大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和58年(行ツ)147号 判決

主文

理由

裁判官坂上寿夫の意見は、次のとおりである。

公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないとの結論において、私は、多数意見と意見を異にするものではないが、多数意見が引用する名古屋中郵事件判決(最高裁昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決)が説示するところには、異論があり、私としては、公労法の適用を受ける現業公務員等の争議行為を禁じた公労法一七条一項が合憲であるのは、国民全体の奉仕者であるべきこれらの者の争議行為が、国民生活全体の利益を害し、国民生活に重大な障害をもたらすおそれが大であることによるものと考えている。そして、右のような考え方からすると、争議行為禁止規定違反行為の違法性は、当該争議行為の国民生活全体の利益に及ぼす影響の程度と密接に関連するものといわざるをえない(最高裁昭和五七年(行ツ)第一七九号同六二年三月二〇日第三小法廷判決における私の反対意見参照)。

しかしながら、原審の確定したところによると、上告人木村武を除くその余の上告人らは、全林野労働組合中央本部の三役又は執行委員として、昭和四六年四月二三日、同月三〇日及び同年五月二〇日に全国的規模で実施された各ストライキの企画、決定において中心的役割を果たし、延べ一一三営林署において延べ六三三六名の職員にこれを実施せしめたものであり、上告人木村は、右各ストライキに際し、全林野労働組合旭川地方本部の執行委員として、旭川営林局管下の営林署職員のストライキを指導し実施せしめたものである、というのであり、このような規模、態様の争議行為が国民経済ひいては国民生活全体に大きな影響を与え、害を及ぼすものであることは、自ずから明らかである。したがつて、私の考え方に立つても、本件争議行為を企画し実施させ、又は指導し実施させた上告人らの行為の違法性及び責任は大きく、本件処分を違法なものということはできない。

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