大判例

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名古屋高等裁判所 昭和51年(ネ)215号 判決

控訴人

名木工業株式会社

右代表者

杉山充繁

右訴訟代理人

山本朔夫

被控訴人

株式会社豊橋木材市場

右代表者

柘植竹三郎

被控訴人

豊橋外材株式会社

右代表者

柘植竹三郎

右両名訴訟代理人

舟橋酉介

主文

控訴人の本件控訴および当審での予備的請求を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

一(1)  訴外有限会社平興製材所(以下訴外会社という)のなした本件代物弁済が詐害行為を組成するかどうかの点についての当裁判所の判断は、当審の〈証拠〉を加えて行つたところによるも、右代物弁済は詐害行為を組成しないものと認められ、その理由も原判決の説示するところと同じであるから、原判決理由記載を引用する。

(2)  なお、当審における控訴代理人の追加主張一、について述べるに、債権額に相当する価格のものでする代物弁済は原則として詐害行為とならないものというべきであり、ただ債務者と代物弁済を受けた債権者とが通謀して他の債権者を害する意思をもつて、したときに、当該代物弁済の行為が詐害行為を組成するものと解するのが相当である。

本件にあつては、前叙認定のごとく被控訴人らの訴外会社に対する債権額は合計金五四万円であるのに対して、本件代物弁済の目的物件たる原判決添付の別紙物件目録(二)記載の木材価格は金五四万一、〇八七円であつて、右代物弁済は適正な価格によつてなされたものであるところ、本件全証拠に照らしてみても、訴外会社代表者小出与一らが控訴人らと通謀して、他の債権者を害する意思のもとに、右行為に及んだものと認めることはできない。

又、控訴代理人の追加主張二について述べるに、〈証拠〉によれば、訴外会社の代表者小出与一が吐血して入院した翌日の昭和四七年一月二三日から同二五日頃までの間に債権者の一部である控訴人、鏡味材木店、丸惣木材店等の各責任者(被控訴人らの責任者は加わつていなかつたものと認められる)が集つて、債権者間に、訴外会社の木材を他に抜け駆けて持出すことがないように話合つたことが推認されるが、被控訴人らは右話合いに加わつたことは、本件全証拠に照らしても認められず、仮に被接訴人らが右話合いに加わつていて、右抜け駆けをしないことに賛成していたのに、その約束に反して、本件代物弁済を受けたとしても、被控訴人らにおいて右約束違反の責任を負うことはあつても、それは本件代物弁済が詐害行為を組成するかどうかとは別の問題である。

もし、債権者らにおいて一部の債権者に対する弁済を無効として強制的に公平な弁済を欲するのであれば、破産手続を申請して、否認権等によつて救済を求めるほかはない。〈以下、省略〉

(丸山武夫 林倫正 上本公康)

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