大判例

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大阪高等裁判所 昭和49年(ネ)93号 判決

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は、次のとおり附加、訂正するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

原判決三枚目表三行目の「抗弁事実を否認し」とあるのを、「抗弁に対する認否及び主張として、抗弁事実一、二、は否認する。同三、のうち本件確定判決による請求債権について控訴人主張のとおり公正証書を作成したことは認めるが、その余は否認する。右公正証書に基づく債権については、強制執行により、昭和三九年五月一日金二万五、〇〇九円の支払いを受けて元本の弁済に充当し、昭和四五年六月一六日金二万四、八三〇円の売上金を得たが利息、損害金及び執行費用に充当した結果、元本の弁済に充当分はなく、従つて、結局、本件確定判決による債権についての支払いは皆無である。と述べ、」と訂正し、同三枚目表一二行目始めから同裏二行目末までを「三、同三項のうち訴外人及び控訴人らの身分関係と控訴人らの相続関係についての主張は認めるが、その余は争う。」と訂正し、同裏一〇行目「一一九・〇四平方メートル」の次に「現況木造瓦葺三階建店舗」を、同四枚目表九行目の「に」の次に「、昭和四九年一二月末日現在金三一〇万五、〇〇〇円に」を、同一二行目括孤内の「一二日」の次に、「及び昭和五〇年一月二四日」を、同四枚目裏一行目の「一覧表」の次に、「(本判決添付別紙のとおり)」を各附加する。

(立証省略)

理由

(請求原因について)

一、いずれも成立に争いがない甲第一号証の一ないし六によると、被控訴人は訴外中田製作所こと中田三郎に対し大阪地方裁判所昭和三七年(ワ)第四、一一三号約束手形金請求事件の確定判決を有していること、右判決は右訴外人に金二九四万七、九二九円およびこれに対する昭和三七年四月二九日より完済に至るまで年六分の割合による金員を被控訴人に対し支払うべき旨命じたものであり、昭和三八年五月三〇日に言渡され、同年六月二九日に確定したものであることが認められ、これに反する証拠はない。

そうして、右訴外人が慶尚南道昌寧郡高岩面中大里一四一番地に出生した本名姜錫鏞という大韓民国人であつて、昭和四三年二月一三日死亡したこと、その相続人は、長男であつて戸主相続をする控訴人姜幸男、同一家籍内にある男子の訴外姜正秀、女子である控訴人姜明、同姜哉、同姜輝、同姜冨美子、訴外姜有子および妻である控訴人孔泳熙であることは当事者間に争いがないから、当裁判所に明らかな韓国民法九八四条、九八五条、一、〇〇〇条、一、〇〇三条、一、〇〇九条によれば、その相続分は、控訴人姜幸男については一一分の三、その余の控訴人らについては各一一分の一となる。

(抗弁について)

二、控訴人らが抗弁として主張するところは、いずれも本件確定判決における請求債権の実体的債権消滅事由であるから、もともと本件確定判決につき請求異議の訴えを提起して主張すべきものである。

ところで、執行文付与の訴えにおいてこのような実体的債権消滅事由を抗弁として主張することが許されるかについては、請求異議の訴えとの関連で、積極、消極二つの考え方があるが、民事訴訟法が強制執行の要件を債務名義と執行文という二つの要素で構成するたてまえをとり、執行文付与の訴えと請求異議の訴えとを併立させていることは、両訴えをその目的、機能を異にする別個の訴訟として機能の分化を予定し、相互の融通を排除しているものと考えられるので消極に解するのが相当である。これに対しては、執行に関する訴訟をくり返させることになり訴訟経済に反するとの批判もありえようが、債務者は執行文付与の訴えの反訴として請求異議の訴えを提起することができるし、裁判所も釈明によつて反訴提起を促すこともできるわけであるから、必ずしも右批判は当らないと考える。

したがつて、控訴人らの主張は爾余の判断をするまでもなく理由がないものといわねばならない。

(結論)

三、前記認定事実および当事者間に争いがない事実によれば、控訴人らに対し、本件確定判決正本につき前記相続分に応じた割合による執行文の付与命令を求める被控訴人の請求は理由があるのでこれを認容すべきところ、これと同趣旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(別紙)

約束手形一覧表

〈省略〉

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