大判例

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大阪高等裁判所 昭和62年(行コ)29号 判決

京都府亀岡市大井町小金岐二丁目二九-一

控訴人

河原林武弘

右訴訟代理人弁護士

岩佐英夫

吉田眞佐子

京都府宇治市大久保町井の尻六〇番地の三

被控訴人

宇治税務署長

西村定助

右指定代理人

佐藤明

石田一郎

紅野康夫

滝川通

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が、昭和六一年五月九日付でした、控訴人の昭和五七年ないし昭和五九年分の総所得金額をいずれも零とする所得税の更正処分を取り消す。

3  控訴人の総所得金額が、昭和五七年分については五六万五〇〇〇円、昭和五八年分については一二一万四三〇〇円、昭和五九年分については一三二万円であることをそれぞれ確認する。

4  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二主張

当事者双方の主張は、次に控訴人の当審における主張を付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

控訴人は、中小企業者として、京都府の中小企業融資制度の低利融資を受けることを希望しているものであるが、右融資を受けるためには、税務申告をしていることが要件になっており、本件更正処分の結果、右融資を受ける道を閉ざされるという不利益を被り、この不利益は、営業の自由を現実に保障するために不可欠の右融資制度を利用する権利を侵害されたことに帰するものであるから、本件更正処分の取消を求める法律上の利益がある。

第三証拠

本件記録中の当審の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本件訴えは不適法のものとして却下すべきものと判断するが、その理由は、次に控訴人の当審における主張に対する判断を付加するほか、原判決理由説示と同一(但し、原判決四枚目表二行目の「訴えの利益」を「法律上の利益」と、同五行目の「訴えの利益」を「控訴人の当事者適格」とそれぞれ改める。)であるから、これを引用する。

控訴人は、本件更正処分の結果、中小企業融資制度の低利融資を受ける法律上の利益を侵害されたと主張する。しかしながら、控訴人主張の利益は、本件更正処分の根拠となった国税通則法、所得税法によって保護された利益ではなく、事実上の利益にすぎないから、行政事件訴訟法九条に規定する取消訴訟の原告適格を基礎づける法律上の利益にあたらないことは明らかであり、控訴人の主張は失当である。

二  よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 荻田健治郎 裁判官 道下徹 裁判官 渡部雄策)

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