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大阪地方裁判所 昭和45年(ヨ)2082号 判決

申請人 小林正明外八名

被申請人 枚方市

主文

本件仮処分申請をいずれも却下する。

訴訟費用は申請人らの負担とする。

事実

第一、当事者双方の求める裁判

一、申請人ら

(一)  申請人らが被申請人に対して雇用契約上の地位を有することを仮に定める。

(二)  被申請人は申請人らに対し各金九万円および昭和四五年六月以降毎月末日限り金四万五、〇〇〇円の割合による金員を仮に支払え。

(三)  被申請人は申請人らを別紙(一)就労場所等目録記載のとおりの就労場所に就労させなければならない。

(四)  被申請人は申請人らが右就労場所に入構するのを阻止してはならない。

二、被申請人

本件仮処分申請をいずれも却下する。

第二、申請の理由

一、被申請人は、その区域内に少くとも二五の小学校、中学校および幼稚園(以下単に学校園または施設という。)を所有管理する地方公共団体であるところ、申請人らはそれぞれ別紙(一)就労場所等目録記載の日に、同目録契約当事者欄記載の学校に赴き、同欄記載の学校長から警備員としての業務に従事することの許可を受けることにより被申請人との間で学校園の警備を内容とする期間の定めのない労働契約を締結した。すなわち

(一)  被申請人設立の学校園の夜間および休日における警備保安は、従来各学校園に勤務する教職員の宿日直勤務によつて行われていたが、日本教職員組合の宿日直拒否斗争を契機として被申請人の教育委員会(以下単に市教委という。)は、昭和四三年八月一日から専従の警備員を各学校園に常駐させて警備に当らせることとし、住所・年令等の条件を定め、同年七月一八日から同月二五日までの期間を限つて警備員の募集を開始した。ところで、市教委は、当初、応募者を臨時職員として採用することを計画していたが、同年七月一八日ごろに至つて経費節減のため急拠委託方式に変更し、これも初めは個人委託方式を考えていたが、同方式は労働基準法、職業安定法上問題がある旨関係官庁より指摘されたので、被申請人代理人の俵弁護士と相談した結果・応募者に民法上の組合を結成させてこれに委託するのがよいとの結論に達し、同弁護士と相談のうえ警備保安委託契約書(以下単に委託契約書という。)、市立学校園および学校給食共同調理場警備保安委託仕様書(以下単に仕様書という)組合契約書ならびに組合規約を作成した。市教委は、右警備員募集の事実を新聞に記事として掲載してもらい広く応募者をつのつていたが、募集期限が過ぎた同月二六日になつても適格者の応募がなかつたので、その後募集条件を緩和した結果、同月三一日までにようやく二四人を集めることができた。そこで、市教委は、同月三〇日応募者を集め、応募者らに要求して市教委が用意した前記組合契約書および組合規約に基いて「枚方市立学校園警備組合」なる民法上の組合(以下単に警備組合という。)を設立させたうえ、これとの間で前記委託契約書および仕様書に基いて学校園の警備保安委託契約を締結し(以下これを単に委託契約という。)、警備組合は右契約に基いて同年八月一日から各学校園に一名宛その組合員を配置して警備業務に従事させることとなつた。

(二)  しかし、前記のように組合委託方式に変更されたということは全く新聞記事に掲載されておらず、また応募者らに告知されていなかつたので、警備員たちは被申請人の警備職員に採用されるつもりで応募し、被申請人の職員の面接を受け、さらに、被申請人の職員と交渉して各自の勤務場所を決定してもらつて、就任式のつもりで三〇日に臨んだところ、被申請人の側から民法上の組合を作れといわれたものであつて、被申請人の身勝手な都合で、そして組合員となるべき人々の知らないところで警備組合の設立が決められ、これが一方的におしつけられたものであるから警備組合は当事者の自由な意思の合致によつて成立したものとは到底称し得ないものである。

(三)  そして、警備組合の運営の実体についてみると、組合は労務の出資のみによつて設立されたものであり、組合員は毎月三万八、〇〇〇円の利益分配を受けることになつているが、出資が全部労務による組合企業というものは法律上は不可能でないにしても極めて異例のことであり組合員が毎月定額の利益配当を受けるというのも、利益配当というものは変動常ないのが一般であることからすれば、これまた異例のことである。さらに、注目すべきことは、被申請人から支払われた委託費から警備組合の経費を控除した残額を各組合員に配当するのではなく、各組合員に対する配当額は被申請人の予定する一校当りの委託費と同額であり、警備組合は各組合員の了解を得て右配当額から一、〇〇〇円宛徴収して組合の諸経費にあてているのである。また、警備組合は月に一回総会を開くことになつていたが、それは毎月一回給料日に各組合員が金をとりにくるという性質のものにすぎず、一堂に会して会議を開催するというようなものではなかつた。

(四)  さらに、警備員の勤務の実態についてみると、警備員は毎月定められた時間に出勤し、定められた時間に定められた回数の巡回警備を行つてその結果を翌日学校長に報告し、校長から具体的な指揮監督を受けているのであつて、その労働の性質はいわゆる単純労務に属し、特殊な知識・技能・判断能力等を要する事務ではないし、また、仕事の完成という結果に重点がおかれているものでもない。そのうえ警備業務の報酬は月決めであり、労働時間の増加する年末、年始には割増された報酬が支払われているということを併せ考えると警備員の労働は従属労働に外ならない。

(五)  以上の次第で、被申請人と申請人ら警備員との間に介在する警備組合は法的には仮装のわら人形に過ぎず、企業としてこの実体を有しないものであるから、被申請人と申請人らとの間の関係は警備員がその労務を直接被申請人に提供し、これに対し被申請人が一ケ月三万八、〇〇〇円の割合の対価を支払うという関係であり「広く社会通念上被用者が有形無形の経済的利益を得て一定の条件の下に使用者に対し肉体的・精神的労務を提供する関係」として雇用関係であるというべきである。

(六)  もつとも、警備組合が補充要員、交替要員を自ら探し出し、その加入を組合総会において承認しているので、警備組合が警備員採用の人事権を持つているかのようであるが、それは欠員の補充、交替要員の賃金の支払等被申請人にとつて面倒で金のかかることは「委託」だからということですべて警備組合におしつけた結果であり、被申請人が昭和四三年七月に警備員を募集した際、最初は応募者がほとんどなかつたことからも明らかなように、休日も社会保険もないという労働条件で人を集めるということは非常に困難で、かりに被申請人が人事権を持つていたとしても応募者はすべて採用せざるを得ない状況にあつたので、市教委としては警備員個人に履歴書を提出させ、組合から全体の配置表を提出させておけばよかつたのである。しかも、新規に採用される警備員は各学校長と面接して現実の警備業務に従事した後において組合加入が承認されることが多く、組合総会での加入承認は形式的なものであつたから、人事権を組合がもつていたかどうかはさして重要なことではない。

(七)  したがつて、申請人らが別紙(一)就労場所等目録の契約日欄記載の日に同目録契約当事者欄記載の学校に赴き、同欄記載の学校長から警備員としての業務に従事することの承認を受けたことにより、申請人らと被申請人との間には学校園等の警備を内容とする雇用契約が成立しているものというべきである。そして、右雇用契約の締結は各学校長の職務権限の範囲内であり、かりにそうでないとしても、被申請人が実質上作成した前記組合規約中に各学校長に対する学校警備員採用の授権の表示がなされているので、申請人らは学校長に右権限ありと信じて右雇用契約を締結したのであり、申請人らが右のとおり信じたことについては何ら過失はないから、被申請人は民法一〇九条により申請人らに対し雇用契約上の責任がある。

