大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)6602号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人早稲田逸郎の上告趣意第一点について。

所論は違憲をいうけれども、その実質は、所論陳述調書が記録に編綴されてないことを違法とする単なる刑訴法違反の主張に帰し、刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。のみならず、裁判官が被疑者を勾留するときには、その前に被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴かなければならないことは勿論であり(刑訴二〇七条一項、六一条)、この場合調書を作らなければならないし(刑訴規則三九条)、この調書は検察官に送付されるのであるが(刑訴規則一五〇条)、検察官は、その被疑者について公訴を提起したとき、裁判官に逮捕状、勾留状を差し出すことを要するだけで、これと共に右の調書を差し出すべきものではないから(刑訴規則一六七条一項)、裁判官が第一回の公判期日が開かれたとき裁判所に送付すべき書類(刑訴規則一六七条三項)のうちに右調書が含まれないことは当然である(公訴の提起があった後、裁判官が被告人を勾留した場合--刑訴二八〇条--には、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた調書--刑訴六一条、刑訴規則三九条--は、第一回の公判期日が開かれたのち、刑訴規則一六七条三項にもとずき、「勾留に関する処分の書類」として、裁判官から裁判所に送付される。このように被疑者を勾留する場合の調書と被告人を勾留する場合の調書とで差異を生ずることに注意を要する。)

同第二点について。

公訴提起前の勾留に関与した裁判官が、第一審の審理判決をしたからといって、ただちに憲法三七条一項に違反するものということができないことは、当裁判所大法廷の判例とするところであり(昭和二四年新(れ)一〇四号同二五年四月一二日判決、集四巻四号五三五頁)、右判例を変更すべきものとは認められないから、所論は採用できない。

同第三点について。

所論は量刑不当の主張であって適法な上告理由にあたらない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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