大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)179号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人鶴田常道の上告理由について。

所論は、原判決の理由不備、審理不尽、借家法違反、判例違反をいうのである。しかし、原審の確定したところによれば、被上告人ら(控訴人ら、原告ら)は、訴外人桜木末次より本件家屋を昭和二四年一月三一日買い受け、所有権移転登記手続も完了したが、その後間もなく、右家屋をその前主より期間の定めなく賃借し居住していた上告人ら(被控訴人ら、被告ら)に対し、自ら居住する目的で買入れたものであることを理由として明渡を求め、上告人らは他に移転すべき家屋もなく、住宅難の折柄他人が現に賃借居住中の家屋を買い受け直ちに明渡を求めるのは不当であるとして、昭和二四年二月以降の賃料を供託して明渡をせず、その後六月の期間経過後も猶明渡に応じないので、被上告人らは本訴を提起し、訴訟を継続中であり、口頭弁論が行われたことが認められ、そして原審は、被上告人らが当初解約の申入をした当時及び訴訟継続中における本訴当事者の双方の事情につき詳細認定しているのである。

かかる事実関係の下においては、被上告人らは、本訴明渡請求訴訟を維持継続し、口頭弁論において弁論を行う都度上告人らに対し明渡の意思表示がなされているものと解するを相当とし、そして前記原審の認定したところによれば、「既に本訴提起以来数年の歳月を経て居り、その間原審(第一審)繋属中調停が試みられたことも本件記録に徴して明白であり、加ふるに控訴人(原告)、被控訴人(被告)双方の前段認定のような利害関係を比較検討し、昭和二四年以降住宅事情も相当緩和されてきている最近の情勢並びに被控訴人(被告)等において他に移転先を求めるため相当の協力を払つたことの主張立証もない」というのであり、原審においては二八年一〇月二二日第一回口頭弁論が行われ、爾後二九年一月一八日、三月二六日、六月四日、九月二二日、一二月三日に口頭弁論を続行して結審となつたものであることが記録上明らかであるから、これらの事実を綜合すれば、本件においては、被上告人ら(控訴人ら、原告ら)により、遅くとも昭和二九年三月二六日の口頭弁論期日において、正当事由のある解約申入れがなされたものと解することができ、従つてその後六月の期間満了の後において本件賃貸借契約は、被上告人らの右解約申入れによつて終了し、上告人ら(被控訴人ら、被告ら)は、被上告人らに対し本件家屋を明渡すべき義務を負うに至つたものといわなければならない。それ故、右判断と結論を同じくする原判決は、結局正当である。また原判決は、本件当事者の双方につき認定した事実関係の下において正当事由ありと判断しているのであるから、引用の判例に違反する点も認められない。それ故、所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

本サイトは報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること)を事業としており,掲載された全ての情報は報道等に活用することを目的としています。

©daihanrei.com