大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)1319号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人吉田賢雄の上告理由について。

農地又は牧野の共有持分といえども、自作農創設特別措置法(以下自創法という)に定める要件を具えるかぎり、所管の農地委員会は、これを買収する手続を行うことを妨げられるものではない。そして共有者について農地又は牧野が法定の保有面積を超過するかどうか、及びその超過面積をいかに定めるべきかは、その共有持分に応じ共有地の面積を按分し、よつて算出した面積を基準とすべきものと解するを相当とする。以上の趣旨に出でた原判決の解釈は正当であつて所論のような違法はない。なお所論は、自創法による超過面積の農地又は牧野の買収において、単なる共有持分のような抽象的権利はその目的となるものでないと主張し、当裁判所の判例を引用するけれども、共有持分の買収の場合でも、その目的は具体的に特定するのであるから、引用の判例の趣旨にも適合し、所論のように性質上買収に適しない抽象的権利ということはできない。所論はさらに、共有者の一名につき小作地と認定され買収された範囲については、自創法一二条一項により当該農地に関する権利は消滅するから、他の共有者の持分権は行使することを許されないという主張を前提として原判決を非難するが、右規定により消滅する権利は所有権以外の権利であつて、共有者の一人の持分につき買収が行われても、他の共有者の持分は消滅するものではないから、所論はいずれにしても採用することはできない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三)

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