(八)  かりに、警備組合が組合としての実体をもつているとしても、被申請人と警備組合との間の委託契約は公序良俗に反するものとして無効である。すなわち、被申請人が学校園の警備のために臨時職員を雇用しても、また警備会社に警備を委託したとしても、警備員個人がどこかに雇用されている以上、労働者として休日、有給休暇、社会保険等の諸保護は保障されなければならず、それはすべて警備費用の原価にはねかえつてくる。そこで、被申請人は、警備員から労働者性を奪うことにより労働基準法その他の労働者保護法規を脱法して労働者に対する諸保護のために要する経費を節減するため警備員に民法上の組合を設立させ、これに学校園の警備を委託することとしたのである。しかも、前記のように老年者や若年者である警備員応募者にその利害得失を考慮する暇を与えることなく一方的に不利益な契約を締結させたものであるから、右契約は公序良俗に反し無効というべきであるところ、昭和四三年七月三〇日の当初の契約が成立した後、被申請人と警備組合は何回か右契約を更新しているが、この更新はストライキが契約違反であるという非難、および解雇というおどしのもとに行われたものであり、契約内容もほとんど変つていないから、公序良俗違反性は何ら消失しておらず、更新後の委託契約も無効であることに変りはない。

そして、申請人らは、各学校園長の許可を得たうえで現実に警備労務を提供し、被申請人も積極的にこれを受領していたのであるから、この現実の労務供給関係は雇用契約関係として保護されるべきである。

(九)  かりに、右公序良俗違反の主張も理由がないとしても、被申請人が警備組合との間でなした委託契約は職業安定法施行規則第四条の要件をみたしていないので、右契約は職業安定法四四条に違反し無効であり、したがつて申請人らと被申請人間の現実の労務供給関係は雇用契約関係として保護されるべきである。

二、ところで、被申請人は昭和四五年二月二八日警備組合宛に本件委託契約を同年三月三一日の期間満了によつて終了させ、更新しない旨通告したが、前述のとおり警備組合は仮装のもので被申請人と申請人らとの関係は雇用関係であるから、右通告は同日をもつて申請人らを解雇する旨の意思表示にほかならないところ、右解雇の意思表示は次の理由により無効である。すなわち、

(一)  申請人らと被申請人間の雇用契約は前述のとおり申請人らがそれぞれ各学校園に赴いて学校長より警備員として警備労働に従事することを許可されたことによつて成立したものであるが、その際雇用契約の期間については何の合意もなかつたから、右雇用契約は期間の定めのないものである。

もつとも、被申請人と警備組合との間の委託契約の内容が申請人らと被申請人との雇用契約の内容になるとも考えられるが、右契約にも期間の定めは存しない。すなわち、右契約条項の八条および九条には契約の終了事由の定めがあるが、そこには契約期間については何も触れるところがなく、また一条は見方によつては契約期間の定めともとれないことはないが、労働契約においては期間の定めはないのが原則であり、労働条件は労働基準法により明示することを要求されている点を考慮すると、同条は単に報酬額について定めたものにすぎないとみるべきであり、かりに、右主張に理由がないとしても、被申請人と警備組合との委託契約は前記のとおり無効であり、契約期間についても前記契約締結の経過からみると被申請人が一方的におしつけたものであつて両者間に有効な合意は成立していないというべきである。

また、かりに期間の定めがあるとしても、有期の労働契約は労働力の臨時的必要が客観的に存在する場合にのみ有効にこれを締結できると解するのが相当であり、右臨時的必要も一年を越えるものであるときはもはや臨時的なものとみなされないので期間の定めのない労働契約を締結すべきであり、さらに、有期の労働契約の更新を拒絶するのは労働力の臨時的必要の消滅等正当な事由がある場合にのみ許されると解するのが相当であるところ、被申請人は昭和四五年四月以降も従前の警備員の一部をして警備業務に従事させる一方、大日本武道警備株式会社をして学校園の巡回警備に当らせており、労働力の臨時的必要が客観的に存在して期間の定めをなしたものでもなく、その必要が消滅して更新を拒絶したものでもないから、被申請人と申請人間の労働契約のうち期間に関する部分は無効である。

したがつて、期間満了に伴う更新拒絶に藉口してなした申請人らに対する解雇の意思表示は解雇の正当な理由を欠くか、ないしは解雇権の濫用として無効である。

(二)  被申請人のなした前記解雇の意思表示は、警備組合が委託契約に違反したことを理由とするものであるが、被申請人の主張する契約違反とは、枚方市立学校園警備労働組合(以下単に警労組という。)が、(1)昭和四四年八月一日にストライキを行い、さらに同年一二月にも部分ストライキを行つたこと、(2)教育長室におしかけたこと、(3)議会の正常な運営を妨げたことの三点であるが、(2)、(3)の行為については、警労組は勤務時間にかかる場合には交替員を出して勤務させていたのであるから契約違反にならないこと明らかであり、(1)についても、申請人ら警備員と被申請人との契約形式をどのようなものと理解しようとも警備員が労働者であることはいうまでもなく、したがつて、警備員の苛酷な労働条件を改善させる目的をもつて警備組合の組合員全員で組織された警労組も労働組合法上の労働組合であることは明らかで、そして、その交渉相手は当然被申請人であり、市教委である。

しかるに、被申請人は警労組を全く認めないでこれとの団体交渉を拒否し、辛じて構成員が全く同じである警備組合との交渉に応じたものの、正職員化と夏季一時金の支給という労働者としての当然の要求に対してさえ誠意をみせなかつたので、警労組は、昭和四四年七月三一日スト通告をしたうえストライキに入つたのである。これに対して被申請人は契約違反を理由に一旦は委託契約を解除したが、同年九月和解により結着がついた。しかし、警備員の労働条件は右和解によつても少しも改善されなかつたので、同年一〇月に至り警労組は再び市教委に団体交渉を申し入れたが、市教委は警労組との団体交渉を頑なに拒否しその態度を変えなかつたので、教育長室での団交要求、議会への請願、そして同年一二月のストライキと発展したもので、しかも右ストライキは部分ストライキであり、争議行為としての正当性の範囲を逸脱したようなことはない。なお、被申請人は申請人ら警備員を一般職の職員としてはもちろんのこと、臨時職員としても遇しておらず、かつ、現実に宣誓その他一般職任用の手続もとつていないので、申請人ら警備員に対しては地方公務員法三七条一項が適用されるいわれはない。

したがつて、右ストライキは労働組合の正当な行為であり、これを契約違反であるとしてなした、前記解雇の意思表示は労働組合法七条一項の不当労働行為として無効である。

三、しかるに、被申請人は、申請人らが被申請人に対して雇用契約上の地位を有することを否認し、申請人らがそれぞれ別紙(一)就労場所等目録記載の就労場所に就労するのを拒否し、かつ、申請人らに対し昭和四五年四月以降の賃金の支払をしない。

四、申請人らは、警備労働に対する賃金として被申請人から毎月四万五、〇〇〇円の賃金の支払を受けていたところ、本件解雇により唯一の収入源である右収入を失つたので、本案判決を待つていては著しい損害を蒙る。

第三、被申請人の訴訟要件に関する主張

申請人らは、被申請人との雇用関係を主張し、その解雇の効力を争つているが、申請人らの主張を前提とすると、右解雇は以下において述べるように行政事件訴訟法四四条にいう「行政庁の処分」に該当することになるので民事訴訟法上の仮処分によりその効力の停止を求めることは許されず、したがつて、本件仮処分申請は不適法である。

実定法上、地方公務員の職は一般職と特別職とに分けられており、単純な労務に雇用されているいわゆる単純労務職員については、地方公務員法第五七条において「その職務と責任の特殊性に基いてこの法律に対する特例を必要とするものについては、別に法律で定める。」旨の特例が定められているが、一般職として規定されていることには変りはない。ところで、「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令」(昭和二六年政令第二五号)には守衛が一般職に属する単純労務職員である旨定められていたが、学校警備員の職務内容は右守衛の職務内容と同じであり、地方公営企業労働関係法(以下地公労法という。)の施行に伴つて地方公務員法附則二一条が削除され同政令は失効したけれども、地方公務員法五七条に規定する単純労務職員の範囲は実質的に変更が加えられたわけではないので、申請人らが被申請人に雇用される者であるとの申請人らの主張を前提とすると、申請人らは一般職に属する単純労務職員ということになる。そして、地公労法附則四項は、地方公務員法五七条に定める単純労務職員の労働関係その他の身分取扱いについては、特別の法律が制定施行されるまでの間は地公労法(一七条を除く)および地方公営企業法三七条から三九条までの規定を準用するものと定められており、この結果、単純労務職員については、地方公営企業法三九条により地方公務員法五条、八条の一部、二三条から二六条まで、三七条、三九条、四〇条二項、四六条から四九条までの適用が除外されるが、右特則の外は地方公務員法が原則的に適用されることになる。

