五ないし第一一号証≪中略≫を綜合すると昭和三十六年十一月五日訴外宇野新道(昭和二十三年六月十五日生れで中学一年生)がかねて拾得していた自動車のキイを用いて訴外長田豊二(昭和二十二年三月三十日生れで当時中学三年生)の家先に数日前から放置してあつた三輪自動車を始動させた上、訴外長田豊二がハンドルを握る訴外上田美千夫(昭和二十二年八月九日生れで当時中学二年生)がブレーキを受持ち訴外山田正夫(昭和二十二年九月四日生れで当時中学二年生)と訴外宇野とを同乗させて右自動車の所有者に無断、しかもいずれも運転免許もないのに運転を開始した過失によつて原告ら主張の場所において原告田山地ひとみに右自動車を衝突させ、同原告ら主張のような傷害を負わしたことが認められる(もつとも被告山田両名を除く被告四名と原告間においては原告ひとみが三輪自動車に衝突したことおよび右事故の原因が右認定のような事情によるものであることについては争がなく、被告山田両名と原告間においても原告ひとみが交通事故によつて負傷したことについては争がない。)

右認定の事実からすると訴外山田正夫は単に右自動車の同乗者にすぎないから右事故について責任を負うべき義務はなく、したがつてその両親である被告山田両名にもこれが責任のないことは明白である。また訴外長田豊二は前認定のごとく当時満十四才七ヶ月余の中学三年生であり、訴外上田美千夫も当時満十四才二ヶ月余の中学二年生であり、訴外宇野新道もまた当時満十三才四ヶ月余の中学一年生であつていずれも未成年者であるけれども、少くとも満十三才四ヶ月余の中学生ともなれば前認定の加害行為についての民法第七百十二条にいわゆるその行為の責任、すなわち法律上の責任を弁識するに足りるべき知能を有していたものというべきであり、かつ右訴外人らの父または母である被告ら(右訴外人らと被告らの身分関係については当事者間に争がない)において各右未成年者の親権者として叙上の事故につき監督上の義務を怠つたことにつき原告は何らの立証をもしていないのであるからいずれにしても被告らは原告らが本件事故によつて蒙つた損害についてこれが賠償をなすべき義務はないことになる(なおこの点は被告山田両名について同様である)。

よつて原告らの被告らに対する本件請求は他の判断を俟つまでもなく失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 木戸和喜男)

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