大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)785号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人弁護人高見之忠、同古屋東の上告趣意第一点について。

憲法三七条二項は裁判所がその取調べの必要を認めて喚問した証人についての規定であって、裁判所において被告人の申請にかかる証人の総てを取り調べなければならないという義務を課したものでないことは既に当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第八八号同二三年六月二三日大法廷判例参照)。従って、原審が所論証人申請を却下しても右憲法の条項に違反するものでないから論旨の理由のないことは明らかである。(なお、原審における弁護人申請の各証人は刑訴三九三条但書所定の証拠にもあたらない。)

同第二点について。

被告人は判示の各学童服に判示の不正な価格査定証紙を貼付し、その標示するところの価格が不正なものであることを熟知しながらこれを正当な査定価格であるかのように装って相手方を欺罔し所定の統制額を超過した代金で販売しその差額を騙取したというのである。従って右販売行為は刑法上詐欺の行為に該当しても民事上無効なものではなく、尓後相手方において之を取消す迄は有効な販売行為として成立するものであるからその販売代金にして所定の統制額を超過するものである以上一面詐欺罪を構成すると同時に他面物価統制令に違反すること蓋し当然である(なお大正一一年(れ)一一九七号同年九月一九日刑一判刑集一巻四六八頁参照)。

所論引用の判例は本件に適切でなく論旨の理由のないこと明らかである。

同第三点乃至第六点は事実誤認又は単なる法令違反の主張であっていずれも適法な上告理由とならない。

なお論旨を仔細に検討し記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。

よって同四〇八条により全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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