大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和48年(ネ)72号 判決

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一、申立

一、控訴人ら

原判決を取消す。

被控訴人は控訴人らに対し、それぞれ原判決別紙物件目録記載の建物について岡山地方法務局御津出張所昭和四五年五月二八日受付第一三四〇号の共有者全員持分移転登記のうち、当該控訴人らの右目録末尾記載の各持分の移転登記の抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二、被控訴人

主文同旨。

第二、主張および証拠

当事者双方の主張および証拠は、原判決事実摘示のとおりである(ただし、原判決四枚目裏三行目の「債権者」を「債務者」に改め、同五枚目表六行目の「前記競落許可決定の無効確認と」、および同裏四ないし六行目の「強制執行手続の一部である競落許可決定の無効確認を求めたり、」を除く)から、これを引用する。

理由

控訴人らの主張は、本件公正証書に表示された請求権である連帯保証債務がそもそも存在しないこと、控訴人らが公正証書作成を公証人に委嘱したものではないことを理由として、公正証書が債務名義としての効力がないというのである。

右のような瑕疵があるとすれば、控訴人らは公正証書に対する執行文付与につき異議を申立て、あるいは請求異議訴訟を提起して、違法な強制執行の排除を求めるべきであり、またその裁判のあるまでの間の仮の処分として、強制執行の停止、執行処分の取消を求めることもできる。

しかし、控訴人らがかような措置にでないで右公正証書による不動産強制執行手続が進行し、競落許可決定が確定した場合には、右瑕疵を理由として、競落人の右不動産取得を否定することはできない、と解するのが相当である。それは、民事訴訟においては、債務名義形成段階と債務名義に表示された請求権の実現段階とを区別し、後者すなわち強制執行手続においては前者の手続によつて形成された債務名義の執行力ある正本の内容に従つて執行を実施すべきものであり、前者に内在する瑕疵をその手続内で主張し、あるいは前記請求権の不存在を後者に反映させる手段として前記異議ないしは訴訟が設けられているからである。

以上の次第で、これと相違する見解を前提とする。控訴人らの請求は、その他の点を判断するまでもなく、理由のないものである。

したがつて、本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとし、民訴法八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。

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