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大阪地方裁判所 平成4年(わ)2301号 判決

本店所在地

大阪市淀川区木川東三丁目一番九号

新大阪硝子株式会社

右代表者代表取締役

池田信昭

本籍

同市同区木川東一丁目九番

住居

同市同区木川東三丁目一番九号

会社役員

池田信昭

昭和二四年一月二一日生

主文

被告人新大阪硝子株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人池田信昭を懲役一年に各処する。

被告人池田信昭に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人新大阪硝子株式会社(以下被告会社という。)は、大阪市淀川区木川東三丁目一番九号に本店を置き、アルミサッシ・ガラスの販売、修理及び取付工事業等を営むもの、被告人池田信昭(以下被告人という。)は被告会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和六二年七月二一日から同六三年七月二〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、六二五〇万〇九二八円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二四九三万八八〇〇円であるのに、架空の仕入を計上するなどの不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年九月二〇日、同市同区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙1の修正損益計算書記載のとおり、八七五万一一一八円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり二三六万四二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二二五七万四六〇〇円を免れた、

第二  昭和六三年七月二一日から平成元年七月二〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、七〇〇七万八七五九円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二八一三万七五〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年九月二〇日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙2の修正損益計算書記載のとおり、九六六万七六四六円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり二七九万九二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税二五三三万八三〇〇円を免れた、

第三  平成元年七月二一日から同二年七月二〇日までの事業年度における実際の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、六〇六六万三三九六円で、これに対する法人税額が、別紙4の税額計算書記載のとおり、二三一〇万八五〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同年九月二〇日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が、別紙3の修正損益計算書記載のとおり、一三〇七万二五三二円で、これに対する法人税額が別紙4記載のとおり四〇八万三六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、別紙4の税額計算書記載のとおり、右事業年度の法人税一九〇二万四九〇〇円を免れた。

(証拠) ( )内の算用数字は、検察官請求番号である。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する平成三年五月三〇日付け、同年九月一九日付け、同年一〇月一二日付け、同月一九日付け各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の平成三年一〇月一日付け(検察官請求番号八)、同日付け(同一〇)、同月九日付け(同一一)、同日付け(同一二)、同日付け(同一四)、同日付け(同一五)、同月一六日付け(同一八)、同月九日付け(同一九)、同月一七日付け(同二〇)各査察官調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の法人登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(同四)

判示第二の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する平成三年九月三日付け質問てん末書(同三三)

一  大蔵事務官作成の証明書(同五)

一  大蔵事務官作成の同年一〇月五日付け(同一三)、同日付け(同一六)、同日付け(同一七)各査察官調査書

一  池田一則の大蔵事務官に対する各質問てん末書

判示第三の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する平成三年七月五日付け質問てん末書

一  大蔵事務官作成の証明書(同六)

一  大蔵事務官作成の同年一〇月一日付け(同九)査察官調査書

一  酒井雅宏の検察官に対する供述調書(不同意部分を除く。)

(弁護人の主張に対する判断)

弁護人は、平成二年七月期の川崎建設株式会社に対する売掛金二〇六〇万円については、請負代金債権が平成二年七月二〇日までには発生していなかったので、実質的には、平成三年七月期決算の収入であって、売上繰延には当たらないと主張し、被告人も当公判廷において同趣旨の供述をしている。

しかしながら、前掲各証拠、特に、査察官調査書(検察官請求番号九)、酒井雅宏の検察官に対する供述調書、被告人の検察官に対する供述調書及び被告人の平成三年七月五日付け大蔵事務官に対する質問てん末書によれば、川崎建設からの請負工事は、平成二年六月末までに完了したと認められる。すなわち、それぞれの各証拠に添付されている被告人作成の工事台帳によると、契約ナンバー7の工事については、五十川硝子に下請をさせていたところ、五十川硝子からも六月、七月〆で被告会社に請求がなされていることが認められ、もし、被告人が当公判廷で供述するように、当該工事が八月までなされていたが、支払を確実に受けるために六月〆で請求したにすぎないというのであれば、五十川硝子からの請求もその後になされるべきものである。なお、右工事台帳によれば、本体工事の後、追加工事がなされ、それについても被告会社から請求書が出されていることが認められるのであるから、被告人が公判廷で供述するように五十川硝子の関係者が川崎建設の工事を続行していたとするなら、それはむしろ追加工事の関係によるものであると認められ、本体の契約ナンバー7の工事については、前記認定のとおり、各請求書、工事台帳の各記載、その他関係者の各供述調書等によって、同債権は平成二年七月期に発生したものであると認められる。

よって、弁護人の主張は採用できない。

(法令の適用)

被告人の判示各所為は法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、各所為につき法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金一五〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(出席検察官)森本和明

(出席弁護人)中川秀三

(裁判官 田中正人)

別紙1 修正損益計算書

〈省略〉

別紙2 修正損益計算書

〈省略〉

別紙3 修正損益計算書

〈省略〉

別紙4 税額計算書

〈省略〉

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