したがって、申請人らの主張する解雇は、一般職の地方公務員たる身分を失わせる行政処分であり、その取消・無効を主張する訴訟はすべて行政事件訴訟法の適用を受けるところ、同法四四条は「行政庁の処分その他公権力の行使に当る行為については民事訴訟法に規定する仮処分をすることができない。」と規定しているので、本件仮処分申請は同条に違反する不適法な申請である。

第四、申請の理由に対する被申請人の答弁

一、申請理由第一項記載の事実について

(一)  冒頭記載の事実中、被申請人が主張のとおりの小学校・中学校および幼稚園を所有することは認めるが、その余の事実はすべて否認する。

なお、学校の管理権は地方教育行政の組織および運営に関する法律(以下地教行法という。)二三条により教育委員会にあるものである。

(二)  (一)記載の事実中、学校園の宿日直が従来教職員によつて行われていたこと、被申請人が昭和四三年八月一日から各学校園に専従の警備員を常駐させることとしてその要員を募集したこと、委託契約書、仕様書および組合契約書を市教委が作成し、右作成の段階で俵法律事務所が関与したこと、警備員の応募者に民法上の組合である警備組合を設立させてこれに学校園の警備を委託し、警備組合が八月一日から警備業務を開始したことは認めるが、被申請人が組合規約を作成したことは否認し、「要求して……設立させ」との主張が組合の趣旨目的を応募者に説明しないでという趣旨であるならばこれを争う。

右組合の結成に当つては、被申請人の担当職員が同年七月二七日の第一回集会のときにその趣旨目的を説明し、第二回集会においてもさらに詳細に説明しており、また組合規約は右組合の組合員らが自主的に作成したものであつて、被申請人は何ら関与していない。

(三)  (二)記載の事実は否認する。

(四)  (三)記載の事実中、被申請人が右委託契約の委託料として一施設当り月額三万八、〇〇〇円の割合の報酬を支払つていたことは認める。

しかし、右委託料を各組合員にどのように分配するかは警備組合の自主的運営にまかせており被申請人がこれに関与したことはなく、また、委託料は、委託の目的が警備義務であるところから、警備時間に応じて決定されるという面があるが、あくまで施設について決定されるのであり、組合員一名につきいくらと決定されてきたのではない。

(五)  (四)記載の事実中、警備員が毎日定められ時間に出勤し、定められた回数の巡回警備を行い、警備の結果を右学校園長に報告し、また各学校園長の指示を受けていたことは認める。しかし、それは、学校園の管理についての現場責任者である学校園長が委託契約の趣旨にそつて、また各学校園の実状に即して特別な注意事項を警備員に指示する必要があつたためであり、申請外大日本武道警備株式会社に警備を委託していた際は同会社の警備員に対しても右のような指示を与え、警備報告を出させていたのである。

(六)  (五)記載の主張は争う。

(七)  (六)記載の事実中、警備組合が交替要員、補充要員を自ら探し出し、組合に加入させていたこと、および各学校園長が新規に来校した警備員に面接していたことは認めるが、その余の主張は争う。

(八)  (七)記載の事実中、申請人小林、同石田、同浮本がそれぞれ別紙(一)就労場所等目録の就労場所欄記載の学校の警備に従事していたこと、申請人小林の就労開始日が昭和四四年一一月一日、同石田の就労開始日が同四五年三月一〇日であること、右申請人らが就労を開始するに当つて当該学校長もしくは教頭の承認を得ていることは認めるが、学校長が警備員を雇用する権限を有していることは否認し、警備組合の組合規約中に学校長に対する警備員雇用権限の授権の表示があり、被申請人が申請人らに対し雇用契約上の責任があるとの主張は争う。

(九)  (八)、(九)記載の各主張は争う。

二、申請理由第二項記載の事実について

(一)  冒頭記載の事実中、被申請人が主張の日に警備組合に対し委託契約を昭和四五年三月三一日の期限をもつて終了させ、更新しない旨通告したことは認めるが、その余は争う。

(二)  (一)記載の主張は争う。

(三)  (二)記載の事実中、警労組が再度にわたつて業務を放棄したこと、教育長室におしかけたこと、議会の正常な運営を妨げたことの三点が警備組合との委託契約を打ち切つた理由に入つていること、および被申請人が警労組との団体交渉に応じなかつたことは認めるが、その余の主張は争う。

本件委託契約を更新しない理由は右警備組合側の義務違反のほかに議会の予算不承認という措置によるものであり、実質上は地方公務員法二八条四号の予算削減による免職処分たる性質をも具有するので、不当労働行為の成否を論ずる余地のないものである。

三、申請理由第三項について

認める。

四、申請理由第四項について

争う。

申請人らが従来警備員としての労働によつて得た金員は二万円をこえることはなく、申請人らの年令が一九才から二一才の青年で一家の生計を維持する立場にあるものではない点から考えると、申請人らは右金員を外食費、遊興費、学資等にあてていたものと推認でき、このような費用にあてるための金員については仮処分の必要性はないというべきである。

第五、被申請人の事実主張

一、(一) わが国では、明治以来教員の宿日直勤務によつて学校施設の管理保全を行つてきたものであり、社会通念としても、学校では教員が宿日直勤務を行うべきものであるという観念が定着し、山間や離島に所在する数学級にもみたない小規模な学校にいたるまで画一的に教員による宿日直が続けられていた。

ところが、昭和三三年頃から日本教職員組合の勤務評定反対斗争の手段として宿日直拒否斗争がしばしば繰り返され、他方、宿日直勤務のできない女子教員の比率の上昇(とりわけ小学校では女子教員が教員数の半ばをこえる。)さらに小規模学校における教員一人当りの宿日直回数の高頻度等から教員の宿日直勤務を廃止すべきであるとの意見が高まり、これが国会でもとりあげられ、昭和四一年五月二五日衆議院文教委員会学校警備小委員会は、(1)学校警備員の設置は方向としては望ましいが、なお、検討を要する問題点が多い、(2)宿直の頻度の高い小規模学校の教員の勤務量の軽減をはかるため必要な措置を講ずべきことを報告し、以来この問題をめぐる論議はいつそう拍車をかけられ、文部省、都道府県教育委員会および市町村教育委員会等において、宿日直の実施方法の改善や宿日直に代る方法が検討されるに至つた。

しかし、どのような方法をとるにしても、財政上の問題(かりに、学校警備員を全国的な制度として採用した場合、一人年間五〇万円の人件費を要するものとして必要な予算の額を試算すると三〇〇億円をこえる額となる)から、また、純粋に学校教育上の問題たとえば土曜の午后、日曜その他休日等における特別教育活動としてのクラブ活動の面から、さらに学校が地域社会の文化センターとして社会教育上果している使命や災害時における地域住民の避難の場所としての役割等の問題から種々の批判ないし抵抗が生じてくる。

この問題について、国としては昭和四三年から宿日直を廃止する学校に対して耐火書庫、倉庫、火災警報器、防犯灯などの整備に要する経費を補助することとし、その予算として六、〇〇〇校分七億二、〇〇〇万円を計上し、昭和四四年度も同額の予算を計上しているが、昭和四三年度におけるこの予算の対象となつた学校数は全国三万六、〇〇〇余校のうち公立小中学校二、三〇〇校に過ぎず、多くの学校ではなお教員による宿日直制を継続している。そして、教員の宿日直の廃止をすすめている市町村においても、小規模の学校で週一回の宿直、月一回の日直(昭和二三・四・一七基収第一〇七七号による宿日直の許可基準)をこえて宿日直を行わなければならない場合に右超過部分についてのみ教員以外の代行員によるものや、一部の学校についてのみ部分的に教員の宿日直を廃止して警備員制度を設けるもの、あるいは教員の宿日直を全廃して警備会社に警備を委託するもの等、学校警備の態様は全国的にみてまことに多様であり、この問題は時間外勤務手当の問題とならんで教育行財政上目下最大の困難な問題となつているのである。

