大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和37年(オ)222号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人岸本静雄の上告理由第一点について。

原審の確定した事実によれば、上告人倉敷食料品商業協同組合は、本件物件に被上告人のため抵当権設定登記をした後の昭和三三年九月一日、その余の上告人三名のため右物件に民法三九五条の短期賃貸借(期間三年)を設定したところ、被上告人からの前記抵当権に基く競売申立により、同三四年七月二日頃、競売開始決定が債務者である上告人組合に送達せられ、同時に競売申立の登記がなされたというのである。ところで、民法三九五条の短期賃貸借においても、一般的には、借地法借家法の適用を妨げるものではないが、抵当権実行による差押の効力が生じた後に右賃貸借の期間が満了したような場合には、借地法六条借家法二条の適用はなく、右賃貸借の更新を抵当権者に対抗できないと解するのが相当である。けだし、抵当権設定登記後に設定登記された賃貸借は、民法六〇二条の期間をこえないものにかぎり、例外として抵当権者に対抗しうることとし、かくして、抵当権の設定せられた不動産の利用と抵当権者の利益とを調整しようとする同法三九五条の趣旨にてらし、賃借権保護の限界として、右のように制限して適用すべきものと解するのが相当である。したがつて、原審が、前記認定の事実に基き、本件賃貸借が虚偽の意思表示に基くものでなく有効に成立したとしても、その更新を抵当権者たる被上告人に対抗できないと認め、右賃貸借は、被上告人との関係においては、昭和三六年九月一日期間満了により消滅したと判断したのは正当である。原判決に、法令違背、経験則違背の違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決は、本件賃貸借権発生の有無にかかわらず、仮にそれが発生したとしても、消滅した旨判示していることが明らかであつて、原判決に理由不備、理由そごの違法はない。なお、記録一〇五丁、一三一丁、一三五丁によれば、被上告人が、原審において、本件賃借権が期間満了により消滅した旨主張していることがみとめられるから、原判決に弁論主義違背の違法はなく、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 河村又介 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊)

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