大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

大阪地方裁判所 平成5年(わ)194号 判決

本店所在地

大阪府茨木市野々宮一丁目三番四一号

株式会社

日新大理石

右代表者代表取締役

品川茂次

本籍

大阪市阿倍野区阪南町三丁目四九番地

住居

大津市赤尾町一三番三〇号

会社役員

品川茂次

昭和九年三月一五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官熊谷保出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社日新大理石を罰金一三〇〇万円に、被告人品川茂次を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人品川茂次に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社日新大理石(以下、「被告会社」という)は、大阪府茨木市野々宮一丁目三番四一号に本店を置き、建築用石材販売等を目的とする資本金八〇〇万円(平成二年三月三一日の変更前は四〇〇万円)の株式会社であり、被告人品川茂次(以下、「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括していた者であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、

第一  別紙修正損益計算書(一)記載のとおり、昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が三四一三万四三六〇円であったのに、架空の請求書、領収書を作成して支払を仮装し、架空仕入を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、平成元年一一月二九日、大阪府茨木市上中条一丁目九番二一号所在の所轄茨木税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七七九万八七七〇円で、これに対する法人税額が二二四万一八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙税額計算書記載のとおり、被告会社の右事業年度の正規の法人税額一三二二万九六〇〇円と右申告税額との差額一〇九八万七八〇〇円を免れ、

第二  別紙修正損益計算書(二)記載のとおり、平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が六〇七四万八七八六円であったのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、平成二年一一月二七日、前記所轄茨木税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七八四万一九二九円で、これに対する法人税額が二一九万七〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、別紙税額計算書記載のとおり、被告会社の右事業年度の正規の法人税額二三三〇万〇六〇〇円と右申告税額との差額二一一〇万三六〇〇円を免れ、

第三  別紙修正損益計算書(三)記載のとおり、平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が七六六〇万四六二五円であったのに、前同様の不正の行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、平成三年一二月二日、前記所轄茨木税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九九三万六〇二二円で、これに対する法人税額が二九〇万七六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、別紙税額計算書記載のとおり、被告会社の右事業年度の正規の法人税額二七九〇万八一〇〇円と右申告税額との差額二五〇〇万〇五〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

注・以下において、証拠中、末尾の括弧内に記載した漢数字は、証拠等関係カード(請求者等検察官)の証拠請求番号を示している。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の

(1)  検察官に対する供述調書二通(二三、二四)

(2)  大蔵事務官に対する平成四年一〇月一六日付質問てん末書二通(二一、二二)

一  田中都茂子の検察官に対する供述調書(一七)

一  村上三喜男(一八)及び山口亮介(一九)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書五通(記録第二二-一号(九)、記録第二二-四六号(一〇)、記録第二二-二号(一一)、記録第二二-四号(一二)、記録第二二-一二号(一五))

一  登記官大垣文男各認証の登記簿謄本(二五)、閉鎖役員欄用紙謄本二通(二六、二七)

一  登記官渡辺春雄認証の閉鎖登記簿謄本(二八)

一  被告会社作成の証明書(二九)

一  大蔵事務官作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面(八)

判示第一の事実について

一  被告人の大蔵事務官に対する平成四年九月一一日付質問てん末書(二〇)

一  大蔵事務官作成の証明書(平成元年一一月二九日に申告した申告書写についてのもの)(四)

一  大蔵事務官作成の脱税計算書(期間が昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までのもの)(一)

判示第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(記録第二二-五号(一三)、記録第二二-六号(一四))

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(平成二年一一月二七日に申告した申告書写についてのもの)(六)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(期間が平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までのもの)(二)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(平成三年一二月二日に申告した申告書写についてのもの)(七)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(期間が平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までのもの)(三)

(法令の適用)

罰条

被告会社 判示各罪についていずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項

被告人 判示各罪についていずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人の判示各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択

併合罪の処理

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項(判示各罪の罰金額を合算)

被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

主刑 被告会社を罰金一三〇〇万円、被告人を懲役一〇月

刑の執行猶予 刑法二五条一項(被告人に対し三年間猶予)

(量刑の理由)

本件は、建築石材の販売等を営業目的とする被告会社の設立当初からの代表取締役で、業務全般を統括していた被告人において、被告会社の昭和六三年一〇月から平成三年九月までの三事業年度に合計一億七一四八万円余の所得がありながら、うち一億四五九一万余の所得を秘匿して過少申告し、法人税合計五七〇九万円余を脱税した犯行で、脱税額も決して少なくなく、ほ脱率も約八八・六パーセントと相当高率の事案である。そして、脱税の動機は、大手建設会社に対する運動工作資金、あるいは、工事の不備等による追加工事、損害賠償の支出などに備えて簿外資産を蓄えるためであったとするものの、一部は、個人資産として蓄積されている事実もあって、とくに酌むべき点はなく、その所得の秘匿方法も悪質で、被告会社及び被告人の刑責は軽くない。

しかし、他方、被告人は、事実関係を認め、現在十分に反省していると認められること、被告会社においては、修正申告により本件ほ脱にかかる法人税本税、重加算税、延滞税を完納し、地方税等の関係も今後分割納付予定の一部を除いて納付済みであること、また、本件発覚後、被告人において経理に直接関与しない形をとるなどその経理体制を改めていること、さらに、被告人にはこれまで前科はないこと、あるいは、現在の被告人の健康状態など、被告会社及び被告人のためにそれぞれしん酌すべき事情もある。

そこで、これら諸般の事情を総合考慮し、被告会社及び被告人をそれぞれ主文掲記の刑に処したうえ、被告人に対してはその刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 竹田隆)

修正損益計算書(一)

〈省略〉

修正損益計算書(二)

〈省略〉

修正損益計算書(三)

〈省略〉

税額計算書

〈省略〉

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com