大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35年(オ)1485号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人長谷川毅の上告理由第一点について。

所論「立証趣旨説明書」は第一審における口頭弁論終結後に提出されたものであつて、期日にその陳述はない。右説明書の適法な陳述のあつたことを前提とする所論は理由がないのみならず、原審が所論各証言を参酌したうえ事実の認定をしているものであることは、原判文上、明白である。所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、所論は採用できない。

同第二点について。

所論は、原審は一審証人水戸佐久の証言につき、なんら判断を与えていないと非難するが、原審が事実の認定にあたり、所論証人の証言を参酌しているものであることは、原判決の理由中論旨引用の部分自体に徴しても、明白である。原判決には所論のような判断遺脱の違法はなく、所論は、ひつきよう事実審の裁量に属する証拠の評価を論難するにすぎない。

同第三点について。

原審の確定した事実によると、被上告人は上告人の訴外北村吉太郎を介しての詐欺行為のため、本件マニラロープ四〇丸を売買名下に右訴外人に引き渡して所有権を喪失し、その代金一一五万一〇二五円に相当する損害を蒙つたというのであるから、たとえ、被上告人が右訴外人に対し代金債権を取得し、また、上告人が右訴外人に転買代金を支払えば同訴外人の被上告人に対する代金債務が完済せられる見込があるとしても、それだけで被上告人に前記所有権喪失による損害がないことにはならない。所論相殺云々の論議は、原判決の蛇足の説示に対する非難にすぎずして、判決に影響を及ぼすものでなく、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤朔郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾)

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