大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)4305号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人福田覚太郎の上告趣意について。

本件では、原判決の認定したように、第一審裁判所は、その第一回公判期日において検察官の請求により証人木口栄子を尋問する旨の決定をしたものであるところ、右証人は呼出を受けながら第二回公判期日に出頭しないため同期日に検察官が右尋問請求を撤回したものであること記録上明白である。そして、かような場合には検察官が当初より右証人尋問を請求しなかったと同一に帰するものであるから、裁判所は前になした尋問決定を取消す決定をする必要もないものといわなければならない。従って、右撤回の際裁判所は、職権を以て右証人を尋問する決定をするか、又は、当事者が更めてこれが尋問請求をしない限り、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴く必要もないのである。されば、被告人及び弁護人の意見を聴かなくとも訴訟手続上違法を来たさないとした原判決の判断は結局正当であって、所論の違法は認められない。また所論判例は、一旦証拠決定をした後裁判所が職権を以てこれを取消した案件に関し本件に適切でない。それ故、所論判例違反の主張は採用できない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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