大判例

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最高裁判所第三小法廷 平成9年(行ツ)52号 判決

埼玉県北葛飾郡杉戸町大字宮前三九一-八四

上告人

岩田証

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 荒井寿光

右当事者間の東京高等裁判所平成七年(行ケ)第一三六号審決取消請求事件について、同裁判所が平成八年一一月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用ずることができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 尾崎行信 裁判官 園部逸夫 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 山口繁)

(平成9年(行ツ)第52号 上告人 岩田証)

上告人の上告理由

1.原判決には、判決に影響を及ぼすこと明らかなる違背があるから破棄を免がれないものである。

1)原判決は、本願発明の要旨を、誤って認定している。特許出願に、係る、発明の要旨の認定は「特許請求の範囲」の記載に基づいてされ、それを前提として本願発明と各引用例を対比して、一致点及び相違点を判断し認定するものである。

しかし原判決では、前提となる本願発明の要旨の認定を誤り、本願発明と各引用例を対比して、一致点及び相違点を判断し、認定している。

それは、特許法第70条1項及び2項を誤って解釈適用しており、判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背があり、破棄されるべきである。

本願発明の特許請求の範囲

電話回線からの呼び出しに対して、自動的に対応する電話自動応答装置であって、

電話回線からの呼び出し、信号があってから相手側待機限度に相当する時間を計数するカウンター装置と、

相手側にメッセージを返送するメッセージ送信装置と、メッセージ送信装置が作動していることを知らせる補助呼出音を発生する補助呼出音発生装置と、

上記呼出しに対して受信者が応答した場合、その応答を検知する応答検知手段と、

電話回線を電話機本体とメッセージ送信装置との間で切り換える回線切換え手段とを有しており、

上記カウンター装置による待機限度時間の計数中、電話機本体の呼出音の鳴動を継続し、

上記カウンター装置による待機限度時間の計数後、上記メッセージ送信装置を作動させで相手側にメッセージを返送し

そのメッセージ送信装置の作動中に上記補助呼出音発生装置を作動させて補助呼出音を鳴動させ、

受信者が電話に応答したことが上記応答検知手段によって検知された場合、上記回線切り換え手段によって電話回線を電話機本体側へ切換えることを特徴とする電話自動応答装置。

上記の記載から見て本願発明の要旨は、「受信者が電話の呼び出しに対して、直ぐに応答できない時、メッセージ送信装置を作動させ、メッセージを送り、受信者が応答すると電話機本体に切り換える電話自動応答装置と認定できる。

(原告の第4回の準備書面に本願発明の電話自動応答装置は、言伝電話装置であると主張し、そして、甲第6号証及び甲第11号証を提出している。

しかし、原判決では、本願発明の要旨と「電話回線からの呼び出しに対して、自動的に対応する「電話自動応答装置」と認定している。(原判決第31項の16行から第32項の1行)これは本願発明の要旨を誤って認定したものである。

原判決での誤った認定

1.一致点の認定の誤り(取消事由1)

第1引用例(特開昭60-240256号)の「留守番電話装置」「応答文メカニズム14」は、それぞれ本願発明の「電話自動応答装置」「メッセージ送信装置」に相当すると認定しているが、認められない。

理由

イ.本願発明の「電話自動応答装置」は受信者が呼び出しに対して、直ぐに応答できない時、メッセージ送信装置を作動させ、メッセージを送り、受信者が応答すると、電話機本体に切り換える電話自動応答装置であるから、第1用例の「留守番電話装置」に相当しない。

ロ.第1引用例の「応答文メカニズム14」の相手側に送信するメッセージ文は、留守番電話装置であるため、留守メッセージであると限定できる。

しかし本願発明の「電話自動応答装置」のメッセージ文は本願発明の要旨や発明の詳細な説明等から見ても、留守メッセージでないしたがって相当しない。

2.相違点について(取消事由2)

原判決では、第1引用例の「留守番電話装置」に第2引用例(特開昭60-240258号)め「留守番電話装置」を単に付加して本願発明の「電話自動応答装置」にすることは、当業者が容易に想到できるものであり、したがって相違点についての審決の判断に誤りはないとしているが、認められない。

理由

第1引用例と第2引用例の留守番電話装置を単に付加しても留守番電話装置であり、本願発明の「電話自動応答装置」にはならない。

以上のとおり原判決には特許法第70条1項及び第70条2項を誤って解釈適用しており、判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背があり破棄されるべきものである。

以上

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