(二) 市教委においても、被申請人管下の学校における女子教員の激増にかんがみ、かつ、教員の勤務条件の近代化をすすめるため昭和四三年五月一日から教員の宿日直勤務を廃止して教員にはその本務である児童生徒の教育に一層専念させることとし、同日以降、申請外大日本武道警備株式会社に学校園の巡回警備の委託をした。しかし、右方式は、校務の連絡、物品の搬納入、施設利用者への応待、プールの管理、非常時の処置等に支障をきたすことがあるところから、各学校長、P、T、A連絡協議会より常駐方式を望む声が高まつてきた。そこで、市教委は、右会社との警備委託契約期間満了後の同年八月一日から常駐警備方式に切り換える必要に迫られ早急に警備員を確保する必要が生じたので、同年七月二二日枚方市P、T、A連絡協議会を開催してその協力を求めて枚方市在住の高年令者に呼びかけ警備員を募集した。そして、右募集に応じて参集した警備員希望者に対し、応募者で組合を結成してもらい、警備そのものは組合の責任ある自主的判断によることにする等本件委託契約の趣旨内容を関係書類を呈示のうえ説明してその賛同を得、同年七月三〇日、松田博外二四名によつて枚方市の委託する施設の警備保安に関する業務を事業目的とし(組合契約書四条)、各組合員は右業務遂行のため労務を出資し(同五条一項)、損益分配の割合については組合員の出資額の割合による(同八条)ものとする民法上の組合が設立され、組合の対外的な代表権限が全て組合員植西留蔵に委任された(同六条)ので、被申請人は右組合を代表する植西留蔵と学校園の警備保安委託契約を締結し、委託契約方式による学校警備を行うことになつたのである。被申請人のとつた右学校警備の方式は、常駐警備方式の早期実施の必要性と、警備員を定数外職員として同年八月一日から早急に採用することの困難、枚方市在住の高令者に仕事を与え、他方会社組織にした場合の中間搾取の回避等を勘案して採用した全国的にみて極めて先駆的な措置であり、学校がその設置目的を遂行し、かつ、学校がになう社会教育等の使命からして必要欠くべからざる措置であつたのである。

(三) ところで、本件委託契約の目的は、期間を限つて学校園の警備を警備組合に委託することであるから、警備組合の主たる義務が右警備業務を遂行することであることはいうまでもないが、警備組合は右主たる業務を遂行するために必要欠くべからざる業務として組合員の加入脱退の承認、交替要員の雇入れ、被申請人との連絡業務等をもその業務として行うのであり、そのためには一定の事務処理能力および裁量権を必要とするのである。そのため、本件委託契約においても、業務遂行のために組合員を指揮監督する権限は、天災地変等の場合を除くほか、専ら警備組合にのみ属するとされており、被申請人は組合員に対して直接の指揮監督権限がないことになつており、実際の運営においても、業務の遂行は組合の自主的判断による自主的運営を旨とし、組合員の施設への配置、休暇、交替要員の採用等も組合に委ね、委託料も組合に支払いこれを各組合員にどのように配分するかも組合の自主的判断にまかせているのであつて、ただ、警備物件が学校施設という特殊性があるので、警備組合に対して一日たりとも警備を懈怠することのないよう契約上の義務を課しているにすぎないのである。したがつて、本件委託契約の目的はこれを全体としてみると委任の対象とするに何の妨げもないのである。かりにそうでないとすれば一般の企業において建築運送、製造その他多方面の分野で専属的請負が許され存在していることは公知の事実であり、被申請人に限つて専属的請負が許されない法理は見出し得ないので、本件委託契約は請負契約として成立しているものである。

要するに、警備組合は個々の組合員とは別個で、かつ、個々の組合員を統括支配する団体であり、個々の警備員の労務が単純労務であるとしても、これを総合した全体としての組合業務が当然に単純労務に属するものではないから、本件委託契約は、警備組合を受任者被申請人を委任者とし、受任者は委託者の指定する警備箇所を警備する事務を処理し、委任者は右警備の報酬として受任者に対し委託料を支払う旨の準委任契約ないし請負契約である。

二、かりに、被申請人と申請人らの間に雇用契約が認められるとしても、昭和四五年三月二七日、被申請人側から教育委員全員、警備組合側からその代表組合員丸山孝治および警労組執行委員長古川三千男(右警労組には警備組合員全員が加入している。)が出席して協議した結果、本件委託契約は同年三月三一日をもつて期間満了により終了することを互に確認し、被申請人は警備組合に組合員一人当り五万円の生活資金を支払う旨の合意が成立してこれを書面に作成しており、右確認書は警労組と被申請人との間に締結された労働協約としての実体を有するところ、その内容は被申請人と警労組とが締結した組合員の身分取扱いに関する協約であり、地公労法附則四項により適用のある同法七条一ないし四号、労働組合法一六条にいう「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」を定めているので、同条により規範的効力を附与されており、申請人らはこれに拘束されるので生活資金として五万円を受領する権利のあるのは格別、被申請人に対し身分の存続を主張することはできない。

また、かりに申請人らが右協約締結当時既に右協約の賛成派より分裂して他の組織を作つていたとしても、組合員二八名中二三名が右協約に従つていたのであるから、労働組合法一七条の一般的拘束力により申請人らは身分存続の主張をすることはできないものである。

第六、被申請人の主張に対する申請人の反論

一、被申請人が警備組合と委任ないし請負契約を締結するに至つたのは、学校警備という勤務の性質上、希望者が高年令者か若年者に限られるところ、高年令者を一般職の公務員として任用するのは条例上困難であり、かつ、人件費の増加を招くので行政上好ましくないと判断したことと、個人に警備を委託した場合に問題となる労働基準法等労働者保護規定の適用を免れるためであつて、被申請人は自己の側のみから考えて一番有利な法形式として本件委託契約を締結したのである。そして、その結果として被申請人は公務員として任用し、または個人に委託した場合に比べて、身分保障、休日、労働時間等労働条件の保障、労働災害補償等雇用者にとつては無駄でわづらわしい一切の義務と負担から免れ、申請人らは公務員としての一切の保護と権利とを被申請人から拒絶されてきたのである。

しかるに、被申請人は、申請人らが被申請人との間の私法上の雇用関係を主張して本件申請におよぶや、突如として地方公務員法等の自己がその適用を嫌悪し脱法しようとした法規を持ち出してこれを有利に援用しようとしているが、このような主張は契約関係を支配する信義誠実の原則に反し到底許されるべきではない。

二、本件委託契約は、被申請人が行政法規による規律を回避する目的で警備組合と私法上の契約として締結したのであり、この契約が脱法行為として無効になるからといつて直ちに性質も異り、当事者がその効果を発生させる意思を有していなかつた行政上の支配服従の法律関係になるというようなことはあり得ない。したがつて、契約当事者である申請人らと被申請人の意思が私法上の法律行為をするつもりであり、それが実質的に雇用関係に該当するとすれば、申請人らと被申請人との関係は私法上の雇用関係であるというべきである。

かりに、人が地方公共団体に勤務する関係は全て公法上の関係であるとしても、公務員の勤務関係も一般の労働関係と同じく契約関係として把握すべきであり、ただ「公務員は全体の奉仕者である。」ということから種々の制約が加えられているに過ぎないのである。したがつて、行政庁が公務員に対してなした処分は公法上の契約に関するものであつて「公権力の行使に当る行為」ではないので当然には仮処分は排除されないというべきである。ただ、一般職の公務員については、国家公務員法九二条の二、地方公務員法五一条の二が審査請求前置主義を定めたことにより一般職の公務員に対する不利益処分または懲戒処分はこれを行政事件訴訟法にいう「行政庁の処分」と考えられ、これに対する訴訟は抗告訴訟として仮処分が排除されることになるのである、しかし、特別職の公務員に対しては地方公務員法四条二項により地方公務員法が一般的には適用されず、また臨時的に任用され職員に対しては地方公務員法二九条の二第一項により同法四九条の適用がなく、したがつて同法五一条の適用もないと考えられるので、特別職の公務員および臨時的任用の職員に対する処分は抗告訴訟の対象となる行政処分ではなく、仮処分は排除されないと解すべきである。

