大判例

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新潟家庭裁判所 昭和46年(少ハ)4号 決定

少年 M・Y(昭二六・一一・一八生)

主文

少年を満二三歳に達するまで医療少年院に戻して収容する。

理由

本件申請の理由の要旨は、

一  少年は、(1)昭和四二年三月二九日、新潟家庭裁判所において、窃盗保護事件により医療少年院送致決定を受け、昭和四三年七月三日、関東医療少年院を仮退院し、(2)昭和四四年九月六日、同裁判所において、関東地方更生保護委員会の犯罪者予防更生法による戻収容申請事件により、昭和四六年一一月一七日まで医療少年院に戻して収容する旨の決定を受け、昭和四五年一一月五日同少年院を仮退院し、仮退院後は、新潟県婦人相談所あかしや寮に起居しているものである。

二  少年は、仮退院に際し、犯罪者予防更生法第三四条第二項所定の一般遵守事項並びに同法第三一条第三項による関東地方更生保護委員会所定の特別遵守事項の遵守を誓約したにもかかわらず、昭和四六年七月一五日婦人相談所の職員の了解を得て、A(昭和二六年一〇月一四日生)らと外出した際、不良交遊を防ぐため禁じられた白山祭の見物にでかけ、顔見知りの露店商○辺某に誘われるまま市内の盛場を徘徊し、警察官に補導され一旦あかしや寮に帰つたものの同日午後八時頃、寮の鍵を持ち出し上記Aと共に同寮を飛び出し、上記○辺某の許に身を寄せ、同日から一週間ぐらい同人方にかくまつてもらい、その後、同人らと共に自動車で川崎市に行き、やくざ風の○某の許に身を寄せ、売春を強要され、次いで、川崎駅前で声をかけられた○藤某と同人のアパートで二、三日同居し、この間、同人と情交関係を結び、川崎駅のバーで働いたり、同人の世話で働いていた飯場を一〇日ぐらいで飛び出し都内上野公園を徘徊し未知の男と話しているところを警察官に補導されるに至つた。

三  上記少年の行為は、本人が仮退院に際し遵守することを誓約した一般遵守事項のうち(1)一定の住居に居住し、正業に従事すること(3)犯罪性のあるもの又は素行不良の者と交際しないこと(4)住居を転じ又は長期の旅行をするときは、あらかじめ保護観察を行なう者の許可を求めることの各号、および特別遵守事項(イ)婦人相談所の規則をよく守り、だまつて家出をしたり、だまつて外出したりしないこと(ロ)男の人とふまじめなつき合いをしないことの条項に違反するものである。

四  少年は、仮退院以来、二一回にわたる保護観察官や担当保護司の来訪による指導、BBS会員の友だち活動にもかかわらず、これを受け入れて堅実な社会生活する意欲が認められず、このまま放置するときは、少年の徳性を害するおそれはもちろん非行に陥る危険性が強いので、この際少年を少年院に戻して矯正教育を実施するほかはないから本申請に及ぶ。

というにある。

よつて、審按するに、関東地方更生保護委員会が本件申請の理由として掲げる事実は、少年の陳述、本件申請にかかる一件記録(少年に対する調査記録を含む)によりいずれもこれを認めることができる。すなわち、少年は、仮退院に際し、引取人がないため、新潟保護観察所が少年を引取り、同観察所の処置により帰住すべきところを新潟県婦人相談所と定められ、同相談所内あかしや寮に起居するに至つたもので、当初は寮内で造花などの内職をしていたが、昭和四六年五月二五日頃から少年の希望に基づき保護観察所の斡旋で、市内のそば屋で皿洗をしていた。同年七月一五日、少年はAほか一名と共にちよつと外出したいと申出たので相談所では、当日行われていた白山祭には行かないですぐ帰るということで許可したところ、約束の午後一時半になつても少年らは帰寮せず、職員が手分けして捜したが発見できず、止むなく警察に捜索願を出し、同日午後五時頃市内の喫茶店にいた少年らは警察官に補導をされ、一旦帰寮したが、少年は再び同日午後八時頃職員の隙をうかがい寮の鍵を持ち出して同寮を飛び出しその後申請の理由二に記載のような行動をとるに至つたものである。少年の上記二記載の行為は、上記一般遵守事項ならびに特別遵守事項に違反するものであるところ、少年は、鑑別の結果から認められるように、痴愚域の知能水準にある精神薄弱で、実父母は既に死亡し、養父も現在所在が判然としない状況にあり、このままでは少年の更生は望みうべくもなく、将来犯罪を犯すおそれも十分あり、再度少年を医療少年院に戻して収容し矯正教育をなす必要があると認められる。そこで、その期間についてみるに、少年は、昭和四六年一一月一七日満二〇歳に達するが、本決定により決定の日から一年間は少年院法第一一条第一項但書により収容できると解せられるが、少年のこれまでの経過からみるときは、相当長期にわたり矯正教育を実施する要があり、更に社会復帰のために保護観察をも必要とするものと認められるので、その期間も考慮し少年が満二三歳に達するまでとするのが相当である。よつて、犯罪者予防更生法第四三条第一項、少年審判規則第五五条により主文のとおり決定する。

(裁判官 小池二八)

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