大判例

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大阪高等裁判所 昭和52年(行コ)15号 判決

京都市中京区河原町通三条下る山崎町二丁目二三四番地

二宮判述こと李判述訴訟承継人

控訴人

成吉子

右訴訟代理人弁護士

杉島勇

杉島元

京都市中京区柳馬場通二条下る等持寺町一五番地

被控訴人

中京税務署長

北村政雄

右指定代理人

上原健嗣

小林修爾

中野清

則岡信吾

主文

本件控訴を棄却する。

訴訟費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

1  原判決を取消す。

2  被控訴人が昭和三九年二月二五日、二宮判述こと李判述に対しそれぞれなした

(一) 李判述の昭和三五年分所得税についての更正処分のうち総所得金額三三一万八七九九円を超える部分、

(二) 李判述の昭和三六年分所得税についての更正処分のうち総所得金額五四九万六〇九二円を超える部分、

(三) 李判述の昭和三七年分所得税についての更正処分のうち総所得金額一〇二一万八八五七円を超える部分、

をいずれも取消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨の判決。

第二当事者の主張、証拠関係

当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に付加するほかは原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

一  控訴人の主張

1  麗峰会館が賃貸借契約時賃借人らより受領した契約金は保証金的性質のものであり、解約の際受領額の二割相当が賃貸人の収益となるにすぎない。もっとも賃貸借契約書には契約金を返戻しない旨の記載があるけれども、この記載は賃借人らの契約金返還請求権を賃借人らの債権者から保護するため賃貸借当事者間の合意により仮装したもので、真実に反するものである。

2  昭和三五年度以降における店舗賃貸業は麗峰会館が営んでいるのであり、その主体は株式会社麗峰(その後麗峰商事株式会社となった。)であって、二宮判述こと李判述個人ではない。

然るに被控訴人は麗峰会館の店舗賃貸業の主体を昭和三五ないし昭和三七年度について二宮判述こと李判述とし、その後昭和三九ないし昭和四二年度については麗峰商事株式会社であるとして課税している。

3  二宮判述こと李判述は、昭和五三年三月一二日に死亡し、その妻成吉子が相続によりその権利義務のすべてを承継した。

二  被控訴人の主張

1  二宮判述こと李判述が賃借人らから受領していた契約金は全額賃貸人の収益となる権利金であって、賃借人らもそのように認識していたし、李判述自身も調査の際これを預り金であるとの申立をしていなかった。

2  被控訴人の主張する李判述の不動産収入は、昭和三五年四月六日から同三六年五月二八日までは李判述が株式会社麗峰の名義で賃貸して得た賃貸借契約金と賃貸料の収入であり(賃借人の氏名、契約年月日、契約金等の金額は原判決別表5、6のとおりである。)、昭和三六年五月二九日以降は李判述が麗峰商事株式会社に賃貸して得た賃貸料収入である。したがって、争いのあるバー経営者との契約金は、李判述が株式会社麗峰名義で賃貸して得たものである。麗峰商事株式会社が得たものは含まれていない。

3  控訴人の主張3の事実は認める。

理由

一  当裁判所は、控訴人の本訴請求は失当であって棄却を免れないものと判断する。その理由は、左記を付加するほかは原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する(ただし、原判決別表6の最下段「合計金額」の前に「賃借人麗峰商事分を除く」を加える。)。

1  被控訴人が昭和三九年度以降昭和四二年度まで麗峰会館の店舗賃貸業の営業主体を麗峰商事株式会社として課税していることは当事者間に争いがない事実であるが、他方麗峰商事株式会社(当時代表取締役李判述)が昭和三六年五月二九日設立された貸室業を営業目的とする会社であり李判述がその所有する麗峰会館全部を右麗峰商事株式会社に対し同日以降月額二五万円で賃貸して賃料を取得していることもまた当事者間に争いのない事実である。そうすると、被控訴人が昭和三九年度以降麗峰商事株式会社に対し麗峰会館の賃貸による所得について課税したことは、昭和三五年度から昭和三七年度までの麗峰会館の賃貸主体が李判述であるとして同人に課税したことを不当とする理由とはならない。

2  李判述が昭和五三年三月一二日に死亡し、その妻である成吉子が相続によりその権利義務のすべてを承継したことは当事者間に争いがない。

二  よって、原判決は相当であり本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 川添萬夫 裁判官 吉田秀文 裁判官 中川敏男)

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