大判例

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広島地方裁判所 昭和32年(わ)106号 判決

本籍

広島県甲奴郡上下町字岡屋七九八番地

住居

福山市西町甲九〇二番地

無職

曾根正雄

大正九年八月二十六日生

昭和三十二年(わ)第一〇六号所得税法違反被告事件、検察官検事某出席

主文

被告人を懲役八月に処する。

但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は事務所を広島県甲奴郡上下町上下八四五番地に、工場を同町矢多田に有し、木材業及びこれに附随する事業を営んでいたものであるが、昭和二十八年分の所得税額の確定申告をするにあたり、課税総所得金額一二四、六〇〇円、その所得税額二六、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告をなし、以て昭和二十八年分の所得税額四、四二五、九七〇円を不正に逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示事実中

申告所得額については、

一、細川勉の第二回質問顛末書中、「被告人の昭和二十八年度の営業所得については細川勉が調査し青色申告書を作成してこれを被告人に示し、その承認をえた上、右申告書の曾根正雄の名下に同人の押印を得て所轄税務署に提出したものであり、右申告書作成に際しては総勘定元帳を基礎にして記載したものである」旨の供述記載及び勘定元帳(昭和三十二年領第六四号の二号)及び青色申告書

一、細川勉の第三回質問顛末書中、「被告人の昭和二十八年度所得税額確定申告書作成のための棚卸資産の計算は右細川が直接、間接に現物調査をし、『税金関係綴』の商品棚卸帳に記載し、これをその頃、被告人に示し、その承認を得ている」旨の供述記載及び税金関係綴

によりこれを認め

真実の課税総所得額が七、七八九、五〇〇円であつた事実については、

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、細川勉に対する大蔵事務官の質問書三通、及び右細川の検察官に対する供述調書一通

一、新谷泰助に対する質問顛末書三通

一、三菱銀行福山支店長作成の証明書と題する書面二通

一、勘定元帳

一、損益計算書一、税金関係綴

その余の事実については

以上掲記の各証拠及び被告人の当公判廷の供述

によりこれを認める。

(法令の適用)

判示所為は所得税法第六九条第一項前段、第二六条第三項に該当するが、被告人は本件犯行による逋脱税額はその後これを完納し、また広島国税局長作成の証明書によれば本件犯行に伴う重加算税、利子税及び延滞加算税については現に差押をうけている被告人所有の広島県世羅郡甲山町小谷字古谷山所在の山林及び肩書上下町矢野町所在の建物の競売によつて充分充当し得ることが明らかであり、本件犯行後その営業に全く失敗し、現にその営業に関する一般債務の額が八〇、〇〇〇、〇〇〇円に上り、殆んど再起不能の実情にあることを考え合わせた上、主文のように刑を量定し、情状により刑法第二五条第一項により本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項により被告人に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

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