大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

大阪地方裁判所 平成7年(ワ)11266号 判決

原告

後藤優子

被告

株式会社ユタカ精工

ほか一名

主文

一  被告らは、原告に対し、連帯して金三三二万一九二六円及び内金五六万五三二六円に対する平成七年四月一五日から、内金二七五万六六〇〇円に対する平成七年一一月一一日から、それぞれ支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告らの負担とする。

四  この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  第一事件関係

被告らは原告に対し、連帯して金五二六万〇一〇〇円及びこれに対する平成七年一一月一一日(反訴状送達の日の翌日)から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  第二事件関係

被告らは原告に対し、連帯して金一四四万一〇六〇円及びこれに対する平成七年四月一五日(事故日)から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、交差点における普通乗用自動車同士の事故に関し、一方の運転者兼所有者が他方の運転者及びその使用者に対し、民法七〇九条及び七一五条に基づいて物損の賠償を(第一事件)、民法七〇九条及び自動車損害賠償保障法三条に基づいて人身損害の賠償を(第二事件)、それぞれ求めた事案である。なお、第一事件は、当裁判所平成七年(ワ)第五〇八〇号債務不存在確認請求事件の反訴として提起されたが、右事件は訴の取下げにより終了している。

一  争いのない事実

1  事故の発生

(一) 日時 平成七年四月一五日午前一一時三五分ころ

(二) 場所 大阪府豊中市新千里南一丁目七番九号先路上

(三) 関係車両

第一車両 原告運転、所有の普通乗用自動車(大阪三六ろ五三〇七号、以下「原告車」という)

第二車両 被告保田運転の普通乗用自動車(大阪三三る七〇九七号、以下「被告車」という)

(四) 事故態様 交差点において、被告車と原告車が衝突した(以下「本件事故」という)。

2  被告らの責任原因

(一) 被告保田は、その過失により本件事故を起こしたもので、民法七〇九条の賠償責任を負う。

(二) 被告会社は被告車の保有者であり、被告保田は、本件事故当時、被告会社の業務として被告車を運転していた。被告会社は民法七一五条、自動車損害賠償保障法三条に基づく賠償責任を負う。

二  争点

1  過失相殺(第一事件関係)

(原告の主張の要旨)

原告は、交差点手前で安全を期するために一旦停止したのに対し、被告保田は一旦停止の規制に違反し交差点に進入したものであるから、本件事故は被告保田の全面的過失によつて発生したものと言える。

(被告らの主張の要旨)

原告は交差点を直進するに当たり、右折しようとする被告車の動静を確認する注意義務があるのにこれを怠つた過失がある。被告らは原告の物損請求については過失相殺を主張する。

2  物損関係の損害(第一事件関係)

(原告の主張)

(一) 修理費用 二七六万円

(二) 代車代金 二一七万七六〇〇円

原告車は原告の夫の経営する株式会社大起の営業にも使用されていた。原告は、平成七年四月一八日、株式会社オリツクス・レンタカーウエスト(以下単に「訴外オリツクス」という)から代車を借りたものの、被告車の損害保険会社との修理代の話し合いが折り合わなかつたため、代車期間が相当期間に及び、原告は訴外オリツクスから多額の使用料の請求を受け、やむを得ず、二一七万七六〇〇円を支払うことで和解を成立させた。代車代金は訴外オリツクスが任意保険会社に請求し、保険会社が支払う旨の合意があつたこと、同年六月一九日までの代車使用期間の二か月というのは、原告車が高級外国車であることから見て修理相当期間であることから、右和解金は、被告において支払われるべき金額である。

(三) 事故現場からの牽引料 六六〇〇円

(四) 修理費見積費用 一二万五九〇〇円

(五) 保管料及びこれに伴う牽引料 一九万円

原告は代車を訴外オリツクスに返還後、友人やレンタカー会社から別の車を借りて使用中のところ、原告の敷地内に駐車スペースがないことから、未修理の原告車を、貸しガレージに保管している。その保管代金一月一万五〇〇〇円、一年分の一八万円及び貸しガレージへの牽引料一万円の合計一九万円は本件事故と相当因果関係がある損害である。

