大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)1303号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人色川幸太郎、同林藤之輔の上告趣意について。

記録によれば、本件訴因と第一審判決の認定した事実との間の差異は、前者は所論会社の業務妨害であり、後者は佐々木工場長の送電設備状況監視の業務妨害であるという点に存するのみであって、しかも右工場長は所論会社の工場の長で、会社の業務を職務として執行するものに外ならず、第一審判決の認定した右工場長の業務を妨害した行為は、すなわち右会社の業務を妨害した行為に外ならないことが認められる。してみれば、第一審判決の認定した事実と、起訴状記載の事実との間には、犯罪の客体の判示につきいささか表現を異にしただけでその同一性につき欠けるところはなく、従って、第一審判決のなした事実認定及びこれを肯認した原審判決には何等の違法はない。所論の判例は、訴因と裁判所の認定した事実との間に、犯罪の態様、犯罪地、被害者等において相異る場合に関するものであって、本件とその前提を異にし、本件に適切でなく、所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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