大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和59年(行ツ)52号 判決

主文

理由

裁判官坂上寿夫の反対意見及び意見は、次のとおりである。

(中略)

そこで、これを本件についてみるに、原審の確定したところによれば、上告人らのうち小松仁造ら一七名(当事者目録9ないし25の者)は、その任命権者である被上告人営林署長に常用作業員又は定期作業員として雇用され、本荘営林署管内の国有林野事業に従事する現場作業員であるところ、全林野労働組合の指令により、同組合の本荘営林署分会員として、昭和四五年一二月一一日午前中約四時間の同盟罷業(職場集会参加の方法による単純な労務不提供)に参加した、というにすぎないものであり、本件争議行為は、一審判決が指摘するように、冬山の主作業に入る前の事前準備の作業時期に行われたもので、職務予定計画が組まれていたとはいえ、それは時間的に厳格なものでもなく、植林、育苗等季節的時間的制約を強く受ける仕事もない状況下でのものであつたこと、及びその規模、態様等を考えると、それによつて国民生活にどれほどの害を及ぼしたかは疑問の存するところであり、右上告人ら一七名の単純参加行為の違法性は、前述の労働基本権の保障と国民生活全体の利益の保障との比較衡量による禁止の観点に照らし、極めて軽微なものといわざるをえないものと思われる。それ故、右上告人ら一七名の単純参加者に対し、一か月間減給一〇分の一の懲戒処分をもつて臨んだ本件処分については、右上告人ら一七名の行為の違法性の程度に比べ甚だ過酷であつて、社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用した違法なものと考える。したがつて、原判決中右上告人ら一七名に関する部分は破棄を免れず、右部分につき本件処分を取り消した第一審判決は結論において相当であるから、被上告人本荘営林署長の控訴を棄却すべきものである。

その余の上告人板倉貞一ら八名(当事者目録1ないし8の者)は、全林野労働組合秋田地方本部の役員として、本件争議行為が全林野のストライキ指令に基づき全国的規模において行われる争議行為の一環であることを知悉し、秋田営林局管内の六営林署における組合員らの争議行為に指導的役割を果たしたもので、その指導し実施させた争議行為が国民経済ひいては国民生活全体に大きな影響を与え、害を及ぼすものであることは、否定できないものと考えられる。それ故、私の考え方に立つても、右上告人ら八名に対する本件処分については、社会観念上著しく妥当性を欠くものとはいえない。したがつて、原判決中右上告人ら八名に関する部分については、多数意見と結論を同じくすることになる。

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