よつて、原告は被告らに対し、(一)ないし(五)の合計五二六万〇一〇〇円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日たる平成七年一一月一一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

3  人身損害(第二事件関係)

(原告の主張)

(一) 治療費 二万七〇〇〇円

(二) 文書料 一万四〇六〇円

(三) 休業損害 四〇万円

(四) 慰藉料 七〇万円

よつて、原告は被告らに対し、(一)ないし(四)の合計一一四万一〇六〇円及び(五)相当弁護士費用三〇万円の総計一四四万一〇六〇円及びこれに対する本件事故日から支払い済みまでの遅延損害金の支払を求める。

第三争点に対する判断

一  争点1(過失相殺)について

証拠(乙二、一七、検乙一ないし七)によれば、本件事故は住宅地を南北に延びる幅員約七メートルの道路とこれに西から突き当たる幅員約九・五メートルの道路によつてできた信号機によつて交通整理がなされていないT字型交差点において発生したこと、交差点の西詰めには一時停止線があること、原告は、南北道路を北進し、右交差点の手前で一時停止し、徐行しながら直進しようとした際、被告車と衝突したこと、他方、被告保田は、一時停止線で停止することなく、左方(北方)だけを見て、右方の注視を怠つたままで交差点を右折進行しようとして原告車と衝突に至つたことが認められる。してみると、本件事故は被告保田の一時停止義務違反、右方の注視義務違反によつて生じたもので、原告には過失は存しない。

二  争点2(物損関係の損害)について

1  修理費用について

(認定事実)

証拠(甲三ないし五、検甲一ないし五、乙一三、一四、一六、一八の1ないし7、証人後藤健二、証人高田順三、証人吉田健一、証人灘波博)によれば次の各事実を認めることができる。

(一) 平成七年四月一八日、被告車の損害保険会社である大東京火災海上保険株式会社(以下「訴外保険会社」という)から依頼を受けたアジヤスターである灘波博(以下「灘波」という)は、原告車を検分し、同月二一日ころ、総額九四万〇七九二円の修理見積書(甲四)を作成した(以下「灘波見積」という)。原告の夫である訴外後藤健二(以下「訴外後藤」という)は、右見積に不信感をもち、平成七年五月、株式会社ヤナセ(以下「ヤナセ」という)への見積を依頼し、ヤナセにおいて同月二二日ころ、整備部門では高田順三(以下「高田」という)、板金塗装部門では吉田健一(以下「吉田」という)が各見積を出し、総額二七五万八三四〇円の見積書(乙一四)を作成した(以下「ヤナセ見積」という)。

(二) ヤナセ見積の内容は別表Ⅰ、Ⅲのとおりである。これについての、高田、吉田及び灘波の証言内容は以下の通りである。

(1) 吉田証言

見積はヤナセの設定した部品価格表、工賃は一時間八〇〇〇円をそれぞれ基準に計算し、作業時間は今までの経験から見積もつて工賃を算出する。

今までの経験上、修理見積と実際の修理費用の誤差は一割程度である。

各項目については以下の通りである。

別表Ⅰの〈10〉については、経験上二時間を要するから、一万六〇〇〇円が工賃となる。

〈11〉フロントバンパーの取り付け部をさすが、破損状況が大きかつたので、取り替えを要する。

〈14〉、〈15〉、については、前記決められた金額によつて算出した。

〈18〉、〈19〉はボンネツトの熱を伝えないための断熱材であり、パネルに外圧が加わり、修正不可能であるうえ、中骨があるため板金修正には実施に困難を伴う。インシユレーターは接着剤で付着させてあるため、脱着すれば、再び付着させることは困難である。

〈21〉 車の骨格部分で重要であるが、サイドフレームの修正が不能であり、交換が必要である。

〈23〉 フロント部の変形により、歪みが来ているため、交換が必要である。

〈24〉、〈25〉については前記基準に従い算出した。

〈27〉、〈28〉については事故により左フロントフエンダーが突かれ、これに隣接する左フロントパネルが当たり、ペイントが欠け、パネルが曲がつたことに対する修理代である。

