大判例

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大阪高等裁判所 昭和62年(行コ)10号 判決

大阪市西成区山王一丁目九番七号

控訴人

北畑静子

右訴訟代理人弁護士

坂田宗彦

市同区千本中一丁目三番四号

被控訴人

西成税務署長

岩坂弘

右指定代理人

松本佳典

土谷睦美

安東謙

高袖冨士夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求める裁判

(控訴人)

1  原判決を取消す。

2  被控訴人が昭和五七年六月二二日付で控訴人に対してした原判決別表(一)記載の物品税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分を取消す。

3  訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。

(被控訴人)

主文同旨。

二  当事者の主張

次に付加する外、原判決事実摘示と同じであるから、これを引用する。

(控訴人)

1  物品税法は、再三にわたって課税方式を変更しているが、この変更は、古物への課税を前提としていないというべきである。即ち、控訴人が古物として扱う代表的商品である貴石等については、昭和一二年の法制定当時小売課税であったが、昭和二一年に製造場移出課税とされ、昭和二八年再び小売課税とされた。なるほど新品であれば、消費に至るどの段階で課税するかは徴税技術上の問題であるが、古物に課税するという立場からすれば、古物について、課税、非課税が変動することとなる。従って、物品税法が古物への課税を前提としているのであれば、貴石等について製造場移出課税に課税方式を変更するにあたって、貴石等の古物については、なお従前どおり小売課税とするとの例外措置が講じられるのが当然である。事実、書画・骨董については、昭和二一年改正の際に右例外措置が講じられている。

2  物品税法が古物への課税を予定していなかったことは、その税率からみても明らかである。即ち、昭和一九年二月の物品税法改正により、貴石等の第一種甲類の物品に対する税率は一二〇パーセントとされたが、これは新品の売買一回限りに課税し得ると考えて初めて頷ける高い税率である。ちなみに、この改正時に古物のなかでも相対的に高価な鑑賞的美術品である書画・骨董は、第一種乙類の物品として税率は六〇パーセントにとどまっている。これは当時、右物品が二度も三度も市場にあらわれ、その都度課税するとの前提があったからである。そうであるなら、書画・骨董同様、何度も市場にあらわれる貴石等の古物が一二〇パーセントもの税率を課せられるのは不合理であり、法はこのような不合理を予定していなかったというべきである。

(被控訴人)

右主張は争う。

三 証拠

原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないと判断するが、その理由は次に付加する外、原判決理由説示と同じであるから、これを引用する。

控訴人は、物品税法が再三、課税方式を変更しているのも、古物への課税を前提としていないと主張する。しかしながら、物品税は、消費税としての本質からは、消費に最も近接した小売の段階で課税する方式が理想的であるけれども、零細な納税者数が増大し、課税技術上の困難があるため、貴石等の奢侈品である第一種の物品については小売課税制度を、電気器具等、比較的大企業の生産物品の多い第二種の物品については製造場移出課税制度を採用している。同法は昭和一二年八月公布の、北支事件特別税法のうち物品特別税の制定により創設され、職費調達のため税率の引上げ等、度々の改正を経て、戦後、書画・骨董を除く第一種の物品について、控訴人主張のとおりの課税方式の変更があったものであるが、右昭和二一年の製造場移出課税制度への改正は、当時、第二次大戦後の流通市場の混乱から、小売課税制度では物品税の徴収が困難となったがためである。その後、経済状態も安定したので、昭和二八年の改正により、爾後、小売課税制度に復帰したものであり、右改正はいずれも、その時代の経済状況に合せて課税方式を一時改めたに過ぎない。そして、その間は製造場移出課税制度の故に、右古物に課税されないこととなっても、それは徴税技術上の問題であって、原判決理由説示の物品税の本質には何ら変りがない。

また、控訴人は、右戦時中貴石等の税率が高く、書画・骨董の右税率との比較から、右古物には課税されない旨主張するけれども、物品税法が課税物品として、控訴人主張の貴石製品等の古物を含むものであることは、原判決掲記の最高裁判所判例が示すとおりであって、控訴人の主張はいずれも独自の見解に基づくものであるるから、採用するに足りない。

二  以上によれば、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、控訴費用につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 上田次郎 裁判官 川鍋正隆 裁判官 若林諒)

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