大判例

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最高裁判所大法廷 昭和27年(あ)2055号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人為成養之助の上告趣意第一点について。

論旨は、昭和二四年埼玉県条例四三号「集団行進及び集団示威運動に関する条例」第一条乃至第五条の規定をもって、憲法に違反するものであると主張する。

しかしながら右条例の規定は、道路其他公共の場所で行う集団行進又は集団示威運動について、いわゆる届出制を採用したものであって、一般的な許可制を定めて、事前にかかる行動の自由を抑制する場合と異り、公共の秩序を保持し、又は公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所、日時、又は方法につき合理的かつ明確な基準の下に一定の事項を定めて事前に届出をなさしめ(第一条第二条)右各条違反の場合につき罰則を定めた(第五条)ものであるから、右条例の規定が憲法第二一条第一二条その他論旨の挙げる憲法のいずれの条項にも違反するものでないことは、当裁判所昭和二六年(あ)第三一八八号同二九年一一月二四日大法廷判決の趣旨に徴して明瞭である。尚論旨は、同条例第三条第四条の違憲を主張するけれども、右各条は、第一審判決の適用しないものであって、原判決の判断を経ないところであるから、かかる主張は、上告適法の理由とすることはできない。

同第二点について。

所論は、刑法九五条の解釈に関する単なる法令違反の主張であるから、上告適法の理由とならない(第一審判決認定の事実に依れば所論警察吏員の行動が正当な公務にあたることは、あきらかである。)

同第三点について。

論旨その一は、単なる条例の解釈を争うものであり、(予め届出でられた行進の時刻を経過して行進をつづけた所為に対し、第一審判決が同条例二条の届出事項に違反したものとして処断したことは正当である)その二は第一審判決の認定した事実と異なる事実を挙げて、原判決の条例の解釈を非難するに過ぎず、(一審判決認定の事実によれば被告人等を同条例五条の集団示威運動の指導者に該当するものとした一審判決並びに原判決は正当である)いずれも適法な上告の理由とならない。

被告人栗城勝雄の上告趣意について。

第四点をのぞき、第一点乃至第六点は、原判決の事実誤認を主張するに過ぎず適法の上告理由とならない。第四点の採るを得ないことは、弁護人為成養之助の上告趣意第一点につき説示するところにより明瞭である。

被告人吉田和雄の上告趣意について。

本件条例の違憲主張の採るを得ないことは、弁護人為成養之助の上告趣意第一点に説示するところにより明瞭であり、その余の論旨は、原判決の事実誤認を主張するに帰し上告適法の理由とならない。

被告人保坂道彦の上告趣意について。

本件条例の違憲主張の採るを得ないことは弁護人為成養之助の上告趣意第一点に説示するところにより明瞭であり、その余の論旨は、原判決の事実誤認を主張するもので上告適法の理由とならない。

被告人会沢正元の上告趣意について。

本件条例の違憲主張の採るを得ないことは、弁護人為成養之助の上告趣意第一点に説示するところにより明瞭であり、その余の論旨は事実誤認等すべて刑訴四〇五条の適法な上告理由にあたらない。

被告人寺崎利春の上告趣意について。

本件条例の違憲主張の採るを得ないことは、弁護人為成養之助の上告趣意第一点に説示するところにより明瞭であり、その余の論旨は事実誤認の主張であり上告適法の理由とならない。

よって刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 真野毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田克)

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