大判例

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名古屋地方裁判所 昭和43年(ワ)3272号 判決

原告 栗本時春

〈ほか二名〉

右三名訴訟代理人弁護士 内藤三郎

右訴訟復代理人弁護士 永田水甫

同 天野一武

被告 新名交通株式会社

右代表者代表取締役 愛知孝夫

右訴訟代理人弁護士 水口敲

同 棚橋隆

主文

被告は、原告栗本時春に対して金四五万円、原告尾関克信に対して金二〇万円、原告加藤瀧男に対して金五〇万円、およびこれらに対する昭和四三年三月一日以降右支払ずみに至るまで、年一割八分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は仮りに執行することができる。

事実

原告ら訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言を求めた。≪省略≫

被告訴訟代理人は「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」との判決を求め(た。)≪以下事実省略≫

理由

一、原告らがその主張の金員を、その主張の如き条件で被告に貸与したことは、当事者間に争いがない。

二、被告は昭和四三年三月三日の第一回債権者集会において、被告会社の債務の弁済に関する一切の取りきめを被告会社の再建委員会に一任する旨の決議が成立したと主張するが、この点に関する≪証拠省略≫は≪証拠省略≫に対比して措信し難く、そして他に右事実を認めるに足る証拠はない。

又被告は昭和四三年四月一六日の第二回債権者集会において原告らが、債権を二ヶ年据置き、その後二ヶ年内に弁済する旨の決議に賛成したと主張するが、この点に関する≪証拠省略≫は≪証拠省略≫に対比して措信し難く、そして他に右事実を認めるに足る証拠はない。

被告は債権者集会は権利能力なき社団であるから、その総会の決議は原告らを拘束すると主張するが、被告会社の債権者集会は単なる債権者の集りであって、それが社団性を有することを認めるに足る証拠はない。よって本件債権者集会で決議されたことは、賛成者と被告会社との間に和解契約が成立したに止まり、不賛成者に対しては何ら効力を及ぼすものではない。

よって被告の履行猶予の抗弁は採用できない。

三、次に被告は原告加藤瀧男に対して損害賠償債権を有するからそれと本件債権とを対当額において相殺すると主張するが、被告が右損害賠償債権について、相殺の意思表示をする以前に既に損害賠償請求訴訟を提起していることは被告において自認するところである。一個の債権に基づいて請求訴訟を提起して、その訴訟係属中に、他の訴訟においてその同一債権を以て相殺を主張することは、結局同一債権について既判力を生ずる二個の裁判を求めることになるから、民事訴訟法第二三一条の類推適用により許されないものと解するを相当とする。

よって被告の右相殺の抗弁は不適法として採用できない。

四、以上の理由により原告らの本訴請求は正当であるからこれを認容すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条を、それぞれ適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 松本重美)

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