大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2713号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人福田力之助上告趣意第一点について。

所論金允姫に対する検事聴取書を見ると所論指摘のとおりの記載が為されている。しかし共謀の点については右記載自体によって十分に之を認めることができるから此点の論旨は理由がない。次に数量の点については、原審が証拠に採った被告人の原審公判廷における自供には此点につき明白な供述があり、所論金允姫の検事聴取書はその補強証拠として採証したのであって、従って同聴取書に何斗何升との具体的な数量の供述記載はないけれども、数量の幾何であるかと言うことは本件犯罪の成立要件ではないのであるから、結局所論金允姫の聴取書は被告人に対する本件犯罪構成要件たる事実に関する限りは原判示同旨のものであることが認められるから、原判決が同聴取書をもって「判示同趣旨の供述記載」と判示したことは「数量の点を除き判示同趣旨の供述記載」と判示したことに優るものはないのであるけれども、原判示其侭としても妥当を欠くものではないのである。されば結局原判決には所論の違法はなく、論旨は採用するを得ない。

同第二点について。

検事聴取書の作成については旧刑訴法上別段の規定はなく、従って官公吏の作成する書類に関する同法第七一條第七二條第七四條の適用があるに止まるものと解すべきである。そこで所論金允姫に対する検事聴取書を見るとその作成年月日及び作成場所等特別な明記のないことは所論指摘のとおりであるが、しかし作成年月日については、その前文に「右ノ者昭和二十三年十月十四日本職ニ対シ左ノ通陳述シタ」と記載され、その後文に「右直ぐに書取り読聞かせた処……」と記載されておる。しからば同聴取書は右前文記載の日の作成であることは右記載自体に照して明らかであるから、所論年月日の記載を欠くものとは云うことができない。次に作成場所については、前示旧刑訴法各條によるもその記載要件ではなく又所論は検事が立会人なくして供述者の氏名を代書し云々と主張するけれども旧刑訴第七四條は立会人のあることを要求してはいないのである。以上のとおり所論聴取書には何等の瑕疵がないから、論旨は何れも採るを得ない。

同第三点について。

勾留状の記載要件に瑕疵があり仍って当該勾留の適否が問題の場合には、之に関する別途の救済方法(例えば旧刑訴第四五七條第二項、人身保護法等)に依るべきであって、此事のため本件公訴が無効となる根拠はないのである。論旨は理由がない。

仍って刑訴施行法第二條旧刑訴法第四四六條に従い、主文のとおり判決する。

此判決は裁判官全員一致の意見に依るものである。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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