大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36年(オ)804号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人千田善蔵、同伊藤俊郎の上告理由について。

行政処分の瑕疵が明白であるというためには、処分要件の存在を肯定する処分庁の認定の誤りであることが、処分成立の当初から客観的に明白であることを必要とすることは、当裁判所の判例とするところである(昭和三四年九月二二日第三小法廷判決、民集一三巻一一号一四二六頁、昭和三六年三月七日第三小法廷判決、民集一五巻三号三八一頁各参照)。しかして、ここに客観的に明白ということは、客観的ということが主観的に対応する概念であるから、処分関係人の知、不知とは無関係に、特に権限ある国家機関の判断をまつまでもなく、何人の判断によつても、ほぼ同一の結論に到達し得る程度に明らかであることを指すものと解すべきである。従つて、原審の所論判示は、瑕疵の明白性の基準を処分庁側の主観的事情に求めた疑なしとしない点において、判例に違反するのではないかとの疑がないわけではない。しかし、原判決が当事者間に争がない事実として或はその挙示の証拠によつて認定した事実関係の下においては、本件処分庁の主観的事情はともあれ、本件処分の瑕疵は客観的に明白なものであると認定するを相当とする。従つて本件処分は結局無効と認めざるを得ないのであつて、論旨は理由なきに帰し、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七 裁判官 斉藤朔郎)

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