大判例

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大阪家庭裁判所 昭和31年(家イ)1491号 審判

申立人 山下房子(仮名)

相手方 花房安夫(仮名)

主文

申立人と相手方との内縁関係を本日限り解消する。

相手方は申立人に対し慰藉料として昭和三二年五月より昭和三三年四月迄毎月金一五〇〇円宛申立人住所に持参又

は送金して支払うと共に、即時相手方父寛次が申立人に買与えた鏡台と下駄箱を申立人に引渡すことを命ずる。

理由

本件申立実情の要旨は「申立人は昭和三一年二月郷里で結婚式を挙げて内縁関係に入り、同年四月より上阪して相手方の肩書住所に同棲したが、約半年位後より相手方は申立人に性的欠陥があると称して同衾を拒んだ。申立人は医師の診断を受けたところ普通とのことであつたが相手方は聞き入れず、同年七月一三日雙方共に郷里に帰り申立人は実家に戻つた。その後相手方から別れ話も出たがまとまらず申立人は郷里にも居辛いため又上阪して現住所の叔父方に食客となつているが、もはや相手方と同棲することはできないから内縁関係の解消を求めると共に、相手方から一方的の言分によりかような破局に陥れられ精神的打撃は甚大であるから、相当額の慰藉料の支払を求める」というにある。

本件については前後一九回に亘り調停期日を開き相手方の父親をも郷里から呼出して調停をすすめたのであるが申立人にも性的欠陥が全く無かつたとも断言し得ぬ節もあり、又相手方は現在昼夜交替の工員として勤務中のため出頭率も悪く給料も金一万円程度のため多額の慰藉料の支払を命ずるわけにゆかず、申立人所有物件の引取は完了したので結局主文記載のとおり向う一年間毎月金一五〇〇円宛分割払及び相手方の父が結納代りに買い与えた鏡台と下駄箱を申立人に引渡すとの条項の下に調停成立の見込ができ雙方各別に承諾したが、相手方が出頭せぬので本年四月一九日午後六時の最終期日の出頭勧告のため当庁調査官吉本修が相手方宅に赴いたところ、相手方も同期日に出頭して以上の条項により調停成立を承諾しながら又もや出頭せず、調停は成立しなかつた。

以上の次第であるから、当裁判所は家事審判法第二四条に則り調停委員の意見を聴き当事者雙方のため衡平に考慮し一切の事情を観て職権で主文記載の審判をすることは雙方の申立の趣旨にも反せず相当と認めたものである。相手方においても十分この審判をなすに至つた事情を考えて誠意を以て金銭の支払及び物件引渡を実行することを切望する。

(家事審判官 沢井種雄)

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