大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和41年(オ)1336号 判決

上告人

株式会社本荘

右代理人

岩田満夫

布施誠司

被上告人

立川観光産業株式会社

右代理人

岸副儀平太

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人岩田満夫、同布施誠司の上告理由について。

所論は、要するに、訴外本荘商店と上告会社は別個独立の権利主体であつて、高橋信夫は前者の被用者であり、かつ本件事故当時、自己の私用のため本件加害自動車を運転していたにすぎないから、同人と上告会社との間には民法七一五条にいわゆる使用関係があるとはいえないにもかかわらず、右使用関係の存在を肯定した原判決には、同条の解釈適用を誤つた違法があるというのである。

しかしながら、原審の確定したところによれば、右高橋は本件事故の約一年前である昭和三六年二月五日から訴外本荘商店に自動車運転手として雇われたものであるところ、同商店は上告会社と同様米穀雑穀および飼料の加工販売を業とし、上告会社の代表取締役である本荘修の経営になる個人企業であつて、後には株式会社に改組して上告会社と合併した関係にあつたものである。もつとも本件事故当時、上告会社は自己の車庫を有しなかつたため、その所有にかかる本件加害自動車を右本荘商店の車庫に保管させておつたが、その自動車の管理保管の権限は、上告会社の取締役であつた小俣光明に委ねられていたもので、右高橋も本件事故当日右小俣の許可を受けてこれを運転したというのである。この認定事実によれば、本荘商店は本件事故当時、上告会社と法律上別個の権利主体であつたとはいえ、本荘商店は上告会社の支配を受け、これに対して多分に従属的関係に立つていたこと、ことに、本件加害自動車につき上告会社は本荘商店にその使用を許諾する関係にあつたことが認められるから、本荘商店の被用運転手である高橋信夫も、上告会社の指揮監督下にあつたものというを妨げず、本件事故につき、民法七一五条の適用上、同人を上告会社の被用者にあたるものと解するのが相当である。

そうであれば、本件において、右高橋を民法七一五条にいう上告会社の被用者であるとして、上告会社に対し同条に基づき本件事故の責任を認めた原判決は相当であつて、これと異る論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(岩田誠 入江俊郎 長部謹吾 松田二郎 大隅健一郎)

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