大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)312号 判決

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人大竹武七郎上告趣意は末尾に添付した別紙書面記載の通りである。

第一点について

論旨は多岐にわたっているから順を追うて説明する(一)記録を調べて見るに被告人等は必ずしも原判決事実摘示と同趣旨の供述をしていない点があることは所論の通りである。しかし被告人等は何れも原審において起訴にかかる強姦の事実については結局判示同趣旨の供述をしているのであるから、犯意成立の時期其他状況については、所論の如く不一致の点があるとしても、原判決挙示の証拠を綜合して判断すれば、判示事実を認定し得るものであるから、所論のような瑕疵があっても、判決に影響を及ぼさないと認められる。従って破棄の理由とならない。(二)記録に徴するに原審裁判長が所論のように予断を抱いて取調べたとは認められないばかりでなく、被告人の供述は要領を得ないものであるとはいえないから、これを証拠とすることは何等の差支もない。(三)所論の聴取書に、所論のように、職印や廳印が押されていたとしても、右聴取書は同聴取書記載の日時場所以外において作成されたものと解しなければならない理由はないし、聴取書に供述者の契印をほどこさなければならない規定はどこにもないから証拠能力がないとはいえない。(四)本件強姦は、被告人両名の共謀行爲であることは原判決挙示の証拠によって認めることができる。さすれば、本件致傷の結果については、両名の内何れがこれを与えたか明確でなくとも、所謂結果的加重犯である強姦致傷罪においては、被告人両名は等しく共同正犯として其責を負わなければならない。以上説明したように論旨は何れも理由がない。

第二点について

被告人の年齢を被告人の自供によって認定しても何等差支はない。記録を調べて見るに、第一審において為した被告人松本朝喜の学業成績、性行等の照会に対する居村小学校長の回答書にも、同被告人の生年月日を昭和五年三月三日と記載してある。従って原判決はこれ等の資料によって、被告人の年齢を確定したものと推認し得るし、其認定に誤りがあるとは認められない。そして被告人の年齢については、証拠によって確定した理由を判示する必要はないから、原判決には所論のような違法はない。

よって旧刑訴法第四四六條により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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