大判例

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大阪地方裁判所 昭和28年(タ)78号 判決

原告 金田よね(仮名)

右代理人 山根徹(仮名)

被告 金田東林(仮名)

主文

原告と被告とを離婚する。

訴訟費用は被告の負担とする。

理由

真正に成立したと認められる甲第一、二号証(戸籍謄本及び除籍抄本)によれば、原告はその主張の日被告と婚姻した事実を認めることができる。よつて原告主張の離婚原因事実について考える。真正に成立したと認められる甲第三、四号証(引揚証明書及び証明書)並に原告本人尋問の結果を綜合すると、原被告両名は婚姻後原告主張の住所(大阪市内)で同棲していたが、原告主張の頃その肩書本籍地南鮮に帰国して同地の農家である被告の生家で生活していたところ、原告は農業の手伝は十分にできず、且つその生立ちは被告生家の風俗習慣に合わないので、被告はついに原告と離婚したい旨原告に申出で被告と離別して昭和二十一年十一月初頃日本に帰還したこと、原告は右帰還後被告に対し再三通信をしたにかかわらず、被告からは一回の通信すらなく今に至るも消息判らず、その生死が三年間明かでないことが認められる。

しかるに法例第十六条に依れば、離婚は其の原因たる事実の発生した時に於ける夫の本国法に依るべきものであるところ、現在大韓民国に於ては離婚に関する成文法はなく、旧朝鮮民事令に準ずる内容の慣習法が行われて居り、右慣習法に依れば配偶者の生死が三年をこえる期間明かでないときは、これを原因として離婚の訴を提起することが認められ、しかもかかる事実はわが民法上においても亦裁判上の離婚原因とせられるところである。従つてこれを理由として被告に対し離婚を求める原告の本訴請求は正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 乾久治 裁判官 仲西二郎 裁判官 白須賀佳男)

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