大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)2287号 判決

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人河村範男の上告趣意第一点について

簡易裁判所の事物管轄に属する刑事事件が簡易裁判所に起訴された後、検察官においてその訴因罰条の変更を請求し、同裁判所がこれを許可したためその事件が簡易裁判所の事物管轄に属しないこととなった場合においても、同裁判所が刑訴三三二条により事件を管轄地方裁判所に移送することを妨げないと解すべきである。(ただしかかる場合においては、簡易裁判所が訴因罰条変更請求の許可の決定を留保したまま移送するを可とする。)而して記録に徴すれば、本件は当初窃盗事件として岩川簡易裁判所に起訴せられ、その審理中昭和二五年一〇月一七日検察官より賍物収受として訴因罰条変更を請求し、同日同裁判所はこれを許可した上刑訴三三二条により事件を鹿児島地方裁判所鹿屋支部に移送したものであることが認められる。(当時の裁判所法三三条によれば賍物収受罪は未だ簡易裁判所の事物管轄に属せしめられていなかった。)されば右移送の決定が違法というに足りないことは前判示のとおりであり、所論違憲の主張はその前提を欠くものであって理由がない。

同弁護人の爾余の上告趣意並びに被告人の上告趣意はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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