そして、被申請人は学校の無人化実現までという意図で警備員を採用していたのであり、学校警備という職務の特殊性から警備員が長年月勤務するというようなことは予想されておらず、また、申請人らは地方公務員法の定める一般職の任用手続によつて任用されたことも、条例に基く給与の支給を受けたという事実もないので、申請人らは臨時的に任用された職員であり、地方公務員法三条三項三号に該当する特別職の公務員である。

したがつて、申請人らに対する処分は、「公権力の行使に当る行為」ではなく、本件仮処分申請は適法である。

第七、疎明関係〈省略〉

理由

一、被申請人は、申請人らの本件申請は主張自体不適法である旨主張するので、まず、この点について検討する。

地方公務員法によれば、地方公務員とは「地方公共団体のすべての公務員をいう。」と定義されており(同法二条)、したがつて、地方公共団体に対し何らかの態様において勤務関係にあり、地方公共団体の何らかの事務を担当している限り、その事務の態様如何にかかわらず、すべて地方公務員ということになる。そして、同法三条および四条の規定により地方公務員の職は一般職と特別職に分類され、地方公務員法の規定は一般職に属するすべての地方公務員に適用されるが、ただ、地方公共団体の単純な労務に雇用される職員については、同法五七条が、「その職務の特殊性に基いてこの法律に対する特例を必要とするものについては別に法律で定める。」旨規定し、その身分取扱いについては別に法律で定めることを予定し、地公労法附則四項は「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であつて同法三条二項の職員以外のものに係る労働関係その他身分取扱いについては、特別の法律が制定施行されるまでの間は、この法律(第一七条を除く。)及び地方公営企業法第三十七条から三十九条までの規定を準用する。」と定めており、この結果、一般職に属する単純労務職員については地方公務員法五条、八条の一部、二三条から二六条まで、三七条、三九条三項、四〇条二項、四六条から四九条まで、および五八条ならびに行政不服審査法の規定は適用されないことになる。したがつて、単純労務職員については、労働組合法の適用があり、さらに労働基準法、船員法等の規定が全面的に適用されるので、その勤務関係は当事者対等の原理によつて律せられている一般私企業あるいはいわゆる三公社との労働関係と類似しているということができるが、単純労務職員といえども一般職の地方公務員に属する限りは、前記特則のほかは地方公務員法の規定が原則的に適用されるので、実定法上その身分関係の発生消滅およびこれが存続中の勤務関係は公法的規制のもとにおかれているとみざるを得ない。ところで、地公労法の施行に伴つて地方公務員法附則二一条が削除されたことにより昭和二七年九月三〇日をもつて失効した「単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令」(昭和二六年政令二五号)は守衛の労務を担当する者は一般職に属する単純労務職員である旨定めており、学校警備員の職務の内容は右守衛の職務内容と同種のものと考えられるが、右政令の失効により地方公務員法五七条に規定する単純労務職員の範囲が実質的に変更されたとも解されないので、申請人らがその主張のとおり被申請人に学校警備員として採用されたとすれば、申請人らは一般職に属する単純労務職員であり、この身分を消滅させる行為は行政事件訴訟法四四条にいう「行政庁の処分」ということになりそうである。

しかしながら、地方公務員法三条三項に特別職として示されている職から考えると、地方公務員制度における成績主義の原則を適用することが適当でなく、また終身職制が妥当しない職を特別職とし、それ以外を一般職としているものと解されるところ、同項三号が「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員、及びこれらの者に準ずる者の職」を特別職として掲げている点からすると、ある地方公務員が一般職に属するか特別職に属するかは、その従事する職務の性質のみによつて決せられるのではなく、同じ職務に従事している者でもその勤務の実態が常勤であるか、臨時または非常勤であるかによつて、ある者は一般職に属し、他の者は特別職に属するものとされることがあり得ると考えられる。そして、特別職に属する地方公務員に対しては、地方公務員法は法律の特別の規定がある場合のほかは適用されず、その身分取扱いについては地方自治法、同施行法その他の地方行政に関する法律に定められているか、あるいは、これらの法律に基いて条例で定めることとされているが、法律またはこれに基く条例で定められていない場合には、任命権者が勤務条件等を適当に定め、特別職に就く者がこれに同意して任命または雇用されることにより当該地方公共団体との間に勤務関係が発生するものと解されるので、このような方法で任用ないし雇用された者を実定法上特別職の地方公務員というとしても、これらの者については、その職務の内容、任用ないし雇用の形式、勤務条件等の内容が千差万別でありうることを考えれば、その内容の如何にかかわらず、すべて一律に公法上の勤務関係であり、私法上の勤務関係が成立する余地は存しないとまで断定することはできない。

そうだとすると、学校警備員と地方公共団体との関係についても、その勤務関係を生じさせるに至つた形式および勤務条件等の内容如何によつては私法法規により律せられる勤務関係が成立する余地がないとはいえないので、その実体を判断することなく本件申請が主張自体不適法であるといつてこれを排斥することはできない。

二、そこで、申請人らと被申請人との間における雇用関係の有無について判断することにする。

成立に争いのない甲第一、二号証、同第六ないし八号証、同第一九ないし二一号証、乙一号証の一、二、同第二号証、同第三号証の一ないし三、同第四ないし九号証、同第一〇号証の一、二、同第一一ないし一五号証、同第一八号証、同第二七、二八号証、同第二九号証の一、二、同第四七号証、乙第五四号証の一、二、同第五五ないし五七号証、同第六三号証、同第七四ないし七九号証、申請人野村貴本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第三号証、同第九ないし一三号証、同第二二ないし二五号証、証人野田昌秀の証言により真正に成立したと認められる乙第一七号証、証人野田昌秀の証言(ただし、後記措信しない部分を除く、)同植西留蔵、同遠藤正生、同丸山孝弘の各証言および申請人野村貴本人尋問の結果ならびに弁論の全趣旨を総合すると次の事実が認められる。

(一)、従来、学校施設の警備は教職員の宿日直勤務によつて行うのが一般であつたが(この点は当事者間に争いがない。)、近時女子教員が増加して宿直可能な男子教員一人当りの宿直回数が増加したこと等のため、また、職員の勤務条件の近代化をすすめるためにも教員による宿日直勤務を廃止すべきであるとの意見が高まり、被申請人においても昭和四三年五月一日から管下の学校園における教員の日直勤務を廃止し大日本武道警備株式会社に学校園の警備を委託し、同会社の警備員を同学校園に巡回させて警備に当らせることになつた。

(二)、しかし、巡回方式の警備では、校務連絡、物品の搬入・納入、施設利用者の応待、プールの管理等が円滑に処理できず学校運営上支障をきたすことが多かつたため、学校園長、教職員、教職員組合、P・T・A等から常駐方式による警備が望ましい旨の要望が強まり、他方、前記大日本武道警備株式会社との警備委託契約は昭和四三年七月三一日で期間満了により終了することになつていたので、市教委は右契約期間の満了後は常駐による警備に切り替えるべく、同年七月初旬ごろから市長部局人事課とも協議のうえ、その方法、予算措置等について検討をはじめた。市教委は、当初「臨時の市の職員」という身分で警備員を募集する考えでいたが、その後経費節減のために警備員の応募者各個人に警備を委託する個人委託方式に変更し、同月一八日、管下学校園の校園長会において右計画を発表するとともに、応募資格を枚方市民である二〇才から六〇才までの男子とし、同月二五日までの期間を限つて警備員の募集を開始した。そして、右募集の事実を日刊新聞に記事として掲載してもらうなどして広く応募者をつのつていたが、その後右個人委託方式について労働基準局に照会したところ、同方式は労働基準法および職業安定法上問題がある旨指摘されたので、市教委は被申請人代理人である俵弁護士らに相談した結果、警備員の応募者に民法上の組合を設立させてこれに警備を委託するのがよいとの結論に達し、同弁護士らの指導のもとにその原案として別紙(二)「組合契約書」同(三)「警備保安委託契約書」(以下単に委託契約書という。)、および同(四)「枚方市学校園および学校給食共同調理場警備保安委託仕様書」(以下単に仕様書という。)を作成した(組合契約書、委託契約書および仕様書を俵法律事務所が関与のうえ市教委が作成したことは当事者間に争いがない。)。しかし、右警備方式の変更は新聞記事等に掲載されることのないまま募集期限の二五日から経過し、同月二六日になつても前記資格を備えた応募者はなかつたので、住所、年令等の条件を緩和することによりようやく二四名の応募者を得ることができた。

