大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

名古屋地方裁判所 昭和40年(ワ)3379号 判決

主文

原告に対し、被告岡博は別紙第一目録記載の土地上にある別紙第二目録記載の建物を収去してその敷地を明渡し、被告株式会社末広クラブは別紙第二目録記載の建物から退去してその敷地を明渡さなければならない。

訴訟費用は被告等の負担とする。

この判決は原告が金二百万円の担保を提供するときは仮に執行することができる。

事実

原告は主文と同旨の判決と仮執行の宣言を求め、請求の原因として、

(一)原告は昭和二十九年九月十日別紙第一目録記載の土地を被告岡に対し、同年十二月一日から昭和三十九年十一月三十日迄の期間ゴルフ練習場として使用せしめ、同被告は右土地使用権を第三者に譲渡乃至転貸せず万一これに違反した場合及び使用期間満了の場合は右土地を原状に復し原告に返還する旨の使用貸借契約を締結し右土地を被告岡に引渡した。(二)同被告は右土地を末広クラブの名称の下にゴルフ場として使用中原告の承諾なく別紙第二目録記載(一)の建物(居宅)及びその他の建物を新築したが、前記契約は建物所有の目的でないので仮設小屋ならまだしも居宅などを建築するのは契約の使用目的に違反するものである。(三)同被告はその後昭和三十三年五月一日右末広クラブを原告不知の間に株式会社組織にして被告株式会社末広クラブを設立してその取締役に就任し、当時代表取締役であつた被告岡博の長女岡文枝及びその夫岡進に被告会社を経営せしめて、右土地を被告会社のゴルフ練習場として使用させる一方、被告岡博は千種区星ケ岡一丁目七番地に居住して知多郡武豊町富貴のカントリークラブに就職している。そして右岡文枝、進の夫婦は被告岡博の同居の家族としてではなく、右土地に生活の本拠を置き独立の世帯を持ち、被告会社は事実上被告岡博から独立した存在となつているので被告岡博は被告会社乃至右岡文枝夫婦に右土地の使用権を譲渡したものであつてこれまた前記契約に違反するものである。(四)更に原告は昭和三十九年十一月二十九日被告岡博に対し前記使用貸借期間が満了したので、右土地の返還を請求した。よつて原告は前記使用貸借契約に基き第一次的に期間満了による土地の返還を求め、第二次的には右契約の使用目的違反、第三次的には第三者である被告会社に右土地の使用権を譲渡したのでその違反に基き、被告岡博に対し別紙目録記載の土地上にある別紙第二目録記載の各建物を収去してその敷地の返還を請求し、被告株式会社末広クラブは右土地を原告に対抗しうべき何等の権原なく占有しているので、その退去明渡を請求すると述べ、被告の主張事実を否認し、前記契約が賃貸借契約であるとしても、原告は宗教法人であり契約当時境内地であつた右土地については宗教法人法第二十三条、同第二十四条により原告の代表役員高間宗道にその処分の能力、権限がないので民法第六百二条の期間を超える如き十年間の賃貸借契約は無効である。と陳述した。

被告は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求め、答弁として請求の原因たる事実(一)について別紙第一目録記載の土地について貸借契約が成立したことは認めるが、本契約はゴルフ練習場、住宅建設を目的とし期間は一応十年間と定め十年間の地代金五十万円は前払の約で賃貸借契約をなしたもので、被告岡博は右約旨に基き昭和二十九年九月三十日、同年十月三十一日に各金五万円、同年十一月以降同三十年八月まで毎月末日に各金四万円を原告に支払つた外、昭和二十九年八月三十一日右土地使用の権利金として金五十万円を支払つた。請求の原因たる事実(二)について、被告岡博が右土地上に別紙第二目録記載の建物を建築した事実は認めるが、同被告は原告より右土地を借受けると同時に原告の代表役員高間宗道の承諾を得てこれを建築したものであり、若し承諾なしとするも右同人は建築の事実を知りながら黙認していたものである。請求の原因たる事実(三)について同被告が被告株式会社末広クラブを設立し被告会社が右土地をゴルフ練習場として使用していること、岡文枝が同会社の代表取締役であつたことがあること、及び被告岡博が知多カントリークラブに就職した事実は認めるが、被告会社は被告岡博の個人会社であり、税金納入のため経理を明確にするために設立したものであり、又被告岡は同人所有の別紙第二目録の建物を被告会社に賃貸しているに過ぎず、右土地を転貸したことはない。請求の原因たる事実(四)の事実を否認する。と述べた。

証拠(省略)

別紙

第一目録

名古屋市中区東田町二丁目中五工区五八ブロツク二十八番

千二百七十一坪五分三勺(四、二〇三、四〇平方米)の内

二三三、〇二平方米(七十坪四合九勺)

旧地中区東田町二丁目十五番地千五十二坪四合二勺(三、四七九、〇六平方米)

第二目録

名古屋市中区東田二丁目中五工区五八ブロツク二十八番

家屋番号 二丁目十五番の二

一、居宅 木造瓦葺平家建

床面積五二、九五平方米(一六坪二勺)

附属建物

二、ゴルフ練習場、木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建

床面積三一、〇七平方米(九坪四合)

三、事務所、木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建

床面積一〇、九〇平方米(三坪三合)

四、ゴルフ練習場、木造亜鉛葺平家建

床面積二〇、三〇平方米

五、事務室、木造亜鉛葺平家建

床面積七、一四平方米

六、物置場、木造亜鉛葺平家建

床面積四、五九平方米

七、物置場、木造亜鉛葺平家建

床面積五、〇四平方米

八、居宅、木造瓦葺平家建

床面積一四、一七平方米

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

本サイトは報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること)を事業としており,掲載された全ての情報は報道等に活用することを目的としています。

©daihanrei.com