〈29〉ないし〈38〉は、前記基準に従つて算出した。

〈48〉 〈21〉の作業項目に対応するものである。

〈50〉 〈11〉の作業項目に対応するものである。

〈53〉 〈19〉の作業項目に対応するものである。

〈56〉 当初ボンネツトが閉まらなかつたことと、左側の損傷状況から考えて、右側にも歪みが生じていることが予想できたため、必要な作業である。

(2) 高田証言

別表Ⅱの〈1〉ないし〈5〉について、ラジエーターを囲むコアーサポートの損傷が大きく、その影響が内部に及んでいることが予想できたので、ラジエーターの交換を計上した。

〈3〉ないし〈5〉はラジエータに接続されているゴム製のホースであるが、古いので、ラジエーターの脱着に際して破損が予想されたので計上した。

〈11〉イグニツシユコイルは、中が細かくできており、破損しやすく、エンジン機能に不可欠の重要な部品である。

〈17〉ないし〈30〉については、ラジエーター及びその回りの部品であるが、周囲の損傷状況から見て、かなりの外圧がかかつているので交換が必要である。

〈41〉、〈42〉は〈14〉の作業項目に対応する。

(3) 灘波証言

ヤナセの見積中前記(1)、(2)に摘示されている各修理は、板金で済むところを部品の交換をすることを前提に見積つたり、破損修理の及んでいる可能性があるにすぎない箇所を修理の対象としたりするもので過大な見積と言える。

即ち、別表Ⅰの〈14〉、〈15〉については合わせて二万五〇〇〇円で済む。〈18〉、〈19〉、〈21〉は板金修理で済み、その場合六万円が工賃となる。〈23〉は、歪みが生じておらず、不要であり、〈24〉、〈25〉も板金修理で済む。〈30〉〈35〉については、アクリルのペイントであるので合わせて一八万円程度で済むはずである。〈34〉も同様に一万二〇〇〇円程度で済むはずである。〈48〉、〈50〉、〈53〉はいずれも板金修理で充分である。

別表Ⅱの〈11〉、〈17〉については原告車の損傷状況から判断して右各部品まで損傷が及んでいないと判断される。〈19〉ないし〈30〉については、ラジエータが破損した場合当然起こるべき水漏れがないから、ラジエーター及びその回りの部品の取り替えは不要である。〈14〉〈21〉ないし〈24〉は左前輪のタイヤの外枠についての修理であるが損傷が無く、修理不要である。

(判断)

ヤナセ見積を採用すべきである。前記高田、吉田の各証言内容は、首尾一貫し、個々の修理内容に関する供述内容も具体性に富み、両者の証言内容にも齟齬するところはない。また、その証言にかかる修理箇所及び内容は、証拠(検甲一ないし一一)によつて認められる事実、原告車はその左前部に相当程度の衝撃を受けていることに鑑みて、合理性が肯定できる。

他方、灘波証言は、明らかな破損が認められない限り修理の対象とはしないという姿勢に立つたものである。しかし、外力の方向・程度、部品の構造により、当該部品が破損している蓋然性が高ければ取り替えの必要性が肯定できるので、その意味で、灘波見積は、過少の見積との疑いを抱かせる。また、吉田証人が板金では収まらず取り替えを要する具体的理由、工賃についてはその計算根拠を述べているのに対し、灘波証人は多くの場合、自分の判断の結論部分を示すにとどまること、別表Ⅱの〈14〉〈21〉ないし〈24〉に関して左前輪のタイヤの外枠に損傷がないと証言するが、前記検甲三号証からは損傷が及んでいるように見えることなど、説得力に欠ける点がある。更に、前記のように、平成七年四月作成の報告書(甲四)では修理見積価額を九四万〇七九二円としながら、証言ではこれを一二六万八三二〇円とし、平成八年四月作成の報告書(乙一六)においては一五〇万円位という見積をなしており、首尾一貫しない。加えて、2において述べるように、原告車の時価額について述べる点も信用性に乏しいもので、証言内容全体の信用性は、前記各証言に比すれば格段に落ちるものと言わざるを得ない。