(三)、右応募者に対しては、市教委または市長部局人事課の係員が面接し経歴および警備場所の希望等を聞いていたが、同月三〇日市教委は、応募者全員を集め、大津課長ほか数名の係員が出席して前記組合契約書、委託契約書、仕様書を提示して組合創設および委託契約の趣旨目的を説明し組合創設を要望したところ、応募者らは被申請人に警備員として採用されるものと思い就任式に臨むつもりで集つていたのであるが、結局、右要望を容れて市教委係員の用意した前記組合契約書に署名して警備組合を成立させ、組合の代表者に申請外植西留蔵を選任したうえ、被申請人との間で前記委託契約書および仕様書に基いて被申請人の設置する二三箇所の学校園(同年八月九日、第二学校給食共同調理場が完成したので、これを警備箇所に加える旨の変更契約を締結して申請外遠藤正生が同日から警備に当ることになり、そのころ同人は組合に加入した。)を昭和四三年八月一日から同年一〇月三一日までの三ケ月間委託料二六四万四、五〇〇円(一施設当り一ケ月三万八、〇〇〇円の割合)で警備する旨の警備保安委託契約を締結し、八月一日から組合員を各施設に一名宛常駐させて警備に当ることになつた(ただし、右の内二、三校については組合員である学生が同じ学生を継続的に交替要員として事実上二人一組で適宜交替して警備するようになつた)。そして、警備組合は右委託料を毎月末日に被申請人から一ケ月宛分割して受取り、これをそのまま各組合員に対し平等に三万八、〇〇〇円宛分配していた。

(四)、警備組合は、組合規約により組合員の総会を月一回開催すべき旨定め、原則として毎月末、組合員が前記分配金を受領しに来る機会を利用して総会を開催し組合員の加入の承認等重要事項を審議しており、また、各組合員は前記組合契約により組合を代表して被申請人等第三者と交渉し契約を締結する権限をすべて前記代表者に委任していたが、各組合員に対する連絡、分配金の計算等組合内部の事務は、被申請人から前記委託料のほかに事務委託料名義で支払われる一ケ月一万七、五〇〇円の割合の金員で女子事務員を雇い入れてこれに処理させ、右事務員の給料以外の組合の諸経費は前記組合規約に基き一施設当り一ケ月二〇〇円の割合で各組合員から徴収した金員で賄い、残金は組合の基金として代表者名義で預金していた。もつとも、右組合費は、その後必要に応じて増額され、また、組合員の病気等で見舞金を支給する必要が生じた場合には、臨時的に増額して徴収されることもあり、後記警労組が結成された後は、同労組の組合費と警備組合の組合費が区別して徴収されなかつたので、組合の財産は警労組の組合費と明確に区別できないようになつていた。

(五)、警備員の勤務の内容は、ほぼ別紙(三)仕様書記載のとおりであり、当該施設の特殊性に応じた特別の注意事項については学校園長の指示、連絡を受けることになつており、また警備業務を終了したときは警備日誌に所定の事項を記入して学校園長の認印を受けなければならないことになつているが、前記委託契約によると、委託業務遂行のために組合員を指揮監督する権限は天災地変等緊急の場合を除くほか専ら警備組合に属し、各組合員の警備箇所の変更、新しい警備員の採用等も組合の自主的運営にまかされていた。ただ警備組合は契約期間中一日も休むことなく契約施設を警備する義務があり、他方、被申請人の書面による承認がなければ業務の全部または一部を第三者に委任し、もしくは請負わせることができないことになつていたので、組合員がやむを得ない事情で遅刻、欠勤、早退等をするときは必ず校園長の許可を得たうえ交替要員をたて、その旨組合役員に報告しなければならない旨定め、警備員が休暇をとる場合は自らもしくは組合役員に依頼して交替要員を探し出し、警備箇所まで案内して校園長に紹介しその承諾を得たうえで自分の替りに勤務させていた(ただし、警備組合の例で早急に適当な交替要員が探し出せない場合、校園長に依頼して交替要員を探してもらうこともあつた。)。また、従来の警備員がやめ、新に警備員を採用する場合も、右と同じように警備組合の側で希望者を探し出し、校園長に紹介し、履歴書等を提出してその承諾を得て警備させるとともに組合加入を承諾していた。そして、申請人らもそれぞれ別紙(一)就労場所等目録の契約日欄記載の日ごろ、申請外横山正二ら当時の組合員の紹介で前記のような手続を経て同目録契約当事者欄記載の学校に警備員として警備に従事するようになつたのであるが、申請人野村、同原田は右以前にもすでに組合員となつている警備員の交替要員として時々勤めたことがあり、また、申請人浮本と同岩本、同中居と同野村は警備員として継続的に警備に従事するようになつた後もそれぞれ二人一組になつて一つの学校を適宜交替警備していた。

(六)、被申請人と警備組合は、前記のように当初の委託契約が昭和四三年一〇月三一日で終了することになつていたので、同日、昭和四三年一一月一日から昭和四四年三月三一日までの期間につき委託料四六四万七、五〇〇円(前同様一施設につき月三万八、〇〇〇円の割合、なお、これに月一万七、五〇〇円の割合による事務委託費名義の金員が加わる。)で前同様の委託契約を締結し、引き続き警備に当つていたが、警備組合から被申請人に対し昭和四四年三月一日付で警備員の労働条件の改善についての要望書が提出され、この点についての結論が出ないうちに契約期間が満了することになつたので、昭和四四年四月一日とりあえず同日から昭和四五年三月三一日までの一年間について委託料一一一六万円(前同様一施設につき月三万八、〇〇〇円の割合なお、このときから警備対象施設は二五箇所となつた。)で委託契約を締結したうえ、昭和四四年四月二二日委託料を六〇万円(一施設当り月二、〇〇〇円)増額する旨の契約を締結した。

(七)、しかし、警備組合の組合員らは、委託料の増額が右程度にとどまつたことに不満を持ち、昭和四四年六月ごろ組合員全員で枚方市立学校園警備労働組合を結成し、前記要求事項のほかさらに夏季一時金の支給を要求して被申請人に対し団体交渉を求めたが、被申請人は契約の相手方である警備組合の代表者との話し合いには応ずるけれども警労組との団体交渉には応じ難いとの態度をとつて団体交渉を拒否し、警備組合の代表者を通じての交渉も進展しなかつたので、警労組は、昭和四四年八月一日執行委員長酒井健爾名義で被申請人の市長および教育長に対し「職場放棄通告」と題する書面を提出したうえ、同日午後四時三〇分から翌日午前九時まで、警備箇所である学校園での職場全面放棄を決行した。そこで、市教委は右職場放棄が委託契約第九条一項に該当するとして委託契約を解除することを決定し、この旨市長名で警備組合代表者遠藤正生宛通告し、学校園の警備を前記大日本武道警備株式会社に依頼したが、警備組合側は八月二日午後零時から警備業務を再開してその後も警備態度をとりつづけ、同月一一日には組合員三八名を債権者、被申請人および市教委教育長野田昌秀を債務者として大阪地方裁判所に対し「委託契約解除効力停止等仮処分」を申請し、さらに集会、デモ行進、市庁舎玄関における「すわり込み」等をして要求事項を訴え、また話し合いを要求したので、市教委は警備組合代表者遠藤正生らと交渉した結果、(1)被申請人は警備組合に対し契約更新料として九九万〇、八五三円を支払う、(2)各種社会保険、休日補償、夏季手当に当てるためなどの一切を含めて委託料を月額五、〇〇〇円増額する、(3)警備組合は前記仮処分申請を取下げ九月二日以降誠実に業務を遂行する等の条件で妥結し、双方確認書を交換して警備組合員らはそれぞれの警備箇所である学校園の警備に従事し紛争は解決した。

