大判例

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大阪家庭裁判所 昭和39年(家イ)1553号 審判

本籍 韓国慶尚北道 住所 大阪市

申立人 李美子(仮名)

本籍 申立人に同じ 住所 豊中市

相手方 李元典(仮名) 外一名

主文

相手方両名と申立人との間に親子関係がないことを確認する。

理由

本件申立の要旨はつぎのとおり。

申立人は、韓国戸籍上相手方両名の嫡出子として出生したように記載されているが、真実はそうでなく、日本人女山田恭子(本籍大阪府○○市○○通一丁目六番地)の子である。すなわち恭子は石山秀三との間に申立人をもうけたが(父秀三の認知は受けていない)、事情あつて申立人を養育できなかつた為め、石山の知人を通じ相手方らに申立人を事実上の養子として引き渡したところ、相手方らにおいて、申立人を自己の嫡出子として出生した旨の不実の届出をなし、そのため戸籍にそのように登載されたものである。そこでこのたび申立人と松本周子との母子関係の存在を明らかにする前提として、申立人が相手方両名の子でないことの確認を求める。

よつて審案するに、当裁判所調停委員会において当事者間に主文同旨の合意が成立し、その原因事実についても争がなく、さらに必要な事実を調査したところ、上記申立理由と同旨の事実が認められた。

さて当事者双方が外国籍を有していても、いずれも日本に住所があり、また永住の意思をもつこと(この点は事実調査の結果明らかである)の明らかな本件について、わが国の裁判所が裁判管轄権を有することは明らかである。そこで本件の準拠法について考察するに、一般に虚偽の出生届出に基づき外国戸籍に親子として記載されている場合に、その表見上の親子に血縁上の親子関係がないことを明らかにすることの準拠法については、法例に直接の規定はないが、かかる表見上の親子関係の存否確定の問題は、嫡出関係のないことと共に父母双方と子との間に血縁関係のないことをも明らかにするものであるから、法例第一七条のほか同第一八条第一項の趣旨を類推して、当事者双方の本国法を準拠法とみるのが相当である。

ところで上記認定の事実その他調査の結果認められる実情によると、相手方両名の本国法は大韓民国法、申立人の本国法は日本法とみるべきところ、韓国においては、現にわが国におけると同じく、血縁上親子関係がない場合に法律上親子関係の存在しないことの確認を求めることができるし、しかもその手続については同国家事審判法によると乙類審判事項とされている。そして親子関係存否確認の方法については、手続法的な問題であるから、管轄権のあるわが国の裁判所にその申立をする以上、わが国の法律(法廷地法)によるべきであるから本件ではわが家事審判法第二三条の手続により得べきこともまた明らかである。

以上の次第で、上記認定の実情によると、申立人と相手方両名との間に親子関係がない旨の合意は真実に合致していること明らかであるから、本件申立を相当として認容し主文のとおり審判する。

(家事審判官 西尾太郎)

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