大判例

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山形地方裁判所酒田支部 昭和41年(ワ)42号 判決

主文

被告三名は合同して、原告に対し、金一五〇万円を、また右金額に対し、被告有限会社小形商事および被告小形卯一は各自昭和四一年七月二一日より完済に至るまで一日金一〇〇円につき金五銭の割合による金員を、被告東田川信用組合は昭和四一年七月二〇日より完済に至るまで年六分の割合による金員を、支払え。

原告の、被告有限会社小形商事および被告小形卯一に対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、被告三名の連帯負担とする。

この判決は、仮に執行することができる。ただし、被告三名のうち金五〇万円の担保を供した者は、右仮執行を免れることができる。

事実

原告訴訟代理人は、「被告三名は合同して原告に対し、金一五〇万円を、また右金額に対し、被告有限会社小形商事および被告小形卯一は各自昭和四一年七月二〇日より完済に至るまで一日金一〇〇円につき金五銭の割合による金員を、被告東田川信用組合は昭和四一年七月二〇日より完済に至るまで年六分の割合による金員を、支払え。訴訟費用は被告等の負担とする。」との判決と仮執行宣言を求め、請求原因として、

一、被告有限会社小形商事代表者は、昭和四一年三月二九日、被告小形卯一(以下被告卯一と略称)にあてて、金額一五〇万円、満期昭和四一年七月二〇日、支払地東田川郡余目町、支払場所東田川信用組合、振出地酒田市なる約束手形を振り出し、被告東田川信用組合代表者は右約束手形に手形保証をした。被告卯一は右約束手形を原告にあてて裏書した。

二、原告は前項記載の約束手形を満期に支払場所に呈示したが支払いを拒絶され、現にこれを所持している。

三、原告は、被告有限会社小形商事(以下被告会社と略称)と昭和四〇年三月二二日、被告卯一と昭和四一年三月三〇日、相互銀行取引に関する約定をし、これにもとづいて右被告両名は原告に対し、本件手形債務について日歩五銭の約定遅延損害金を支払う義務がある。

四、そこで被告三名に対し手形金額の支払いを、またこの金額に対して、被告会社と被告卯一に対しては満期の日から完済に至るまでの約定遅延損害金の、被告東田川信用組合(以下被告組合と略称)に対しては満期の日から完済に至るまで手形法所定の利息の、各支払いを求める。

と述べ、被告組合の主張に対し、

被告組合は法人格を有する以上事業内容が如何なるものであるかを問わず手形行為の主体となり得るものであるし、法規や定款に定められた目的事業たる貸付業務の中には手形債務の保証も含まれる、それに被告組合は全国銀行協会連合会と同じ統一手形用紙制度を採用していることからみてもその性格は一般金融機関と異なるところはないことが明らかである。

と述べ、甲第一ないし第三号証を提出し、証人安倍恒夫の証言を援用し、乙第一ないし第三号証の成立は不知、と述べた。

被告会社、被告卯一訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、請求原因に対し、第一および第二項は認める、第三項は否認する、と述べ、甲第一ないし第三号証の成立を認めた。

被告組合訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決と請求認容の判決の場合には仮執行免脱宣言を求め、請求原因に対し、

第一および第二項は否認する、と述べ、被告組合の主張として、

被告組合は中小企業等協同組合法に基づいて設立されたものであり、同法第九条の八第一項と第二項にその事業内容が定められているし、被告組合の定款にも同様の定めがある。ところで協同組合においては、奉仕の原則が支配し営利の追求が否定されるのであるから、会社におけるが如き広範囲の業務活動は認められない。従つて法に定められた業務内容は制限的列挙であり、協同組合の権利能力、行為能力はこれに制限されるのである。そして手形保証はそのいずれにも該当しない。更に、法は、組合員の無知に乗じて理事のなした権限逸脱行為による不利益を組合員に帰せしめないようにするところにその目的がある。従つて、理事が事業目的外の行為をなしてもこれは無効とすべきものである。本件手形保証は、仮にその事実があつたとすれば、被告組合の代表者が理事会の決議も経ずに事業目的と関係なくなしたものであるから、無効である。

と述べ、乙第一ないし第三号証を提出し、証人斎藤博雄、佐藤寅松の証言を援用し、甲第一号証は保証欄部分の成立を認めその余の部分の成立は知らない、甲第二および第三号証の成立は知らない、と述べた。

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