大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)163号 判決

長野県更級郡牧郷村大字弘崎一八二〇番地

上告人

小林辰男

右訴訟代理人弁護士

赤羽根銀作

同県同郡同村大字中牧四六三番地

被上告人

中沢佐久治

右当事者間の土地所有権移転登記手続等請求事件について、東京高等裁判所が昭和二七年一月一二日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人赤羽根銀作の上告理由は別紙記載の通りであるが、第一審に於て上告人の附加した請求は上告人が昭和七年四月一日にその主張する土地を目的物件とする賃貸借契約を被上告人と締結し同人との間に該賃貸借関係が存続することを主張してその確認を求めるものであり、記録を精査しても右賃借権の存否が上告人従来の請求乃ち右土地につき昭和三年一一月九日被上告人のため為された所有権取得登記を被上告人に対する債務担保契約に基くものとし且該債務を消滅したものとして右土地所有権の存在を主張しその確認及び所有権移転登記手続を求める第一位の請求の当否を判断するに当つてその先決関係に立つものとは認めるに足りない。のみならず右両請求は全く其の請求原因を異にし、斯かる請求を附加することは民訴二三二条に所謂訴の変更に外ならない。而も其の余の所論は原審が適法に為した右訴の変更により訴訟手続を遅延するものとの事実認定を単に批難するに帰着するから、結局原審が右民訴二三二条を適用して訴の変更を許容しなかつたのは相当であり、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

昭和二七年(オ)第一六三号

上告人 小林辰男

被上告人 中沢左久治

上告代理人赤羽根銀作の上告理由

第一点 原判決は理由不備、法則を不当に適用したる違法あり。則ち、原判決は上告人の予備的請求として云々、右(一)の所有権に基く理由がないときは目録記載の土地につき、被控訴人に対し昭和七年四月一日以降賃料一ケ年籾三俵(換算金時価による)期間の定めなき賃借権あることを確認する旨の請求は、本訴請求原因を変更し、これに因り著しく訴訟手続を遅延せしめる場合に該当するものと断じこれを排斥したるも、此の点につき上告人は、第一審において本訴土地所有権確認の当否を争うに当り、証人小林はるよの証言及び成立に争いなき甲第十二号証の一乃至三並びに証人牧郷村農地委員会長内山達治の証言、同会長の提出したる甲第十三号証によりて、前叙賃借権が上告人にあることを立証せられておるので、寧ろ其の請求は本訴土地所有権の存否に関する訴訟の繋属中に争いとなりたる法律関係の成立に繋るものであること論を俟たざるが故に、これを拡張するは決して請求の原因を変更し、著しく訴訟手続を遅滞せしめた場合に該当するものではない点も原判決は、第一審判決の不当なる法則の適用を反省考覈せずして漫然民訴第二百三十二条を不当に適用して上告人の請求を斥けたのは、冒頭所述の如く理由不備、法則の違背に帰し破毀を免かれないものと存じます。

右の通りで、原判決全部不服につき上告を申立てます。

以上

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