(八)、しかし、警労組は同年一〇月二三日になつて執行委員長古川三千男名で被申請人に対し冬季ボーナス四万五、〇〇〇円および年末年始連続勤務手当一万円の要求書を提出し、団体交渉を要求した。市教委は前同様の理由で警労組との団体交渉を拒否したが、警労組がこれを不満として組合員数名が教育長室にすわり込み、さらに一部もしくは全部の学校園で連続時限ストと称して警備につかなかつたので、警備組合の代表者丸山孝弘らと交渉した結果、年末年始の警備に遣漏なきを期するということで一施設当り一万二、〇〇〇円の割合で委託料を増額し、昭和四五年四月以降の問題(その主たるものは警備員の正職員化である。)については双方の代表者間で協議するということで合意が成立した。

(九)、そこで、市教委は、警備員の正職員化について市長および市長部局人事課とも協議し検討したが、警備員中には条例および規則上職員として採用できる資格者が少いうえ、被申請人の方針として人件費の増加は極力おさえることとしていたので正職員化は困難であるとの結論に達し、正職員化が実現しない以上、職場放棄を行つた同じ警備員に公の施設である学校園の警備を委託するのは不安でありさらに、警労組の紛争中の行動により市議会が硬化し委託料の予算案を提出しても否決されるおそれがあるとの判断から警備組合との委託契約は契約期限の満了後は更新しない旨決定し、昭和四五年二月二八日付被申請人市長名義の書面で警備組合代表者丸山孝弘宛にその旨通告した。

証人野田昌秀の証言中右認定に反する部分は措信し難く、他に右認定に反する疎明はない。

右の各事実によれば、昭和四三年七月三〇日警備組合発足の当初はその組合員とされている人達の意思に基づくというよりは被申請人なり市教委の指導により組合契約書に署名したが、その後組合としての活動を続けて行く間に組合員の脱退加入により構成員に変動があり、それらの脱退、加入は被申請人の意思、意向とは無関係に組合員らの了解のもとになされ、新加入者は脱退者と同様学校園の警備に従事するという労務を提供して、警備組合という団体としての同一性を維持し、組合契約および規約に基き組合員の意思を統一するための機関としての総会および組合の対外的業務の執行に当る代表組合員を選定し、かつ、組合の事務処理のため事務員を雇用していること、本件委託契約による警備対象施設二五箇所中数施設については二人一組になつて警備に従事し、組合員も多いときには三八名位いたがその場合においても委託料は警備施設二五箇所を基準に定められており、警備要員の欠員補充、交替員の手当等はすべて警備組合の責任によつて行われ、警備対象施設に組合員の誰を配備し、また何人で警備させるか等労働力の配置編成権限についても、被申請人に関係なく警備組合がこれを有していたのであるから、警備組合は社会的に実在する一箇の独立性ある団体として活動していたものと認められる。そして、警備組合内部においては個々の組合員が学校園等の警備に必要な労務を提供することを約し、警備組合が被申請人の設置した学校園についてその警備という事務の委託を一括して専属的に引き受ける事業を営むことを目的として、警備組合の代表組合員と被申請人との間に前認定の本件委託契約が締結されたものと認めるのが相当である。

そうすると、警備組合は比較的社団的色彩が濃いけれども、その団体組織は構成員相互の間の権利義務として構成される民法上の組合であり、組合の債務はその組合員全員に帰属することになるので、各組合員個人と被申請人との関係のみを抽出し、前示認定の組合員の警備の実体を併せ考えると右関係は被申請人と警備員の雇用関係と類似した関係とみられるような面もないではないが、各組合員は負担する債務の内容はその組合員が現に警備に従事している施設のみを対象としたものではなく、本件委託契約の対象となつた二五箇所の施設全体を対象とするものであり、したがつて、右のうち一箇所でも警備を怠ることがあれば何ら懈怠のない組合員も債務不履行の責任を怠れないことになり、使用者と被用者との間の権利関係のみに尽きる雇用関係とは権利義務の内容を異にするといわざるを得ない。

三、なお、申請人らは、本件委託契約は公序良俗に反し無効である旨主張するが、労働基準法その他の労働者保護法規は雇用契約に必然的に伴う使用者の指揮命令権が労働者の人格に対する不当な支配となつて労働条件を悪化させ労働者の生存を危くするおそれがあるので、これを予防または排除するために制定されたものであるから、労働の需要者がその提供者の団体結成に関与してこれとの間の契約により右労働者保護法規の規制を受けない形式で労務の供給を受けたとしても、現実に右団体に労務供給に対する指揮命令権を委ねている以上、直ちに脱法行為であると断定することはできない。また、警備組合が契約期間中委託契約の対象となる全施設を一日の休みもなく警備する義務を負つていることは前認定のとおりであり、委託料はこれを前提として定められているとはいうものの、組合加入の承認および組合員の労働力の配置、編成は警備組合が自主的にこれをなし得ることも前認定のとおりであるから、組合員の数を最少限度にとどめ各組合員に対する分配金を多くするか、組合員の数を多くして労務供給力に余裕を持たせ交替で休暇をとる等して労働条件をよくするか否かは、警備組合が自主的に選択し得るところであり、また、証人遠藤正生の証言によれば、本件委託契約における一施設当りの委託料は大阪府下の被申請人以外の市から学校警備を委託されている業者に雇用されて警備員として働いている者の賃金よりも若干高いことが窺われるので、本件委託契約が反社会性を帯有するほど著しく警備に従事する者に不利益な契約内容であるとはいえないし、前示認定の契約締結の経緯からすると、本件委託契約が相手方の無思慮、窮迫に乗じて不当の利を得るために締結されたものともいい難いうえ、申請人らは警備組合成立後新に組合員としてその自由意思により加入してきたものであることを考えれば、申請人らの右主張は理由がない。

四、次に、申請人らは、本件委託契約は職業安定法施行規則第四条の要件をみたしていないから職業安定法四四条に違反し無効である旨主張するが、同条が禁止の対象としているのは、自然人、団体、法人のいずれかを問わないが、労働者から独立した意思主体である第三者が労働者自身の意思によらずにその労働者を他に就労させる場合であると解されるところ、本件のように労働者自身が民法上の組合を成立させ、その組合契約上の労務の出資に基づき、各組合員が就労する場合はその就労先が組合と第三者との契約により定められた場所であつても、右第三者との契約関係は組合の性質上各組合員に直接帰属し、実質的に第三者の意思によつて他に就労する場合には当らないといえるから、本件委託契約が右法条に違反するということはできない。したがつて、申請人らの右主張も理由がない。

五、そうだとすると、申請人らの本件仮処分申請は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも被保全権利の疎明なきに帰し、右疎明に替え保証を立てさせて仮処分をなすべき場合にも当らないと認められるので、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 志水義文 笠井昇 中根与志博)

(別紙(一))

就労場所等目録

申請人氏名

就労場所

契約日

契約当事者

小林正明

枚方市立香里園東町二〇

枚方市立第二中学校

四四・一一・一

枚方市立第二中学校長

雲川正明

浮本幹雄

枚方市高田町二ノ一五ノ一〇

枚方市立春日小学校

四四・三・九

枚方市立春日小学校長

平田勉

中居隆司

枚方市山之上一ノ三一ノ二〇

枚方市立山ノ上小学校

四四・九・一〇頃

枚方市立山ノ上小学校長

竹内清

梶原正志

枚方市上野東町四ノ一八

枚方市立第一中学校

四四・三・下旬頃

枚方市立菅原小学校長

谷村芳一

野村貴

枚方市山之上一ノ三一ノ二〇

枚方市立山之上小学校

四四・七・一八頃

枚方市立第四中学校長

横山正二

枚方市上野一ノ六ノ五

枚方市立殿山第一小学校

四四・三・中旬頃

枚方市立香里小学校校長

北田徳一

岩木等

枚方市高田町二ノ五ノ一〇

枚方市立春日小学校

四五・二・一八

枚方市立春日小学校長

浅田正已

石田治

枚方市香里ヶ丘六ノ九

枚方市立五常小学校

四五・三・一〇

枚方市立五常小学校長

掃部正良

原田博文

枚方市養父ヶ丘二ノ七ノ五三

枚方市立殿山第二小学校

四五・二・中旬頃

枚方市立殿山第二小学校長

寺島茂和

(別紙(二))