2  原告車の時価について

原告車(初年度登録昭和五七年四月、メルセデスベンツ五六〇SEL)の時価について、前記甲四号証には原告車の時価額として二〇〇万円との記載があること、証人後藤健二の「原告車の同様の年式、型式の車はオークシヨンでは一〇〇万円程度の値であるが、これを整備して車検を通し、顧客に販売される段階ではその倍程度の値段が付される。」という証言内容も概ね右金額を裏付けるものであることからすれば、当時の原告車の時価は二〇〇万円であつたと認められる。

これに反し、灘波は、「当時の時価は、オートガイド自動車価格月報(いわゆるレツドブツク)等に記載はないものの、一〇〇万円程度であつたと思われるが、甲四号証では二〇〇万円と書き違えた。右書き違えには一、二週間程度で気づき、訴外保険会社の担当者に伝えた。」と証言する。しかしながら、本件訴訟の審理経過に照らすと右灘波の証言時点まで原告車の時価が二〇〇万円であることは、被告訴訟代理人においてこれを認めていたところであり、灘波証言が正しいとするとなぜ右書き違えの事実が訴外保険会社から被告訴訟代理人に伝わらなかつたのか理解に苦しむところであるうえ、二〇〇万円と一〇〇万円の誤記というのも一般的に起こりにくいもので、右証言はにわかには信用しがたいところである。他に、時価額についての前記認定を覆すに足る証拠はない。

したがつて、原告車の損害は修理費用が時価額二〇〇万円を超えていることから二〇〇万円が損害額となる。

3  代車代

(認定事実)

証拠(甲一、二、六、乙一一、一三、一五、証人後藤健二、証人吉田健一、証人灘波博)及び弁論の全趣旨を総合すると次の各事実を認めることができる。

(一) 原告車は原告が私用に使つていたほか、訴外後藤の経営する不動産業を営む株式会社大起の業務用に使用されていたが、原告は、平成七年四月一八日、訴外保険会社の紹介により、訴外オリツクスとの間で、代車(ベンツ)を一日四万五〇〇〇円(但し一日目は七万五〇〇〇円)、無断延長の場合三倍の賃料を支払うことを約して、同日午後〇時半引渡しを受けた。ところが、訴外後藤が前記灘波見積に不信感を持ち、同月二二日ころ、灘波に対し電話で「元通り直してくれ。」と要求し、以後、適正修理代金を見積を巡つて紛糾した。同年五月三日ころ、訴外オリツクスが右代車を引取りに来た際、原告において、訴外保険会社の立会いを求めたところ、容れられず、原告において右引取りを拒否した。そうするうち、代車使用期間が延び延びになり、ようやく、同年六月一九日に訴外オリツクスに返還された。

(二) 訴外オリツクスは、原告に対し、平成七年五月三日午後〇時半以後の延滞賃料六七二万八七八四円及び遅延損害金の支払を求めて訴訟を提起し、平成八年二月九日、訴外オリツクスと原告との間で「原告は、平成八年三月末日限り訴外オリツクスに対し、二一七万七六〇〇円を支払う。」ことを骨子とする訴訟上の和解が成立した。

(三) 訴外保険会社は、平成九年五月一二日、訴外オリツクスに対し、平成七年五月三日午後〇時半までの賃料として三七万四九二〇円を支払つた。

(四) 原告車の修理には板金塗装、整備を含め、三〇日程度を要する。

(判断)

