大判例

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富山家庭裁判所 昭和41年(家)621号 審判

申立人 山野くに子(仮名)

後見人 山崎みき(仮名)

事件本人 山崎昌子(仮名) 昭和三〇年八月一日生

主文

事件本人山崎昌子の後見人山崎みきの後見人を解任する。

理由

記録に現われた戸籍謄本、登記簿謄本、当裁判所調査官の調査報告書、申立人並に後見人に対する各審問の結果を総合すると、申立人は、昭和二七年六月三〇日山崎良二と婚姻し、同三〇年八月一日長女昌子(事件本人)を儲けたこと、申立人と前記良二は同三三年四月二二日協議離婚をなし、事件本人の親権者を父良二と定めたこと、前記良二は、その後同三四年六月一〇日榎本君子と婚姻し、両者間に同三五年三月七日長男好夫を儲けたこと、前記良二は同三四年一一月二二日事故死し、事件本人の親権を行う者がなくなつたため、同三六年五月三一日亡良二の母みきが、事件本人の後見人に選任せられて今日に至つたこと、申立人は同三五年八月ごろから事件本人を引取り、電機工場の工員として働き、その働きによつて得た僅かな収入で事件本人を養つていること、後見人みきは後添の嫁君子およびその子好夫と現在生活を営んでいるが、世帯の切り廻しの一切を嫁君子がなしていて、後見人は嫁君子の言う儘になつていないと「出て行け」がましき態度に出られるため、これを恐れて意見をさし挾むことができず、総て嫁君子のいいなりにならざるを得ない立場にあること、亡良二の相続人は事件本人と、良二の後添いの妻君子および長男好夫の三人であり、従つて事件本人と後者二人と利害相反の関係にあるところ、以上のような立場にある後見人としては、事件本人の利益のため、十分な後見人として任務を尽すことができない実情にあることが窺われる。のみならず年齢的にもその能力がなく、これまでに後見人として良二の相続財産の配分につき事件本人の利益のため尽したこともなければ、又事件本人に対し生計費を送つた事実もなく、他方嫁君子は、その兄に当る後見監督人榎本貫一の助言を得て相続財産の一部である田、宅地を金一一五万五、七〇〇円に処分して、前記君子等の現に居住している家屋の新築費に充て、該新築家屋の名義を前記長男好夫名義に登記しているのみならず、残余の相続財産も長男好夫に相続させていることが、それぞれ認められる。以上の次第につき後見人山崎みきをして、これ以上事件本人の後見を続けさせることは適当ではなく、法律のいわゆる後見の任務に適しない事由があるものに該当するものと認め、これを解任することとして、主文のとおり審判する。

(家事審判官 神野栄一)

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