組合契約書

第一条 本契約書末尾記載の組合員は、第二条以下の定めるところによりそれぞれ出資をなし、共同の事業を営むことを約した。

第二条 当組合は市立学校園警備組合(仮称)(以下単に組合という)と称する。

第三条 当組合の事務所は、枚方市大垣内町二丁目一番二〇号枚方市教育委員会庶務課内に置く。

第四条 当組合は下記の事業を営むことを目的とする。

枚方市の委託による後記警備箇所および物件の警備保安に関する業務

第五条 第一条記載の各組合員の出資は、労務とする。

2、各組合員の労務出資は、これを別表記載の通りの金員をもつて見積るものとする。

第六条 当組合の対外的組合代表権限を組合員の全員一致によりすべて組合員     に委任する。

但し、無報酬とする。

第七条 業務執行者     は毎年三月末日および九月末日締切の計算をなし、各翌月一五日までに下記書類を総組合員に提出してその承認を求めなければならない。

一、財産目録

一、貸借対照表

一、損益計算書

第八条 各組合員の損益分配の割合は、出資額の割合による。

2、組合は、組合員に対し、各平等に月額金     円の利益金を分配する。

3、業務執行者     は前条の規定により計算の承認を得たときは、遅滞なくその利益金を前項の割合により各組合員に配当しなければならない。

4、組合員が前項により受け取るべき利益金の配当額と第二項により受け取つた月額利益金の総計とに差額があるときは、第七条の決算期に清算しなければならない。

第九条 組合は、組合員のために組合員が業務遂行につき受けた生命身体に対する損害を填補するため、各組合員につき保険額    円の保険に加入しなければならない。

第一〇条 新たな加入者を組合に入れる場合は、従来の組合員全員の承諾を要する。

第一一条 各組合員は、何時でも組合の業務および組合財産の状況を検査することができる。

第一二条 組合が解散したときは組合員     、同     をもつて清算人とする。

上記契約を証するため、本証書を作り、下記各組合員署名捺印のうえ当組合事務所に備付けて置くものとする。

以上

(別紙(三))

警備保安委託契約書

枚方市長山村富造(以下甲という)と市立学校園警備組合(以下乙という)は、枚方市立学校園の警備保安に関し、次のとおり契約を締結する。

第一条 甲は別紙仕様書に基く、甲の設置管理する別紙警備箇所および物件(以下施設という)の警備保安を昭和  年 月 日より昭和  年 月 日までの  カ月間   円の報酬を支払うことを約して乙に委託し、乙はこれを承諾する。

2、乙は一カ月毎に甲の定める請求書により甲に対して警備保安代金    円を請求することができる。

3、甲は前項による請求が適法なものであるときは、その月分をその末日までに乙に支払わなければならない。

第二条 乙は甲のために甲の設置管理する施設全域に亘り警備保安に関する業務を行い、かつ盗難侵入、破壊等の犯罪行為の予防、防止に努め、とくに火災予防には万全の注意をもつてその業務を遂行する。

2 乙が本契約に基く上記業務のため、乙の組合員を指揮監督する権限は、天災地変等の緊急の場合を除くほか、専ら乙にのみ属する。

3、乙は警備日誌ならびに月間警備報告を翌月五日までに甲に提出するほか、甲の申入があれば警備状況を報告しなければならない。

第三条 甲の乙に対する第一条記載の報酬は乙に対してのみ支払い乙の組合員は甲に対し直接請求することができない。

第四条 乙は甲の書面による承諾がなければ本契約に基く一切の権利義務を第三者に譲渡することができない。

第五条 乙は本契約の履行について、甲の書面による承諾がなければ業務の全部又は一部を第三者に委任し、もしくは請負わせることができない。

第六条 乙は、乙または乙の組合員が故意または重大な過失により甲の設置する施設に損害を与えたときは、直ちにその損害を賠償しなければならない。この場合甲は上記損害が発生した日より五日以内に書面をもつてその内容を乙に通告するものとする。

2、前項の損害が乙または乙の組合員が第二条第二項に定める甲の指図に従つてなした緊急処置によつて生じたものであるときは前項を適用しない。

第七条 乙は、乙または乙の組合員が故意または重大な過失により第三者に損害を与えたときは、第二条第二項に定める甲の指図した緊急処置によつて生じた場合を除くほか、その損害を賠償しなければならない。

第八条 乙は一カ月前に甲に対し書面で本契約の解約申入をなすことによつて本契約を解約することができる。ただし、甲の要求があるときは、一カ月間に限り業務引継ぎのため本契約に基くと同じ業務を継続遂行しなければならない。

第九条 甲は乙が下記の各号の一に該当するときは直ちに本契約を解除することができる。

(1) 第二条第三項に定める報告を提出しないとき

(2) 第四条、第五条または第八条に違反したとき

(3) 乙又は乙の組合員の業務遂行能力に著しい低下があつたとき

(4) その他本契約に違反したとき

2、前項による甲の解除権の行使は、乙に対する損害賠償の請求を妨げない。

第一〇条 乙の本契約に基く業務遂行に必要な費用のうち電気、ガス使用料、水道使用料を除く備品用具等はすべて乙または乙の組合員が提供する。

第一一条 本契約に定めのない事項または本契約条項に疑義の生じたときは甲乙協議の上定める。

以上

(別紙(四))

枚方市立学校園および学校給食共同調理場警備保安委託仕様書

1、乙の組合員は、それぞれ後記配置表に従つて委託の目的たる枚方市立学校園および学校給食共同調理場(以下「施設」という)に駐在し、定められた時間内継続して、責任をもつて施設の維持保全につとめること。

2、乙の組合員は、その業務を適正かつ円滑に遂行するため、各施設の教職員・校務員および職員の職務を尊重し、相互の連絡を密にすること。

3、乙または乙の組合員は、その職務を行うにつき、またはこれに関連して知り得た甲または各施設の秘密事項を他に漏してはならない。

4、乙の組合員がこの契約および仕様書にもとづき委託の目的たる施設に駐在して「警備保安委託契約書」(以下「契約書」という)第一条の委託業務を行うべき時間は原則として次のとおりとする。

(1) 平日  一六時三〇~翌日の八時三〇分

(2) 土曜日 一二時~同上

(3) 日祝日 八時三〇分~同上

(年末年始、創立記念日を含む)

ただし、季節または学校等の事情により若干の変動がある。なお、春季、夏季、冬期休暇中に限り朝の交替時間を午前九時とする。

5、乙の組合員がその業務を行うための定位置および仮眠場所は、各施設毎に施設の長が指示をする。

6、乙の組合員は、次の要領により校内を巡視し、火気の取締りと戸締りに遺漏なきを期すること。

(1) 乙の組合員は、毎日業務を開始する際、先ず施設の長に連絡して当日の委託業務につき連絡指示をうけ、その後、校内全般の戸締りを点検するとともに火気に注意する。残留者のあるときは、その退出を確認して戸締りを点検する。

(2) 校門および校舎等の開閉扇を行う。

(3) 上記のほか、次の時刻を基準として定期校内巡視を行い、戸締りと火気および不法侵入者の有無等を確認するものとする。

(イ) 夜間の場合 一八時、一九時、二〇時、二一時

二三時、翌日の七時

(ロ) 昼間の場合 九時、一一時、一三時 一五時、一七時

7、校内巡視のほか、乙または乙の組合員が行う業務は次のとおりとする。ただし、その具体的な処理方法については、施設の長の指示によるものとする。

(1) 火気の取締りや盗難の予防に関すること。

(2) 施設や物品の保全に関すること。

(3) 施設の目的外使用に対する対応および使用後の点検等に関すること。

(4) 教職員不在時における児童、生徒の世話や救急処置に関すること。

(5) 文書の収受や物品の収納に関すること。

(6) 電話の応対や外来者の応接に関すること。

(7) プールの給排水や浄化装置の運転操作に関すること。

(8) その他、施設の長が特に指示する事項

なお、火災盗難等非常事態が発生したときは、臨機の措置をとるとともにすみやかに関係機関および施設の長に連絡すること。

8、乙の組合員は、業務時間中はその委託の目的たる施設内を離れることはできない。ただし、やむをえない事情が生じ施設の長が認めた場合はこの限りではない。

9、業務を終了した場合は、その都度「警備日誌」に所定の事項を記入し、施設の長の認印を受けること。

以上

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