大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和25年(う)458号 判決

被告人

湖山、金東珠、又は金田事

金八述

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人新崎武外の控訴趣意論旨第一点について。

弁護人は、或る特定の人が、或る特定の物件につき、刑法第二百五十六条第一項、第二項の犯罪類型に属する数個の行為を為した場合、たとえば、或る人が情を知りながら或る特定の臓物を保管し其の後該物件を運搬したり、売却したりするような行動に出た場合、常にこれを一罪として処断すべく、これを数個の犯罪として処断するを許さないと主張するが、しかしながら、同一人が同一物件について所論のような行為をした場合であつても、いやしくも、犯意の発現が別個独立のものである限り、これ等各所為の相互の間に、刑法第四十五条所定の併合罪関係の成立を認むべきであることは別段の説明を要せざる法律上明白な事がらに属するのであつて、今これを本件について観るに、原審認定の事実を原判決並びに原判決の引用する起訴状の各記載によつて検討すれば、「被告人は第一、(一)昭和二十三年六月十日昼頃自宅で山森義幸外二名より同人等が窃取した衣類十一点を、同月十一日午前五時頃自宅で同人等より同人等の窃取した衣類三十二点を、何れもその盗品であることを知りながら、同月十一日午前六時半頃まで自宅に預り保管して寄臓し、(二)同月十一日同人等と共にその衣類を自宅より京都市迄輸送して運搬したものである」と言うのであり、また、原判決挙示の証拠によれば、判示物件を他に運搬する目的で預つたものではなく、其の後偶々被告人が所用により京都方面に旅行しようとするに当り、改めて前記三名の依頼により、これを判示場所より判示地点まで、携行するに至つたものであることを肯認し得るのであるから、原判決引用の起訴状記載第一(一)(二)の事実は、各々犯意の成立を全く異にする別個独立の罪であることが明かであり、従つて該所為に対し、刑法第二百五十六条第二項、同法第四十五条等を適用した原判決には、所論のような法令違反は存しないから、論旨は理由がない。

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