大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和45年(オ)343号 判決

主文

理由

上告代理人城下利雄の上告理由第一点について。

原審は、原審被控訴人日本機設工業株式会社(以下、被控訴会社という。)が、上告人のした詐欺による意思表示の取消につき、民法九六条三項の第三者にあたるかどうかを判断するにあたり、被控訴会社が訴外大起建設株式会社(以下、大起建設という。)に対して金銭債権を有すること及び被控訴会社が大起建設より本件土地を売渡担保として譲り受けたことを認定したのであるが、右の点の判断に関しては、右売渡担保契約における被担保債権の金額及びその決済方法までをも判示することを要するものではないから、所論は、いずれも、原審の結論に影響のない事項を主張して原判決を非難するにすぎず、採用することができない。

同第二点及び上告代理人下飯坂常世の上告理由第一点について。

所論の点に関する原審の認定、判断は、原判決挙示の証拠関係とその説示に照らし、正当として是認することができ、その認定、判断の過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するにすぎず、採用することができない。

上告代理人下飯坂常世の上告理由第二点について。

商法(昭和四九年法律第二一号による改正前のもの)の規定によれば、株式会社の監査役は、会社の会計監査を任務とする機関であつて、代表取締役の業務執行を監督すべき立場にあるものではないところ、原判決認定の事実関係のもとにおいては、大起建設の監査役大森繁がその代表取締役のした本件詐欺について覚知しなかつたことに、必ずしも監査役としての職務の懈怠があつたものということはできないのであるから、所論はその前提を欠き、採用することができない。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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