大判例

20世紀の現憲法下の判例を掲載しています

最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)2390号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人林利男の上告趣意第一点について、

所論憲法三一条違反の主張は、その実質は刑訴一五七条二項違反の主張に外ならないもので刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。次に憲法第三七条二項違反の主張については、記録によると第一審判決において証拠として引用している証人佐藤繁雄、同今井幹文、同伊藤忠、同古田茂等の各証言は法廷外において取調べられたものであり、その尋問の期日場所について刑訴一五七条二項の通知が被告人に対してなされておらず、従って被告人はその尋問に立会っていない。当時被告人は本件第二事実につき名古屋拘置所に勾留中であって、弁護人村木千里が右尋問に立会い反対尋問をしたことがわかるのである。而して裁判所が証人を裁判所外で尋問する場合に、被告人が監獄に拘禁されているときのごときは特別の事由なきかぎり弁護人に立会の機会を与えてあれば、必ずしも常に被告人自身を証人尋問に立会わせなくても憲法三七条二項の規定に違反するものでないことは当裁判所の判例としているのである(昭和二四年(れ)一一五二号同二五年一〇月一一日大法廷判決参照)。それゆえ憲法三七条二項違反の論旨はその理由がない。

同第二点について。

論旨は事実誤認の主張で上告適法の理由にあたらない。

同第三点について。

論旨は量刑不当の主張であるから上告適法の理由にあたらない。

弁護人小泉英一、同野町康正の上告趣意第一点、第二点について。

論旨は事実誤認、量刑不当の主張であって上告適法の理由にあたらない。

なお記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

「大判例」は20世紀で日本国憲法下の裁判例のうち,公刊物に掲載されたものをまとめたインターネット判例集です。原則として公刊されたものをそのまま載せています。

憲法により判決は公開とされており,法曹および法律研究者に利用されているものです。その公共性と平等主義の観点から,送信防止措置または改変には一切応じませんのでご了承ください。

©daihanrei.com