大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)5184号 判決

本籍

香川県小豆郡土庄町甲六七六番地

住居

大阪市大正区北恩加島町九五番地

青果物商

中筋武雄

明治四一年三月二二日生

右の者に対する物価統制令違反、公文書変造同行使、偽造公文書行使被告事件について、昭和二五年七月六日岡山地方裁判所の言渡した有罪判決に対し被告人から申立てた控訴事件につき昭和二六年一一月一三日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

第一審判決及び原判決を破棄する。

本件公訴事実中物価統制令違反の点(第一審判決判示第一の事実)については被告人を免訴する。

本件公訴事実中偽造公文書行使の点(第一審判決判示第三の事実)については被告人は無罪。

被告人を懲役一年に処する。

但し、三年間右刑の執行を猶予する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人森末繁雄の上告趣意一は、事実誤認並びにこれを前提とする擬律錯誤の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、同二は、後記大赦にかゝる犯罪に関するものであるから、これにつき判断を与えない。

職権を以て調査すると、原判決の是認した第一審判決の認定した併合罪中判示第一の物価統制令違反の犯罪は、原判決があつた後昭和二七年政令一一七号大赦令一条八七号により大赦があつたものであり、また、同判示第三の事実は、被告人が情を知らない岡山食糧事務所長田出張所長小林香苗に対し虚偽の申立を為し交付を受けた出荷証明書を行使したというのであつて、かゝる証明書を以て偽造の公文書といえないのは勿論虚偽の公文書ともいえないこと当法廷の判例であるから(昭和二四年(れ)一四九六号同二七年一二月二五日当法廷判決参照)、これを行使した所為も罪とならないものといわなければならない。されば、刑訴四一一条五号及び一号四一三条但書、四一四条、四〇四条、三三七条三号、三三六条により主文一項乃至三項のとおり破棄、免訴及び無罪の言渡をし、同判示第二の罪につき更に判決すべきものとする。

よつて第一審判決が確定した判示第二の事実に法令を適用すると許可証変造の点はそれぞれ刑法一五五条二項、一項に、変造許可証行使の点はそれぞれ刑法一五八条一項、一五五条二項一項に該当するところ、後者は、一個の行為で数個の罪名に触れる場合であり、また前者と後者とは互に手段結果の関係にあるから、同法五四条一項前段、後段一〇条により結局犯情の最も重い五五〇貫と変造した公文書行使の罪の刑に従いその刑期範囲内において主文第四項のとおり量刑処断し、犯情により刑法二五条を適用して、主文五項のとおり右刑の執行を猶予することとし、当審における訴訟費用については刑訴一八一条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 神山欣治出席

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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