大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)2126号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人玉沢光三郎の上告趣意第一点について。

所論は、単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。のみならず、金冠、金ペン等の故物をさらによう解してえた地金で、その価値がもっぱらその含有する金にあるものも、貴金属管理法(昭和二五年法律一二八号)一二条一項にいう「金地金」にあたるものと解すべきであって、原判決の法令解釈にあやまりはない。けだし、同法二条一項は、同法における「貴金属」として、金その他を指定し、同条二項は、同法において「貴金属地金」とは、「製錬又は採取の過程を経た貴金属を含有する地金であって、その価値がもっぱらその含有する貴金属にあるものをいう。」と定めているから、同法一二条一項にいう「金地金」とは、同条三項により金地金とみなされるものを除いては、「製錬又は採取の過程を経た金を含有する地金であって、その価値がもっぱらその含有する金にあるもの」を意味するものと解すべきことは、所論のとおりである。しかし、ここに「製錬又は採取の過程を経た金を含有する地金」というのは、金地金を金鉱物、金鉱さいから区別するための言葉であって、それは、かならずしも、金鉱物の製錬・採取又は金鉱さいの製錬により「新たに」取得した金地金-所論にいわゆる新産金-であることを要件とする趣旨ではないと解される。新産金による加工品をよう解してえた地金-あるいはさらにその地金の加工品をよう解してえた地金-もまた、「製錬又は採取の過程を経た金を含有する地金」であることに、かわりはないわけである。同法は、いわゆる新産金等を指す場合には、「貴金属鉱物の製錬若しくは採取により、又は貴金属鉱さいの製錬により新たに貴金属地金を取得した者は、その取得に係る貴金属地金を……」(同法三条一項)として、特にそのことを明瞭にしていることが注目されるのであり、他方、同法のいかなる条項にも、同法一二条一項にいう「金地金」を新産金に限定する趣旨は、あらわれていないのである。要するに、右「金地金」が故物をよう解してえた地金-いわゆる再製金-を含むとする解釈は、同法二条二項その他の各条項に照しても、すこしもむりではなく、決して所論のいうように「定義規定を無視した拡張解釈」ではない。

同第二点は、量刑不当の主張で、適法な上告理由にあたらない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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