原告車の修理に要する期間は三〇日であり、原告が新車購入を決めたとしても納車までにはほぼ同様の期間を要すると認められる。

ところで、交通事故の被害者は、損害の拡大を防止することにできるだけ努めるべきであり、修理代を巡つて紛争が生じた場合においても、損害保険会社の判断にとらわれず、自らの判断で修理をなすことが許されることを考えると、平成七年六月一九日までの代車使用期間全部に亘つて本件事故との相当因果関係を肯定することはできない。しかしながら他方、加害車両について対物保険契約を含む損害保険契約が締結されている場合、右保険会社の意向を当初から無視して被害者が自らの判断で修理をすることは通常考えられず、これを被害者に期待することもできない。原告が自らの判断で修理を決めるまでには、他の修理業者の意見を聞くなどして灘波見積ないしはこれに基づく訴外保険会社の修理に関する提案を検討するという手順を踏まなければならず、しかも、この検討がたやすいことでないのは、いわば被告側である灘波見積が不相当であつたことにも起因している。よつて、本件事故と相当因果関係がある代車期間は、原告が代車使用を開始した同年四月一八日午後〇時半から要修理期間の三〇日に限定すべきではなく、右時点から四五日間とするのが相当である。そして、同年五月三日午後〇時半までの賃料は、訴外保険会社において支払済みであるから、四五日から一五日を差し引いた三〇日間の代車代につき被告らが責任を負う。

そこで右期間の相当代車代金について検討するに、原告は損害拡大の防止に努めるべきであり、他から代車を借りることもできたのであるから、当裁判所が相当代車代金を決するにあたり、訴外オリツクスとの契約内容及び和解内容に拘束されることはない。原告車の車種、使用状況を総合すると一日あたり二万五〇〇〇円が本件事故と相当因果関係がある代車代と認められる。

これにより、本件事故と相当因果関係がある代車代を算定すると七五万円が求められる。

計算式 二万五〇〇〇円×三〇日=七五万円

4  事故現場からの牽引料 六六〇〇円

(主張同額、乙二一)

5  修理費見積費用、

6  保管料及びこれに伴う牽引料

これらは、本件事故と相当因果関係がある損害とは認められない。

三  争点3(人身損害)について

1  認定事実

証拠(乙三の2、四ないし七、一七)によれば次の各事実を認めることができる。

(一) 原告は、本件事故により、外傷性頸部症候群、左肩上腕部打撲の傷害を負い、事故日である平成七年四月一五日、箕面市立病院において頸・腰の痛み、左肩が痛く、挙上しにくいとの症状を訴え、同年五月二日まで同病院及び星光病院に通院した(実通院日数九日)。原告は、事故から一月余り、頸部、左肩関節上腕部に腫脹と鈍痛、頸椎運動制限があり、頸部から左肩、更に手指にかけての放散痛が継続した。同乗していた原告の娘、後藤橘果(当時四歳)も頸部症候群の疑いで箕面市立病院で診察を受けた。

(二) 原告は当時三二歳の健康な女性で、幼い子供をかかえ、主婦業をなす一方、訴外後藤が経営する株式会社大起の事務をしていたが、右傷害のため、事故の日たる平成七年四月一五日から一か月間会社を欠勤し、家事にも支障を来した。

2  判断

(一) 治療費 二万七〇〇〇円

(主張同額、乙八)

(二) 文書費 一万四〇六〇円

(主張同額、乙八、九)

(三) 休業損害 三〇万四二六六円

(主張四〇万円)

原告の就業状況から考えて、原告は平成六年度賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計、女子労働者三〇歳から三五歳までの平均年収三六五万一二〇〇円に見合う労働をしていたと認められる。就労不能期間は事故後一か月と認められるからこれにより、休業損害を算定すると右金額が求められる。

計算式 三六五万一二〇〇円÷一二月=三〇万四二六六円(円未満切捨)

(四) 通院慰謝料 一二万円(主張七〇万円)

原告の傷害の部位・内容・程度、通院期間・状況を考慮して右金額が相当である。

第四賠償額の算定

一  第一事件について

1  第三の二の合計は二七五万六六〇〇円である。

2  よつて、原告の被告らに対する請求は、右金額及びこれに対する訴状送達の日の翌日たる平成七年一一月一一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由がある。

二  第二事件について

1  第三の三の合計は、四六万五三二六円である。

2  1の金額、事案の難易、請求額その他諸般の事情を考慮して、原告が訴訟代理人に支払うべき弁護士費用のうち本件事故と相当因果関係があるとして被告が負担すべき金額は一〇万円と認められる。

3  1、2の合計は五六万五三二六円である。

よつて、原告の被告らに対する請求は、右金額及びこれに対する本件事故日である平成七年四月一五日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由がある。

(裁判官 樋口英明)

別表Ⅰ・Ⅱ 略

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com