大判例

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大阪高等裁判所 昭和58年(行コ)41号 判決

控訴人(原告) 谷英太郎

被控訴人(被告) 兵庫県知事

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴の趣旨

(一)  原判決を取り消す。

(二)  控訴人が昭和五七年八月一〇日付でなした土地改良事業施行認可申請の適否決定処分についての異議申立に対し、被控訴人が控訴人に対して同年九月二五日付でした異議申立を棄却する旨の決定を取り消す。

(三)  被控訴人が昭和五七年九月三〇日付でした八鹿町営土地改良事業(団体営ほ場整備事業・朝倉地区)に関する同事業の施行認可処分を取り消す。

(四)  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

2  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨。

二  当事者の主張

次のとおり当審における主張を付加するほかは、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する。

1  控訴人

控訴人は本件事業計画地内に土地を所有し、本件事業によつて重大な私権の制約を受ける者であるが、本件事業が土地改良法に定める土地改良事業でないと主張しているのである。同法所定の各種異議申立手続はすべて正当な土地改良事業を前提として技術的・個別的に権利調整を図る目的で定められているにすぎず、法の適用のないものについて法の事後の技術的規定をもつて救済手段とすることは不当である。本件事業計画は法の定める計画となりえないものであつて、これが青写真であるか否かの論議以前の問題である。本件事業計画については争訟としての成熟性を論ずるまでもなく、右計画の時点においてしか争えないものであり、事後の救済手続によつて救済されるべき性質のものでない。現時点における右計画自体の取消請求が否定されるいわれはない。

2  被控訴人

訴訟制度は具体的紛争の解決を目的とするものであるから、本件事業計画が法に定める計画か否かを抽象的に訴求することは許されない。本件事業計画が法に定めるものでないとして具体的処分の取消を訴求することは可能であるが、控訴人に対し具体的処分のなされていない現時点で右計画自体の適否を訴求することは許されない。

もし、控訴人主張のとおり、事業計画が樹立された段階で右計画の取消を認めると、現実にはなんら権利侵害を受けていない者からの濫訴によつて大多数(法九六条の二により三分の二以上)の同意を得て(本件では資格者八四名中七九名の同意を得ており、同意率は九四パーセントである。)樹立された計画の進行が著しく遅延することとなり、公共の福祉に重大な支障をきたすので、権利侵害が直結されている場合は格別、そうでない施行認可の段階での計画取消を認めず、後続する具体的処分の段階で処分の取消を認めて、事業と個人の利益の調整を図つていると解するのが法の趣旨に適うものである。

三  証拠関係〈省略〉

理由

一  当裁判所も、控訴人の本件各訴えはいずれも不適法として却下すべきものと判断する。その理由は、次に付加するほかは、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

控訴人は当審において、土地改良事業が土地改良法に定めるものでないときは、利害関係人は右事業に基づき具体的処分を受ける前においても、右事業計画について取消を訴求できる旨主張するが、このような場合右訴えを認める特段の定めがあれば格別(法九六条の二第五項、九条一項所定の異議申立が右特段の定めにあたらないことは、先に引用した原判決理由のうち二の2の(三)項において説示したとおりである。)、右定めのない同法に基づく本件事業計画について、控訴人主張のような訴えを提起できるものとは認められない。したがつて、右主張は採用できない。

二  そうすると、右と同旨の原判決は相当で、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石井玄 高田政彦 礒尾正)

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